旧広島陸軍被服支廠
軍都廣島の歴史を雄弁に語る被爆建物がいま、取り壊しの危機に瀕している。耐震性に問題があり、補強には莫大な予算を要するのがネックとなっているというのはタテマエ。国が戦争の負の遺産を残したくないというのがホンネだと感じている。 ただ、市は保存の方向で働きかけをおこなっている。
保存の賛否、活用アイデアがパブリックコメントとして県へ多数寄せられている。保存を求める数が上回っているようだ。さらに、若い世代が立ち上げた保存を求める署名運動も2万筆を越えた。
これまで、通りすがったときに、横目で見るくらいであまり意識してこなかった自分が恥ずかしい。いざそこへ 行けば、民家と高校の敷地の間に全くの異空間がそびえるのは圧巻である。その場に足を運ばねば感じ得ない空気がある。 大正時代のレンガ造りの建物が被爆を乗り越えて2020年の私達に語る言葉を、ここで終わりにしてしまって良いものだろうか。
※外観 Instagram リンク
現存する4棟の迫力をもってして、廣島が兵站としてどれだけの機能を有していたかを想像することができる。戦争加害者としての一面を決して忘れてはならないと思う。また、爆風に耐えたことから、この中にたくさんの被爆者が運び込まれた。ここで息絶えたであろう人達の魂がまだ残っている気がする。
戦争の裏表を知る建物、1棟保存では意味をなさない。全4棟保存を切に願う。平和を綺麗事では語ってほしくない。
世界的に軍備増強の流れに歯止めがかからず、この世界の終わりを告げる時計がのこり100秒となった。良くも悪くも、人間は忘れる生き物であることを覚えて、同じ過ちは繰り返してはならぬのだ。
※世界終末時計 残り最短100秒
https://www.cnn.co.jp/world/35148422.html
※保存を求める署名 リンク