千に一つ奇跡の天然真珠
奇跡の天然真珠というタイトルは、
１０００個のあこや貝の中では１つか２つしか
天然の真珠が採れないということからです。
というのも、偶然にもタイミングよく
何か小さなものが貝に入り込み、
やがて真珠層が取り巻き真珠となる、
たまたまそんなことがあっても、
採る頃合いが良くないと、偶然見つけても
育ちすぎて死んでいたり輝いていなかったり、
現在の私たちが日頃見かけるきれいなもののように素敵なものは奇跡でしかないのです。
しかも、大きさは５ミリぐらいがやっと。
ましてやまん丸となると本当に稀の稀でしょう。
核となるものがあるか無いかの小ささなので、その殆どは真珠層でできています。
自然でできあがる天然真珠について
天然真珠はいつからあったの？
天然真珠は養殖真珠とどうちがうの？
と聞かれることがあります。
あこや貝は遺跡から出土した貝から、少なくとも今から１万年前ぐらいの縄文時代にはあったのでは？と言われています。
天然は自然にはできるもの、
養殖真珠が多い今、天然物は今でもあるのでしょうか。
今でも採れることはありますが、とても稀な事。
採取量が少ないので現在のジュエリーの流通市場でほとんど流通していません。
コレクター市場で天然真珠は扱われますが高額でほ取引のようです。
天然真珠には海水と淡水がある
・真珠の採れる貝の種類
下段中央と右の池蝶貝類は淡水で生息しています。
（ヒレイケチョウガイとイケチョウガイ）
それ以外は海水で育つ貝です。
これ以外の意外なところでアワビがあります。
オーシャンカラーの美しい色彩
アバロンパールとは、アワビ貝真珠のこと。
すべてのアワビ貝から美しい真珠が採れるわけではなく、ごく一部のアワビ貝から採れる、世界でもとても稀少な真珠です。
これらは内側の黒い部分（内臓がある部分）から採れるので丸いものは殆どありません。
日本でも採れていたので古くから、あわびだまと呼んでいたそうです。
8世紀、
大伴家持(おおとものやかもち)の和歌にも…
『珠洲の漁師が沖遠い神の島に渡って、もぐっては採るという鰒の玉を、五百個もほしい。いとしい妻と衣の袖を分かって以来、ぬばたまの夜の床も一人片端に寝て、朝の寝乱れ髪を櫛ですくこともなく、私が旅立って来た月日を数えながら嘆いているだろう妻の心の慰めに、ほととぎすが来て鳴く五月の菖蒲草や花橘にまじえ通して蘰にするようにと、鰒玉を包んで贈ろう。』現代語訳
1300年も前の夫の妻への愛情が感じられますね。
真珠を季節のお花と共に贈りたい、と思う家持がとても愛おしく感じます。
天然真珠にかわり養殖真珠が20世紀初めに御木本幸吉翁やそこに尽力を果たした学者先生がたのご苦労によって世に送り出されました。
養殖真珠も巻きのよいものを選んでくださいね。
参考文献
＊万葉百科 奈良県立万葉文化館