恥を知るとき
私は、ひとつだけすごく心に引っかかっていることがあります。それは、ある人に対して限定的に意見するように聞こえるかもしれないからここに書くのは控えていました。
でも、今日は書きたいと思うから、書きます。
noteであるつぶやきを読みました。今はもう消されてありません。それは、神仏に拝む、というのをどう思うか、というような話でした。その方は数行書いていましたが、私が受けたメッセージが間違っていなければ、それはこうでした。
神様や仏様に祈っている時間があるなら、努力をするべき
私は、この文章を読んであることを思い出しました。私が高校生の時の話だから、もうずいぶん前です。
◇
クラスにOさんという女の子がいました。白くて細くて、かわいい子でした。リーダー格ではなく静かに教室の隅にいるのに目立つしモテる。だれからも嫌われないようなバランスのいい子でした。
その子はなぜか私をすごく慕ってくれて、まだそのほど話してもいないのに放課や昼休憩は必ず私のところに来ました。その子は「お母さんは忙しくて弁当を作れないから」といっていつもコンビニのおにぎりを2つ食べていました。そんなことは私は当時、気にも留めていませんでした。
ある日、その子のおにぎりにはいつも、割引シールがついていることに気が付きました。そこで何となくうっすらと、夕方にコンビニに買いに行ってるんだなと思いました。割引シールが貼られるのは当時はだいたい夕方で、高校生がおにぎりを買うのは登校時。つまり朝でした。
どうしてわざわざ夕方に?と思ったけど、そのほど考えませんでした。その後、私の両親が離婚して、コンビニのおにぎりさえ買う余裕がなくなった時に私はようやく知りました。あの子は、定価でおにぎりを買うことができずに、わざわざ前日の夕方に買っていたんだな、と。
◇
私の高校は、みなよく勉強しました。難関大学をいわれている大学を目指している子がほとんどでした。だから、定期テスト以外にも、その学校がオリジナルで用意したテストや全国模試があり、年中テストばかりをしていました。
ある時、別になんてことのないようなテストが迫っていました。その時、Oさんは「明日は大事な用事があるからテストだけど休む」と私にだけ教えてくれました。テストを休むほど大事な用事はなんだろう?当時の私はすっかりその学校の色に染まっていたので、病気でもないのにテストを休むなんておかしい、と思ったのです。
Oさんは、私にだけこっそりと教えてくれました。Oさんのお父さんはその2年前に癌でなくなっていました。大腸と前立腺のがん。ずっと便秘でおかしいな、と思っていたそうで便秘薬を飲んだりして1年ほど過ごしていたそうです。発見されてから2週間で亡くなったそうで、Oさんもご家族も、悲しむ余裕などなく別れが来てしまったようでした。
Oさんの家では、お父さんの命日に毎年ささやかなパーティーをしているそうなのです。夜ではなく昼間に。なぜかというと、お父さんは夜勤の多い仕事をしていたから、昼間に家にいたそうなのです。Oさんたちはそのときも、もしお父さんの霊がくるなら昼間だ、と思っていたようでした。
ささやかなパーティーって何をやるの。ケーキやお寿司を買って、食べたりトランプをしたりするんだよ。そんなことを昼間中しているの。うん、お父さんもいるとおもうと、とても盛り上がるし。・・・。普段の心配とか暗い雰囲気がなくなるんだよ。明日はとても楽しみにしているんだ!へえ・・・。
その子は幸せそうに言いました。最後にね、みんなで祈るの。うち、キリスト教とかじゃないよ。でも、お父さんが夜勤に出ていく16時くらいになったら玄関に集まってね。お父さんの靴を用意してその前で祈るの。また来年もこの日になったら来てください、って。
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