医学生インターンのすすめ
私は現在、とある医療系スタートアップでインターンをしている。
アルバイトをいろいろやってきた私だが、最終的にインターンを選んだ。その理由はシンプルで、「ワクワクしたから」だ。
医学生にとって「インターン」とは何か?
医学生のアルバイト先といえば、家庭教師や塾講師、あるいは飲食店などの接客業が主流である。私の周りでも、この2つのどちらかで働いている人が大半だ。一方、インターンをしている医学生は片手で数えるほどしかおらず、珍しい存在だと言える。
そもそも、医学生にとってインターンシップという言葉は馴染みが薄い。一般的にインターンと聞くと、「就活前に企業で職業体験をする」というイメージを抱く人が多いだろう。概ねその通りで、実際の雇用形態はアルバイトとさほど変わらないことが多い。インターンっていうとちょっとかっこいい響きはあるが。
また、地域差もあるだろう。関東や関西のような都市部では、インターンの選択肢が豊富で、参加している学生も多い。しかし地方では、そもそもインターンの募集が少なく、その機会を得ること自体が難しい。
地方に住む私がこのインターンの機会を得られたのは、幸運だったと言わざるを得ない。ありがたいご縁をいただき、その会社の理念に共感し、チャレンジしてみたいと思い、インターンに参加することを決めたのだ。
医療イノベーションの最前線で学ぶ
医学生がインターンを経験するメリットは、こうした名前の魅力以上に多い。
採用する側から見ると、医学生であることは必須条件ではないかもしれない。しかし、医学生がインターンとして働くことには、メリットがあると感じている。特に医療系スタートアップにおいては、多くのものを得られるだろう。
私が医療系スタートアップでインターンをして感じたメリットは、大きく3つにまとめられる。
1.医療業界の課題を肌で感じられる
スタートアップでは、現場の課題を解決するためのプロダクトやサービスが次々と生み出されている。その中に身を置くことで、医療業界が直面している具体的な問題や、それを乗り越えるためのプロセスを実感することができる。
このような経験は、大学の実習や病院での見学では得られないものだ。医療現場の「裏側」を知ることで、課題を解決する視点を持って現場を捉えられるようになり、医療をより多角的に理解できるようになるだろう。
2.医学生ならではの視点を活かせる
医学生という立場だからこそ、臨床現場の課題に深く共感し、それを具体的な形で解決しようとするプロセスに携わることができる。私自身、先日自分が関わったプロジェクトが実際に使用され、ユーザーから多くのフィードバックをいただいた。この経験は、「さらに良いものを作りたい」という意欲を掻き立てると同時に、自分が医療に貢献できているという喜びをもたらしてくれた。
また、医学生は医療知識を持ちながらも、まだ臨床現場に完全に入っていない立場だからこそ、柔軟な視点で課題を捉えることもできる。現場に近いけれども、現場に固定されていない視点が、スタートアップに新しい風を吹き込む役割を果たすことができる。
3.熱意ある医療従事者や異業種のプロフェッショナルと関われる
スタートアップでは、熱意ある医療従事者だけでなく、他業界のプロフェッショナルと一緒に働く機会が得られる。会社は医者だけで成立するわけではなく、エンジニアやマーケター、経営者など多様な職種の人々の協力があって初めて成り立つ。そのような環境で医療という分野を深掘りしつつ、他職種からの新しい視点や知識を吸収できるのは、スタートアップならではの経験だと感じた。
どうやってインターンに参加するのか?
私が今回のインターンに参加できたのは、知人の紹介がきっかけだった。
信頼のおける人からの紹介は、スタートアップや小規模企業との接点を作る上で非常に有効だ。
特に、医療やヘルスケア分野に詳しい知人がいる場合、その人のつながりを頼ることで、芋蔓式にインターンの機会が広がる可能性がある。
紹介以外の方法としては、SNSも効果的だ。X(旧:Twitter)やnote、Facebookなどでは、スタートアップが積極的に情報発信をしていることが多い。気になる企業の投稿をフォローしたり、自分の興味分野について発信することで、企業との接点が生まれることもある。
また、公式ウェブサイトも要チェックだ。興味を持った企業のインターン情報をこまめに探すことで、思わぬチャンスを見つけられるかもしれない。
大事なのは初速度
インターンに挑戦する最大のポイントは、「初速度」を意識することだ。
少しでも興味を持ったら、ためらわずに動き出してほしい。スタートアップには、新しい挑戦を歓迎する風土があり、失敗を恐れず行動することで得られるものは計り知れない。
そして、比較的時間に余裕のある医学生のうちに、興味のある分野に挑戦できることは、自分自身のキャリア形成にとって大きな意義を持つ。
医学生である今だからこそ、スタートアップでの経験が将来の臨床や研究活動に新たな視点や可能性をもたらしてくれると信じている。
少しの好奇心を行動に移せば、その先には必ず新しい学びと成長が待っているはずだ。