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乃木坂の子と気が合うかもしれない

今日はなんとなく歩く気がしない。いつもは旦那を会社と家の中間地点まで送っていくのだが、今日は見送りで勘弁してもらうことにした。ひょろっと細長い人が、曲がり角でこっちを振り向いて手を振った。こちらも手を振り返すと、影は消えていった。


姉の旦那さんの実家から柿が届く。百貨店のデパ地下などに高値で並ぶ、贈答品用のやつだ。それを毎年11月に入ると立派な金色の箱に入れて1ダース送ってくれる。私の家にも、姉の家にも、だ。私たちは慌てて、長野といえばりんご!とか叫びながら贈答品のりんごを1ダース買って送る。これこそ、本当のどうぶつの森なのだ。


もらった柿をいただいた。程よく熟していて本当に美味しい。親指の爪より大きな鋭い形の種がいくつも入っていた。こりゃあ、元気な柿だな、とばあちゃんが行っていた。食べる時にうっとりするんじゃなくて、格闘するみたいに食べなければならない果実はいい果実、というのがこのあたりの果物農家の人たちの見解らしい。ばあちゃんがそう言っていたから、おそらく老人会の農家さんから聞いたのだろう。


昼はカップ麺。丹精込めて育てられた柿の後にカップ麺とは、なんだかいたたまれない気もするが、このカップ麺だってどこかのだれかによって汗水垂らして開発された商品なのである、とか言い訳しながらばーちゃんと食べた。ばーちゃんは本当にカップ麺が好きだ。初めてカップラーメンをテレビで見た時、料理しなくてもいい、という選択肢があると知った。幼少期からずっと背負わされてきた女としての義務感のようなものが肩からふっと落ちたということだ。


ばーちゃんはずっと、お母さんやおばあさんが男たちに尽くして世話してきた様子を見て育っていたので、こんな子供騙しみたいなやり方で一食できるものがあるなんて考えもしなかったのだ。なんとか立てこもり事件の時にテレビに映って広まった日清カップヌードルをその後入手して食べて以来、虜なのだ。


という話を、昼サボって、麺をすするたびに聞かされる。蓋の裏には何かのキャンペーンで乃木坂46のうち1人からのメッセージが書かれていた。好きです、とかありがとう、とかじゃなくて「でんぐり返りします!」とかそんなだったと思う。私もちょうど、そんなnoteをいつも書いているので、この子とはもしかしたら気が合うかもしれないと思いながらすする。

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