Trevor Something
今回紹介するのはTrevor SomethingというアメリカのSynthwave系アーティストです。
Trevor Somethingという名前は、「トレバー何とか」みたいな意味合いでしょうか。たぶん。
Wikipediaによると、この人は匿名なアーティストとしてやっているようです。この名前もたぶん適当感を出すためのネーミングでしょう。
このジャンルの人たちは、そもそも匿名的というか、ほとんどインターネット上で曲を発表したり売ったりしているのがメインだと思うので、本人がどんな顔でどんないでたちなのか、その辺が希薄な人達が多いです。
昔のミュージシャンは、ステージ上で目立つために変な恰好をしたり変な髪形をしたりしましたが、この手のインターネット上の活動がメインのミュージシャンは、本人の情報がない代わりに、アーティスト名やそのロゴのデザインで個性を出そうとしてパンチの効いた名前を名乗る人が多いのではないかと勝手に推測しています。まあ、「VeryLongUnagi」と名乗っている私が言うのもなんですが。
では作品を紹介していきましょう。
Trevor Something Does Not Exist (2014)
「トレバーサムシングは存在しない」ということで、やっぱり匿名な感じを打ち出していきたいんでしょうか。
「サイバーロボ」というのがどうしてもインパクトがあるので、最初このアルバムジャケットを見たときは、直球のキワモノだろうと思ったのですが、曲を聞いてみると意外とそうでもない。
ところどころにちょっとふざけたサンプリングが入るものの、全体的には伝統的な80年代エレポップ、シンセポップの流れを汲むような正統派のエレポップアルバムです。
なんといっても、デペッシュ・モードの「Enjoy The Silence」のカバーが入っています。これはエレポップ・シンセポップやニューウェイブの愛好家にとっては説明不要だと思いますが、その筋にとっては超重要な名曲です。これをカバーしているということは、自身のルーツがそこにあると言っているに等しいでしょう。
というか全体的にデペッシュ・モードの影響がかなり強いですね。個人的に気に入っているのは4曲目の「Summer Love」です。「Music for the Masses」の頃のデペッシュモードになりきってしまっているような曲で素晴らしいです。
Synthetic Love (2014)
はっきり言ってこれもデペッシュモー度の高いアルバムです。
特に3曲目の「Fade Away」がすばらしい。イントロからして「いかにも」な感じが凄い出ていていきなり80年代に引き込まれてしまいます。たぶんデペッシュ・モードの昔のアルバムにこれを一曲こっそり忍び込ませても気づかれないかもしれません。
Death Dream (2015)
はい、やはりデペッシュ・モードです。とはいえ、90年代のデペッシュに寄って行ったような感じでダークな雰囲気が色濃くなってきてます。
まあこれだけわかりやすくデペッシュ・モードの影響を受けていると、レビューを書く方としても書きやすいというか、同じことばっかり書いて飽きてきそうです。
Soulless Computer Boy and the Eternal Render (2016)
このアルバムではちょっとデペッシュ・モード感が薄れてきたかもしれません。
それでも基本的には80年代からのエレポップ・シンセポップをルーツとした音楽であることには変わりはないです。
ただ後半はアンビエントな曲ばっかりになっています。
3曲目の「Do It Again」がすばらしいです。デペッシュモード的な陰りはあんまりなくて、なおかつシンセポップ好きの琴線に触れるようなメロディを持ち合わせています。
最後に、「Girlfriend」という曲のMVを貼っておきます。
非常に低予算ながらインパクト絶大なパンチの効いたビデオです。職場閲覧注意です。