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自分の感覚で推し量る現在の幸福度2
ベティ・フリーダンの『女らしさの神話』下巻まで読んだ。私としては、下巻の方が現代を生きる人に響くんじゃないかなと思った。
下巻の内容がどんなことかというと、簡単に言えば自分のアイデンティティを確立させる何かを見つけようと言っていた。1960年代当時のアメリカの主婦たちは、いわゆる主婦業以外にやることが無く、世間から取り残されている感覚に陥っていて、その原因は、彼女たちは自己のアイデンティティの崩壊の危機にさらされているというものだった。
アイデンティティ。これが私にはどうも欠落しているように感じる。ありがたいことに、マニアックな映画をよく知ってるとか、ブラックミュージックに詳しいとか、ドイツ語読めるのすごいねとか、喫茶店詳しいとか言ってくれる人はいるのだが、なんかすごい空っぽに感じてしまう。
だいたい一年前くらいに人生で初めてしっかり失恋したのだけど、その原因てアイデンティティ、自分軸と言った方がいいのか、まあそれを消して相手に合わせすぎたからだと今思った。なんでかわからないけど、相手に合わせないと気に入られないと思ってた。軸がブレブレだったんだ間違いなく。好きなものは沢山あった。だけど、前に書いたようにピンク映画やクローネンバーグみたいな映画が好きだと言うとヤバいやつだと思われて嫌われるんじゃないかと思った。これは好きな作品を卑下しているから最悪な考え方なんだけど。
それ以前はどうだったかというと、今より格段に悩み事、考え事が少なかったと思う。その時何をしていたか思い出すと、ひたすら絵を描いたり、ホラー映画を漁ったり、英語勉強したり、日本史やったり、自転車で知らない道を開拓しに出かけたり、、、こんなことをやっていた。今はどうだろう。いつの間にか絵を描かなくなってしまったし、住んでる環境的に以前のようにパーッと自転車でどこかへ行くことがちょっと難しくなったし、進学に伴って英語じゃなくてドイツ語が本命になったけどちゃんと読んだのは勉強初めてそこそこ時間が経ってからだし。なんかいろんなものが自分から消えたような感じがする。
フリーダンが例に挙げるアイデンティティは経済的に自立してることもその要素に入っていた。しかし私は(やろうと思えばできるけど)もう少し就職が先のことなので、経済的自立を獲得することが難しい。では、経済を除いてどうやってアイデンティティを確立させることができるのか?とりあえず、忘れていた絵を描く感覚から取り戻そうと、最近クリップスタジオ体験版をダウンロードして、試行錯誤している。それと、ずっと机に向かっていても面白くないし単語を本当に覚えられる気がしないので、ドイツ語を話せる場所に行こうと思う。
もう開き直って(?)どんなに気持ち悪い映画でも小説でも、これが好きなんですと言って生きるしかない。自分が好きなものを自信もって好きですと言わなければ。今はそれを言っても面白がって聞いてくれる人を見つけることができたし。