ChatGPT APIの得意なこと・問題点を整理【開発中アプリも紹介】
株式会社VERSAROC が提供するAI関連情報マガジン。今日は開発中のアプリ『教えてAI先生』をチラ見せで紹介しながら、GPTのAPIが得意としていることやまだ解決できていない課題をご紹介します。
子どもの素朴な疑問に回答する『教えてAI先生』を開発中
知人のエンジニア、なまけものさん(@sloth.icp)さんとの共同開発で、子どもの素朴な疑問にChatGPTが回答するアプリを開発しています。
5歳前後のいわゆる「なぜなぜ期」の質問に、ChatGPTがサクッと答えてくれるアプリです。
子どもからの質問って、わかりやすい言葉を選んだり、あたりまえだと思っていたことを噛み砕いて説明したりする必要があり、意外と頭を使うんですよね。たとえば「なんで夜になるの?」「どうして空は青いの?」などの質問は、どこからどう説明すべきか一瞬悩んでしまいます。
「ちょっと待ってね」と言いながら慌ててGoogle検索をして答えているのは私だけじゃないはずです。笑
子どもからの突然の質問にも答えられるよう親をサポートする。お子様が自分自身で気になることをAIに質問する。その両方ができるようにと開発しているのが『教えてAI先生』です。現在は、音声による入出力まで対応できています。
動画内では「ヘビにはなぜ毒があるの?」という質問に答えてもらいました。
音声で読み上げるため、ひらがなを読むのもたどたどしい5歳前後の子どもでも使えます。
ちなみに、同じ知識をGoogle検索から引き出したものが以下です。
Google検索でも知識を得られますが、子どもの疑問を想定すると「質問をキーワードに変換する」のと「説明文を平易な文に言い換える」という2つの工程が必要となります。その点、『教えてAI先生』は直接疑問に答えられて非常に便利です。
現在UIデザインを調整中で、アプリ公開の仕方などを調整しております。
先日開催されたAIMTGでは、技術的な解説もしておりますのでご興味があればYouTubeからイベントの記録をご覧ください。
ChatGPT APIの得意なことと問題点
開発中のアプリ『教えてAI先生』は、ChatGPT APIの得意なことを活かし、なおかつ問題点にある程度目を瞑ることを想定して開発を進めています。
ここからは、ChatGPTが得意としていることと、まだ解決できない問題点をそれぞれ3つずつご紹介します。
ChatGPT APIが得意としている3つのこと
今回目をつけたChatGPTの長所は以下の3つです。
ロールモデルを演じる
センシティブな話題を避ける
一般論で答える
それぞれ解説します。
1. ロールモデルを演じる
ChatGPTに「専門家として答えて」「女性として意見して」などのロールモデルを与えると、役割に応じた言葉遣いで返答してくれます。今回は「優しい先生として5歳の子どもに説明して」と伝えたため、難しい用語を避けて説明してくれているのです。
2. センシティブな話題を避ける
ChatGPTは、宗教や戦争、性などセンシティブな話題を避ける性質があります。これは教育ジャンルと非常に相性が良く、たとえば「世界を滅ぼす方法を教えて」と質問しても回答は得られません。
高学年の子どもがイタズラで質問したとしても、サラッと回答を拒否するため、開発者側でフィルタリングを設定する必要もないのです。
3. 一般論で答える
ChatGPTは一般論での回答が得意です。たとえば「一番おすすめのパソコンを教えて」と質問したとしても、一般的な選び方を回答するようにチューニングされています。
商品やサービスの検索としては使いにくい特徴ですが、子どもの「なぜなぜ期」のような一般論が求められる領域では精度の高い回答が得られます。
ChatGPT APIが抱える3つの問題点
「人間の仕事を奪う」と言われているChatGPTですが、致命的な問題点をいくつも抱えています。今回は3つご紹介します。
素早く返答できない
記憶を長期的に保持できない
情報の正確性を保証できない
それぞれ確認していきましょう。
1. 素早く返答できない
ChatGPTのAPI、特にGPT4は返答に時間がかかってしまいます。アップデートによって返答速度は上がってきているとはいえ、入力1回に対して15秒前後の待機時間が発生します。GPT3.5であればサクサクと返信が帰ってきますが、4と比べて日本語対応の質が低下するなど、問題を完全には解決できません。
複数回の往復が想定されるチャットボットや、リアルタイムでの返答が必要な領域では活用は難しい状況です。
2. 記憶を長期的に保持できない
誤解されやすいのですが、ChatGPTに個別の知識を教えても長期的に記憶を保持することはできません。たとえばユーザーの名前を覚えさせようとするならばChatGPTだけではなく、ユーザー情報を保持する機能を持たせてそこから引き出す形で実現しなければいけません。
3 情報の正確性を保証できない
「ChatGPTはウソをつく」というのは有名になっていますが、この問題を完全に解決する方法はまだありません。ブラウジング機能を使う、外部のデータベースと連携する、事前にデータを与えるなど改善策はあるものの、精度が安定しないというのが現状です。情報の正確性が求められるビジネスの領域などでは活用の範囲が限定されてしまうでしょう。
まとめ:ChatGPTの特徴を理解した開発を!
ChatGPT APIを利用して子どもの素朴な疑問に答えるアプリ『教えてAI先生』。ありがたいことに多くの人から公開を楽しみにしているという声をいただいております。
使ってくださるユーザーのためにも、解決したい課題は山積みな一方で、ChatGPTが得意なことや苦手なことを理解し、苦手なことにこだわりすぎない割り切った決断も必要になるはずです。
まずは『教えてAI先生』の公開を目指し、その後またChatGPTの持つ新たな可能性を引き出していきたいと考えています。
弊社では、ChatGPTを事業に活かしたい、使い方を相談したいなどのご相談を受け付けております。下記メールアドレスまでお気軽にご相談ください。