ずっと遠慮して生きてきた
ひとつ、大きな約束を破った。
もう、私にそれは必要がない気がして。
必ずきてね、と言われていたのに、もういかないことにした。次の約束もなし。
トンヅラはやめた方がいいと思って、一応電話した。本人が出て、話し始めた時はなんかこういうの、バイト辞める時に似てるなって思った。
電話しなくても良かったのに、絶対ってわけでもないのに。
ちょっとした「常識」で。こういうのってこういうもん。そういう感じ。
私たちを縛っている常識があるあの人っていう像。
それに当てはめて欲しいんだな。この期に及んで。
その人は静かに頷いていたけどやっぱり不満そうなため息も聞こえた。
私はそれを聞こえないふりをするべきだったのに、もう正面から受け止めるでいいとした。
私は、もう会わないし、それはあなたにとっても悪いニュースじゃないよね。
これで最後って分かると、急になにかが惜しくなる。
悪いけど、私はあなたを必要としていたのなんてもう4年前のこと。
時間は経って、私は変わって、それはむしろいいことのはずなのに。
それでもやっぱり、自分が間違えてる気がする。
どうして?
なにがあった?
そう聞かれるたびに、なにか言い訳じみたことを言わないといけない気がしてどんどん声が小さくなる。
ああ、かわいいな、自分。
こんなことに怯えてきたんだな。そして、いまも怯えているんだな。
でも、もう遠慮して生きるのはやめるって決めて。
それは本当にたまたま訪れたひらめきで、自分がいかに人の顔色を伺って
「あなたのためなんだよ」っていう声を受け入れてきたか。
自分のためだって言い聞かせながら、やっぱり相手に悪い気をさせないためにそうしてきた。
相手ががっかりしないこと。
それは私にとって長い間、本当に長い間テーマで、思えばそれだけを掲げて生きてきた。
嫌いにならないでね。失望しないでね。
失望されたら、もう生きていけないよ。
生きていけるけど、生きてる心地もしないくらい怯えるようになる。
もう怖いところに行きたくないから、好かれたい。
好かれていた方が楽だから。
好きっていうチケットさえ持っていればどこまででも乗っていける。でも、それがないとすぐに下車させられる。
そんな電車に乗ってるような気分だった。
電話を切ってからしばらくは放心状態で、泣きたいとも笑いたいとも言えないような。
でも、電話するって決めた時、もうこれ以上ないくらい勝負で、それはその人とは関係ない。
私は、もう自分を守りたいって思うようになった。
遠慮して、その人のことを喜ばせるよりまずは自分の面倒を見たいと思った。
電話はあっちから切られた。私は、いまでもすごく後悔している。
あの人よりも自分を優先したこと。言わなきゃ良かったな。
だまって、いけば良かった。今日も、また次も。
こんなことしたことないから。人より自分を優先したなんてこと、そんな下劣なこと。
今までしたことないから。
でも、下劣で美しいねえ。
もう一回電話して、思いっきり断ってやりたい。
これはくせになりそう。
私は私の面倒をみることにした。
それで私を嫌いになるなら、そうすればいい。
といいながら、やっぱり今はすごく後悔している。
ご飯も喉を通らないくらい、といいたいところだけど。
夜ご飯はしっかり食べさせてもらったよ♡チャプチェ食いました。
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