TIME100に選ばれし者~ 伊藤詩織 大阪なおみ
TIME100
伊藤詩織氏と大阪なおみ氏がTIME誌2020年世界に影響を与えた100人<TIME100>の中に選ばれた。
伊藤詩織
#METOO 運動に貢献した伊藤詩織氏は自身のTwitterアカウントで他の性被害者と受賞を分かち合いたいとツイートしている。日本のTwitterタイムラインはまた<#伊藤詩織さんを支持します>で一気に埋め尽くされた。
それをよく思わない勢力がいるのだろう。杉田水脈議員から性被害者への侮辱的発言がタイミングを見計らったかのようにでてきたせいもあって余計にタイムラインは荒れた。日本の後進国っぷりをまざまざと。
私は気になるのは、詩織さんが「私たち」の受賞と言っているにもかかわらず、「伊藤詩織さんは素晴らしい」「伊藤詩織さんは凄い」「伊藤詩織さんは勇敢だ」という賛辞のリプライだらけ。こうして<伊藤詩織>がアイコンとして神格化されていくのは、おなじレイプサバイバー・性被害者としては何とも言えない苦しい気持ちになる。
(去年の詩織さん裁判判決の際にフラッシュバックを起こして寝込み、いろんな人に気持ちをきいてもらったおかげで、今回はわりと冷静に見ていた。)
詩織さんは元モデルという経歴の持ち主。美貌・華・光があり、自身もジャーナリストの肩書きを持ち、有力メディア関係者とのパイプも太い。あまりにも彼女が性被害者のシンボル的存在に仕立てあげられると、戦うハードルが上がりすぎてしまうことを懸念している。性被害者の全員がオモテにでれるだけのバックグラウンドを持ち合わせているわけではない。他の性被害者の足がますますすくむ可能性だってある。
だから私はアイコン化には賛成しない。
現に、10年も20年も闇の中で苦しむ人が仮名ながら必死に訴えているんだということを知ってほしくて、私はこの創 篠田博之氏のYahoo!記事の拡散につとめた。
私はこの集団レイプの記事を読んで…泣いた。ここに登場する仮名の女性も世の中を変えるために、自分を取り戻すために手記を篠田氏に託している。誰が誰より勇敢で正義感があるとか比べられるものではない。
大阪なおみ
TIME誌の表紙をみたら一目瞭然。今年は BLACK LIVES MATTER(黒人の命を舐めんなよ!)なのだ。大阪なおみ氏は試合中着用のマスクに人種差別犠牲者の名前をつけた。7人分の名前を訴えるためにも優勝を成し遂げた。
USオープン優勝をCNNスポーツコーナーでこう紹介した"Naomi is a Japanese super star.''と。テレビでリアルタイムで聞いたときは「すっごーい」と思ったのだが、彼女はジャパニーズなんて形容詞におさまるような人だろうか。このあたりがダブルルーツの人達の生きづらさではないかと。
かくいうジャパニーズのメディアはインタビューのたびに「日本語でお答えください」というクソったれな質問の仕方をしている。彼女の喋りたい言語でいいではないか。<日本人凄い>に彼女を利用するのはやめてくれ、こっちが恥ずかしくなる。でも今回の選出で名実ともに世界のNAOMI。
彼女のアカウントをみても、TIME100について自分が選ばれたことについては一切言及していない。当たり前のことをしたまで、そんな大阪なおみ氏のスタイルが私はCOOLだと思った。
おわりに
2020年いまだに日本では女性の社会進出は進んでいない。新内閣の顔ぶれを見ても絶望的な気持ちになる。もう男性・女性という枠で国勢調査票に記入を求めることすら時代錯誤。
大事なのは人間力だと言いたい。