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私がいま描いている夢について話してみたい
私がドイツで暮らしているころ76歳の日本人の男性がいた。たまたま道ですれ違って、「日本の方ですか」「すごく仕草が日本人っぽいから」と話しかけられて心底驚いたことを覚えている。そしてすごく嬉しかったことも。
というのは、日本の方はなぜか、海外で日本人と関わりたくないという人がとても多い。日本人なのに「アジア人」とわざとぼやかしたり、日本語で話しかけてもわからないふりをしたりする。仲良くなってもメールは英語だったり。
なぜだろう?と思うけど理由はよくわからない。私は、日本人と海外でも日本でも仲良くなれるならなりたかった。その人は、とても簡単に仲良くなれた。
残念だけど、その人はすぐに別の町で仕事を見つけて引っ越していってしまったので、1か月ほどしか仲良くできなかった。
面白かったのは、76歳なんていうから相当ドイツ在住歴があるのだろう、と思って「ドイツ語ってマスターするのにどれくらいかかりますか」と聞いたら「俺が知りたいよw」とのこと。実は、ドイツに着いてからまだ2か月余りだと。
お仕事ですか?いや。
お孫さんがいるとか?いや。
じゃあ、どうして。
なんとなーく、来ちゃった。行けるんじゃねえかなあ、と思ってね。
そういって、下をべーと出していた。
まあ、サラリーマン長くしてたから幸い金はあるし。かみさんはついてきてもいいっていうし。やってみるか、って思ってチケット予約しちゃって。ホテルに1か月住んで、今は友人の紹介で小さいアパートに住んでるよ。すごく狭いの。東京みたい。
というわけだったのだ。
私はその人のことをすごくよく覚えている。なんていうか、本当はすごく大きな野望があるのに、それを小さく見せてさらっと着こなしてしまうような人だった。だましているとかではなくて、大きく見せないことがポリシーのようだった。
大きいものを追っかけてるっていうステータス、もう飽きちゃってね。会社にめちゃくちゃいたからさ、そういうの。かっこいいって思わないんだ。
その人は、別れるときに、ドイツで木工を勉強してすごく美しい家具が作れるようになりたい、と言っていた。
ティッシュラー(木工大工)ですね。
そうそう。頑張って。
頑張らねえよ、頑張れねえよ、こんな年だもん。
いや、頑張りそうですよ。めちゃくちゃ。
お前こそ頑張れ。頑張ってなにも叶わなくても大丈夫な歳なんだから。
そう言っていた。
◇
自分の夢について考えるといつもこの人が出てくる。この人みたいに、って思ったりする。
私は今、挑戦してみたいことがあって、力を入れるかどうか迷っている。ダサいけど、力を入れるだけ無駄なんじゃないかって思う。力を入れてダメだった時、自分は対処できるのか、傷つかないかって。
この人とは正反対の考え方してる。
私は、目標をゴールから考えてそれを逆算して今すべきことを決めるっていう方法が好きじゃない。出来れば、できるように進んで、えっちらおっちらやっていきたい。でもそれは、やっぱり、叶わなかったときのための予防線なんだなって今思った。
でも、ずっと前から、自分がデザインしたイラストレーションや雑貨を並べる店を持ちたいと思ってきた。←太字にしてみた。
そしてそこで、なにかフードも提供できるような。
私がブックカフェをしているのと似ているかも。あれをそのまま、店にしたような感じかな。
ベルリンか、名古屋で開きたい。
ベルリンならTegel、名古屋なら名東区がいいかな。一社駅から動物園方面へ歩ける圏内。あまり中心部ではないけれど、その地域の人に愛されるような。
他にも面白いアイデアはある。
全国のいろいろな場所で移動しながら売りたい。キッチンカーみたいにしてもいいし、あるいはイベント会場をレンタルしてポップアップストアを出し続けてもいい。
楽しいやり方があればそれをしたい。
今、いくつかイラストレーションが完成して来ている。そして、ポストカードやシールのデザインも。トートバッグ、ブックカバーも。
イラストや雑貨には、絵画のような芸術感はないかもしれないけど、私はそれらが持つ気軽さと親しみやすさはとても好きだ。生活の中でちょこっとだけ愛でられてあとは忘れられてしまったもいい。そういうものを作ってみたいと思う。
こうして書いているととても膨らむのだけれど、ふと我に返るとそんな店なんて持てるわけないよなあなんて思ったり、やっても続かなかったら、なんて思ったりする。
リスクを考えるタイプではないけれど、どうやって妄想だけではなく現実として広げていけばいいかわからない。
この夢の話についてはまた書きたいなって思う。もし、よかったら聞いてください。
m(__)m
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