無料版ChatGPTに実装される Custom instructions を使いこなそう【使用例も3つ紹介】
有料版ChatGPTだけで使えていた機能 Custom instructions が無料ユーザーにも開放されます。
これって結構いいニュースなんですが、無料版でChatGPTを使っている人はなんのこっちゃわからんニュースですよね。実際、私のところにも次のような声が届いています。
「デフォルトさえ使いこなせないのに、新機能なんて使えると思えない」
「Custom instructions って英語がまずキライです。」
「優しい人が解説してくれるまで待機します!」
そうなんですよね…。イマイチ魅力を感じていないから無料のままなのに、新機能って言われても試す時間ないし、ましてや公式の情報が英語だから読む気すら起きない!ってなっちゃいますよね。
そこで、株式会社VERSAROC が提供するAI関連情報マガジンでは、無料版に実装される Custom instructions の全貌を、難しいことは抜きにざっくり解説していきます。
なるべく英語は使わず日本語にし、日本語でも専門用語はあえて簡単な表現に言い換えて説明しています。この記事を読めば Custom instructions の使い方がなんとなくわかる上、使用例を使ってすぐに使い始められれます。
細かい専門性はおいておいて、この記事1本で、とりあえず Custom instructions を使えるところまで進んでいきましょう。
Custom instructions は「忘れないでほしいこと」を設定する
ChatGPT は自然に会話をしているように見えて、実はめちゃくちゃ忘れっぽいです。すぐ記憶喪失になります。Custom instructions では「知っておいてほしい情報」と「理想の回答」の2つを設定できるため、忘れないでほしいことを設定するのに最適です。
具体例として、英会話の学習にChatGPTを使いたい時の Custom instructions の設定とその反応をご覧いただきたいと思います。使い方は後で解説しますので、今はぼんやりとしたイメージだけ掴めればOKです。
ざっくり言うと「知っておいてほしい情報」に下記2つのことを入力しています。
英語の学習中だから友人であり先生でもある存在として接してほしい
日本語で返事することもあるけれど英語でどう言うべきだったかも教えてほしい
「理想の回答」では下記4点を伝えました。
英語で返事されてもわからないから、和訳も一緒に教えてね
僕の英語にミスがあったら指摘して正してね
日本語で返事したときは英語でなんて言うべきだったか教えてね
会話が続くように質問文で終わってね
設定はこの2つだけ、「知っておいてほしい情報」と「理想の回答」を入力したら、新しいセッションを開始して ChatGPT に英語で話しかけてみましょう。以下は、実際の会話のスクリーンショットです。
セッション開始時に「Hello」と入力すると、さっそく英語と和訳の両方を出力した会話が始まりました。
英語が思い浮かばないシーンを想定して「お腹が空いたんだけどダイエット中なんだよねー って英語でいいたいです」と入力すると…
ちゃんと英語で返してきます。そのあとの質問文が会話として不自然ですが、これは無料版のご愛嬌ですね。有料版だと会話として成り立つ質問を返してくれます。
スペルミスもしっかり拾ってくれました。
知っておいてほしい情報を Custom instructions であらかじめ設定しているため、セッション開始からすぐに理想的な回答を得られ、そのあと会話を続けても忘れることなくスムーズに使用できます。
このように、Custom instructions は「知っておいてほしい情報」と「理想の回答」を設定して、ChatGPT が指示を忘れてしまうことを防ぐ機能。だと考えると使いやすくなるでしょう。
▼ご紹介したセッションのログはこちら▼
【小ネタ】ChatGPTは2000文字くらいで記憶喪失する
本記事ではしきりに ChatGPT に覚えておいてもらうだとか、忘れないでもらうと書いていますが、読者様の中には ChatGPT の記憶喪失をまだ知らないひとも居るでしょう。
小ネタではありますが、たった9回の質問で記憶喪失してしまう会話ログをご紹介します。セッションの初めに、私の名前は「チキン」だと教えました。その返答時、ちゃんと名前を呼んでくれています。
その後、夏目漱石について質問したり、ChatGPTの苦手な話題(性的な話題や差別発言)について質問したりと混乱させると、9回目の質問ではもう私の名前を覚えていませんでした。
これはChatGPTのTransformerアーキテクチャが…、おっと、今回は難しいことは話さない約束でしたので、専門的なお話は割愛いたしますね。ざっくりとした感覚値ですが2000文字〜4000文字ほどで ChatGPT の記憶はなくなってしまいます。忘れてほしくない基本設定は Custom instructions で設定しましょう。
以下は、ChatGPTが記憶喪失を起こすやりとりのログです。ご興味があれば覗いてみてください。
Custom instructions を使うための手順
Custom instructions を設定するには画面左下のメニューを開き、Custom instructions をクリックします。
「What would you like ChatGPT to know about you to provide better responses?」と「How would you like ChatGPT to respond?」の2つの枠を入力します。
項目名も英語ですし、ヘルプを参照しても公式サイトが英語なので、とりあえず、上に「知っておいてほしい情報」を、下に「理想の回答」を入力すると覚えておいておおむね問題ありません。
入力が完了したら右下の「Save」ボタンで設定を保存。あとは通常のChatGPT の使い方で新規セッションを始めれば、Custom instructions が適用された状態で開始されます。
Custom instructions の便利な使用例3選
Custom instructions の役割は「忘れないでほしいこと」の設定。そう言われても具体的になにを設定すると便利なのかイメージが掴めないこともあるでしょう。
ここでは厳選して3つだけご紹介します。
(1)深津式コンサルタント
(2)チキン式タスク細分化
(3)チキン式文章フィードバック
試してみながら、ご自身の使い方にカスタマイズしてみてください。
(1)深津式コンサルタント
noteのUXデザイナーである深津さんが考案したのは、ChatGPTをコンサルタントにする Custom instructions です。ビジネスの相談がしたいときなどに使います。
マッキンゼーやリクルートを入れるなど、カスタマイズしてみてください。
(2)チキン式タスク細分化
深津さんの例とは打って変わって、怠惰なビジネスマン向けのカスタマイズをご紹介します。本当はやらなきゃいけないのにめんどくさくてなかなか取りかかれない仕事を、今すぐできるタスクレベルまで細分化してくれるカスタマイズです。
「見積もりを作って送らないといけない」などグチを漏らすように入力しても、見積もり作成に必要なプロセスをしっかり洗い出してくれます。
プロセスを洗い出してもまだ着手できない場合は、タスクをもっと細かくしてもらいましょう。
人間が相手だと呆れられるようなタスクでも、ChatGPTなら素直に答えてくれます。めんどくさくて何も手につかない仕事でも、手を動かし始めたら意外と軌道に乗ってしまうことってありますよね。最初の行動のきっかけをChatGPTと一緒に掴んでみるのはかなりおすすめです。
▼チキン式タスク細分化のデモ
(3)チキン式文章フィードバック
Custom instructions を使えば、情報発信用の文章をセルフフィードバックも簡単に実行できます。
セッションを開始して文章を入力すれば、自分では気づかなかった視点からのフィードバックが得られます。発信内容やプラットフォームによって、編集者をマーケターに変更するなど、カスタマイズしてみてください。
まとめ
Custom instructions は「知っておいてほしい情報」と「理想の回答」の2つを設定するとChatGPTが忘れることなく対応してくれる機能です。
最後にちょっとだけ専門的な話をすると、WebUIではなくAPIでGPTを使う際はSYSTEMという項目を使えば Custom instructions と似た挙動を実装できます。
つまり、WebUI上でのChatGPTだけでなく、自社サービスとGPTを組み合わせる場合や、チャットボットなどにGPTを搭載する場合でも、忘れないでほしいことを設定することは可能です。
弊社では、ChatGPTを事業に活かしたい、使い方を相談したいなどのご相談を受け付けております。下記メールアドレスまでお気軽にご相談ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?