そこにいたのか
探してたよ、長い間。
まさかそんなところにいると思わないから、探さなかったけど、もし知ってたらもっと早く来たよ。
というわけで、わたしのカレーまんは知らないうちに蒸されていた。ばあちゃんがわたしが食べたがってることを察したのかもしれない。最後の一個。うちのカレーで作ったカレーまん。ようやく見つけた時は、よっしゃーだかヤッピーだかが南アルプスに轟いたことは天気予報かなんかで言われていた気がする。
カレーまんは、2日目のカレー(残ったカレーっていうよりも聞こえがいいね)でできるとっておきのご馳走で、我が家ではとても人気。これのためにカレーを2晩分、作ってしまう時もあるくらいだ。
強力粉50gと薄力粉150gとドライイースト5gを混ぜる。心配なら、ダメ押しのベーキングパウダー5gも入れてあげる。ばあちゃんは膨らむかどうかをとても心配する。ふんわり、昔中華街で食べたみたいなアレが食べたい、コンビニの背の低いのは嫌だ、という。そんな中華街の肉まんなんて、いきなりハードルが高いな。というと、ハードルがわからないようである。ぽかんとする
今日は姪が来る。はずだったけれど無しになった。姉と同じ職場の人がコロナウイルスに感染した可能性があって会社を休むようにしたそうなのだ。
ばあちゃんは悲しい悲しい、という。ひ孫に会いたいのに、というけど85歳のばあちゃんがコロナかかったらイチコロだよ、ばあちゃんのためなんだよ、となだめる。こう書くと、ばあちゃんがとても子供っぽいぐずぐずする人に聞こえるけど、そういうわけじゃない。
ただひ孫に会えるのをとても楽しみにしていた。ひ孫のために電子ピアノも用意しておいたのだ。楽器が好きだというからアパートでも弾けるやつを買った。
肉まんの続き。粉だけささっと混ぜたら、砂糖30g、サラダ油大1/2 (6g)、塩少々、ぬるま湯100ccを全部混ぜてこねる。手がかなりベトベトになる時があるけど不安にならないで。まとまったら、15分間、ラップをして寝かせる
そしたら後はもう簡単。昨日のこってこてになったカレーを薄く伸ばした皮に包んで蒸し器に入れるだけ。たまに蓋を開けながらだけど20分くらい中火で蒸していれば大抵は破裂せずに出来上がる。心配な方は上の方にあらかじめ穴を開けておいてください。でないと、中がカレーの海になってしまう。カレーの海って、普通のカレーか。
わたしの姪は、わたしが精神科に通ってることを知らない。薬を飲んでることも、仕事してないことも、たまに誰か記憶の中の人を罵倒しながら泣き叫ぶ夜があることも知らない。困ったな、まだ小さいから言わなくてもいいけれど、姪の前で優しいおばさんしていると何か嘘ついているみたいで、いつかは本当のことを話したいと思うようになる。
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