月刊Synthwave生活 2024年10月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth、Chillsynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
Synthwaveで昔から使われているデザインというか色調があると思うんですが、青紫とかピンクなどのグラデーションでサイバーパンクでネオン街っぽい感じの風景のイラストとかそういうのですが、最近AIが作ったであろう素材とかを見ているとその色調を使ったデザインとかイラストとか結構見かけます。それを見たときに、「Synthwaveっぽい」と思うよりも先に「AIっぽい」という感想が出てくるようになりました。まあ今のSynthwaveアーティストはアルバムジャケットとかにしてもいかにもなSynthwaveデザインをやることは少なくなってるような気がするのであんまり支障はないかと思いますが。
というわけで、今月もレビューの方に行きましょう。

Molchat Doma - Belaya Polosa

ベラルーシが生んだ現代ポストパンクの旗手といえるMolchat Doma。今回のアルバムのジャケットもやはりソビエト的で偉大な感じのする建築物だ。アルバム1曲目は割とEBM的な曲からはじまる。そして従来通りのポストパンクな曲や、デペッシュ・モード風な曲、Synthwave的なものなど、今回は結構バラエティに富んでいる。特に今作はデペッシュ・モードの影響が色濃い。ただこれらのジャンルは長い目で見れば80年代から現在まで何かしらどこかで繋がっているジャンルではある。それは地下水脈のようにずっと存在していたが、日本の音楽メディアにおいては90年代以降はことごとく見過ごされていたようだ。この辺の音楽に興味がわいたなら、デペッシュ・モード以降のエレポップとEBMの関係を掘っていけば何か実りがあるかもしれない。

demin - An Everopen World

Com Truise直系。Com Truiseもそうだが、この音楽性は割とありきたりな一般的な言葉で表現するのが微妙に難しい。なんかまだ言語化されてない感情に訴えかけてくるような感じ。一般的な言葉の中で一番近いのはノスタルジーだと思うが、でもなんかちょっと違う気がする。このシンセの音でこのスタイルでしか表現できない何かがある。

A Warrior in Spandex - Ultra Jacked

DarksynthよりのゴリゴリなSynthwave。しかしなんなんだろうかこのジャケットは。

The Motion Epic - High Rollers

80年代の忠実な再現を目指したようなSynthwave。とくに表題曲は今っぽい要素が全然なくて聴いていて気持良い。完璧だ。なぜ80年感がこれだけ濃いと聴いているだけで上機嫌になれるのだろうか。普通に80年代にこの曲が出てたとしたら割とヒットしていてもおかしくない。