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「錫」の魅力

連休直撃の2度の台風を経て、すっかり秋めいてきました。
・・・秋は酒がうまい。
日本酒がいちばんおいしい季節とも言われています。

今回はお酒をおいしく頂けるうつわとしても有名な「錫 (すず)」について。

❖錫とは?

錫は、やわらかく結晶性の高い白銀色の金属のことです。
典型元素の中の「炭素族元素」に分類される金属で、原子番号50の元素。元素記号は「Sn」で、英名は「Tin」、ドイツ語名は「Zinn」と言います。
天然では単体で産出することは少なく、鉱石「錫石」を加工して「錫」とします。
鉄などと比較すると融点が低いため、比較的加工がしやすい金属材料として、また鉛などと比較すると害が少ないという特長もあることから、錫単体、または合金の成分として古来から広く用いられてきました。
世界最古の錫のうつわとしては、3500年前のエジプトのものが知られます。日本には1300年前に遣唐使によって伝えられたとされています。さらに、徳利といえば陶器製よりも錫製のものが一般的だったようです。


❖錫器の特長

さて、その錫でつくられたうつわにはどんな特長があるのでしょうか。
5つの大きな特長がありますので、ご紹介します。

「割れない」
陶磁器やガラスのうつわは、扱い方によっては割れてしまうこともありますが、錫は金属のため、割れることがありません。

「錆びない」
金属だと錆びが心配になるかもしれませんが、錫は空気中でも水中でも錆びることはありません。有害物質が溶け出すこともなく、人体に無害です。

「水が腐りにくい」
高い浄化作用を持っており、錫の器に入れた水は腐りにくいという特性があります。例えば、錫の花器に入れた切り花は、他の物と比べると非常に長持ちするのです。

「金属の中では比較的やわらかい」
割れはしませんが、比較的やわらかい金属です。強い衝撃を与えると変形する場合はありますが、逆にいうと元通りに戻しやすくもあります。

「融点が低く、熱伝導率が高い」
融点(金属が溶ける温度)が232度と低く、直接火にかけたり、電子レンジを使用することは厳禁です。極端に熱い料理を盛り付けるのも避けたほうが良いでしょう。融点が低いということは、すなわち熱伝導率が高いということでもあります。


❖錫器でなぜ、お酒がうまいのか?

錫は熱伝導率が高いので、燗をつけるときにはすぐに熱が伝わります。熱燗や冷酒などの味を損なわずに、「熱いものは熱いままに、冷たいものは冷たいままに」味わうことができるのです。さらに、優れた浄化作用で雑味が抜けるため、お酒の味が整います。錫にはアルコールを醸成するときに生成される揮発成分・フーゼル油を溶かす作用があるため、お酒を飲みやすく、口あたりをまろやかにしてくれる効果があるのです。


Twitterではうつわに関するネタをつぶやいているのですが、富山の鋳物メーカー、「能作」さんの錫プレートを使ったスペシャル・コースについてご紹介してます。こちらは富山のエクセルホテル東急さんにて、10/1から楽しめるようです。


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