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お笑いをやっている女の子と、これからお笑いをやる女の子へ

はじめまして。LUDO4年の高瀬と申します。
私はこれまで主に暁天という女子コンビで漫才をしてきました。
これは、私がお笑いを始めてから、散々「下手」「声が小さい」と言われ、「ツッコミ上手くなったね」と言われるようになり、「ツッコミ面白くなったね」と言われるようになるまでの試行錯誤の話です。
これは、後輩の女の子たちと、未来の後輩の女の子たちと、少しでも演者をやってみたいと思ったことがあるすべての女性に向けた文章です。

ほんとうは、誰に話すとかでもない自分の中での話なんですが、少し前にたまたま後輩の女の子の悩みとボヤきが目に留まったり、後輩から相談を受けたりしたことで、自分の経験と辿り着いた考えを共有したくなってしまったのがきっかけで、全部ここに書くことにしました。手の内を明かすのはかなり恥ずかしいことですが、過去の私と同じ悩みを持つ女の子に届いたらいいなと思っています。あとは、私のことをズルとか面白くないとか思っている人にも読んでほしいです。

長くなるので先に伝えたいことをまとめます。

・女であることはお笑いをやる上で必ずしも不利ではない
・「女だからウケてしまう」こともあるし、「女だからウケているんでしょ」と思われてしまうこともある
・憧れのお笑いができなくても、あなたにしかできないお笑いがあるよ!!

後輩たちに伝えたいことはこれに限ります!
これを見て「いや~…」と思う方は、是非最後まで読んでください😌

ここからは、時系列で私の辿った道と考えていたことを書き連ねていきたいと思います。


①1~2年最初:男漫才に寄せようとする漫才下手期

 1年生で最初に組んだコンビから基本ずっとツッコミだった。誰でも最初は声の出し方や間の取り方が不自然で下手な時期があるものだが、周りに上手い人が多かったので、自分は下手だ!という意識が強かった。

周りの同期に負けたくなくて、「上手い漫才」と言われる動画をたくさん見て、不自然じゃないツッコミを研究した。
この過程で自然と自分の中の理想が「正統派男ツッコミ」の上手さになっていった。
サークルの中心にいて皆を引っ張っている面白い先輩たちがTHE 男性で、義務教育のように見せられて衝撃を受ける昔のレジェンドの動画が男2人のかっこいい漫才だったからなんだと思う。あとは金山さんの影響。

当然、そこに寄せていこうとすると自分の声の出し方に合っていないから声量も劣るし、ニンに合っていないから不自然で下手だった。(これでちゃんと上手くいく女の子もいると思います!あくまで私の例です!)
別にこの方向性に寄せる努力が無駄だったわけではないと思う。最初から変にオリジナルなことをしないで正面から技術不足に向き合っていた時期があったからこそ、今ちょっと変なツッコミをしても正統派のエリアを出ずにいられるのかもしれない。
1年生の頃は同じサークルの同期の男漫才が評価されてよく先輩のライブ(クラシキ5番勝負など)に呼ばれていたから、「私の声帯も口調も漫才に向いてなくて不利だ!」と思ったし、早く技術で追い付かなきゃと思っていた。
当時は本気で女(私)はお笑いをやる上で不利だと感じていたが、今はそうは思わない。「評価され権威を持っているお笑い」になるべく近い形を目指そうとすると確かに不利な面があるのは事実だが、独自のスタイルを確立しやすいという点では必ずしも不利ではないと考えている。

当時に話を戻すと、ツッコミの下手さに悩んだのち、下手なことをなるべく目立たせないようにやろうとするようになった。暁天を組んでからは、キャラの強いボケを邪魔しないようにという意識でやっていて、ツッコミで落とすのがとにかく怖かったので、基本ボケのみで落ちるようにしてツッコミは添えるようにネタを作っていた。
その中でも、どうしてもツッコミで落とさなきゃいけない箇所はあったのだが、ずっと違和感があり、同期にネタ見せしたときにそこを練習させられるのがかなり苦痛だった。

こんな感じでしばらくやってみてしっくりこなかった時期に、男女コンビに転向して上手くいく女の子も多いと思うが、私にはそれも向いていなかった。
余談だが、1年生の冬、サークルの同期に誘われて某事務所のオーディションを受け、所属前の事務所ライブに何度か出ていた時期があった。しかしそこでは作家に「女の子なのに台本が書けてすごいね」と言われ、周りの芸人からは他の女芸人と比べてどっちが可愛いかといった話題を始め、ここに書けないようなしょうもないセクハラをされた。
コントで「女の子」を演じることに抵抗を感じてしまった。
やっぱり私は女子コンビの漫才で戦っていくんだ!と思った。
(男女コンビを下げているわけではありません!私が始めたての頃に飛び込んだ環境が良くなかっただけ!)

②2年夏くらい~3年秋:上達したけど何か足りない期

この頃には、下手さを目立ちにくくすることに慣れて、先輩から「ツッコミが上手くなった」と言われるようになってきた。場数を踏んだおかげで、ある程度ツッコミで落としても大丈夫なようにもなってきた。


↑この辺の時期のネタです。

一方でネタに停滞も感じていて、金山さんに相談したところ、もう一段階面白いネタを作るためにはボケだけじゃなくて私でウケないといけない、博打のようなことをしなければいけないと言われた。
相方からピンをやってみるように言われてちょっとだけやってみたりしたが、キャラの開拓には至らなかった。
2年後半から3年生にもなると、周りからも認知されてきているため、新しいことやちょっと変なことをするのも怖くて、かなり苦しい時期だった。

③3年冬~今:女らしさをポジティブに捉え、やっと自分の色を見つけた

転機は電車で衣装をなくしたことだったのかもしれない。
女芸人フェスに向かう電車で衣装をなくし、買い換えなければいけなくなったのだが、その機会に衣装を見直してなんとなくズボンからスカートに変えてみることにした。それまでは「舐められたくない」「なるべくノイズを減らしたい(まだどこかで女性らしさをノイズだと思っていた)」という気持ちでパンツスーツのスラックスを履いていたが、気分を変えて黒のマーメイドスカートを衣装にした。
すると、不思議なものでツッコミが衣装に寄ってきた。
これだ!と思った。

衣装をスカートにして最初のネタがこれです↓

全アマ準決勝を観ていた新道さんからも、「今まで大学お笑いの定型みたいなツッコミだと思ってたけど、急に自分の色が出たね。」という言葉をいただいた。アンケートでもツッコミのことをよく書かれるようになった。
女性らしい衣装にしてみたことで、今まで「お笑いの場での女性らしさ」に対して様々な経験から否定的な感情を抱いていたのが取り払われ、むしろお笑いに利用できるようになったのだと思う。

まとめ

結局何が言いたいかというと、「衣装をスカートにしたら上手くいくよ!」という話ではなくて…!
「こうしなきゃ」と囚われているところから脱却すると、思いがけないところで自分の色が見つかるかも!ということです。

男女問わず、大学お笑いの中心にあるもの、すごいとされるものが自分のニンから遠いと、スタイルを確立するまで遠回りをすることもあると思います。その中で不利だと感じることもあるかと思いますが、自分の色を出すことに関しては、マイノリティの人たちのほうが他と違うことをやりやすいはずです!女芸人もそうだし、声を張るのが苦手な人などもそうです!
お笑いのマイノリティであることは、総合的に見て決して不利ではないと信じています。
確かに、大学お笑いの大会は特にパワーやエネルギーが評価されやすいですが、大声を出さずに芸会やNOROSHIの決勝に行く人だっているんだから、私たちも私たちにしかできないやり方で勝てるはずだと思っています!

だからと言って、決して女芸人ならば無条件で有利ということでもありません。ただ可愛い子が下ネタを言うとか変なことをするとかで、女だから「ウケてしまう」現象があります。女の部分を強調すればウケやすい分、しっかりと中身でウケていても、「女だからとかじゃなくてちゃんと面白い」と評価されるのに時間がかかる場合もあるかと思います。
先輩との仲の良さがサークル内の評価やライブオファーに繋がる環境では、男社会に辟易することもあるでしょう(これは女芸人だけじゃなくて、サークルに疎外感を感じてる人みんな)。
これに関しては、ほんとに、ネタで見返してやろう!!!
面白いことをずっと続けていれば絶対に大丈夫!!!

お笑いをやっている/これからやろうとしている女の子へ!
なかなか上手くいかなくても、本当にお笑いが好きなら絶対に諦めないでください!!もし、何か嫌なこととかモヤモヤしたことがあったらいつでも私に言ってください。話したことがない女の子でも大丈夫です!
嘘じゃなくて本当にお笑いをやる女の子「全員」応援しています!!!🔥



🌟関連(?)告知🌟
12.10「漫豪トライアウト」
女2人でも漫豪になれるところを後輩たちに見せたい!いろんな漫豪がいたらいいなと思います!戦います!


12.29「ワンウィークと暁天がネタを3本ずつやってゲストにお嬢様が来てくれるライブ3」
戦友でありライバルでもある同期の女子コンビとのツーマンで、ゲストに女の子たちを呼ぶライブです。平場や企画にこだわっています。普段のライブでは、大きな声を出して前に出て男芸人のノリに順応できる者が平場を制しますが、ここでは何にも遠慮せず自由にできる!ネタも平場も楽しいものを用意するので、ぜひぜひ遊びに来てください!!お客さんは男女比半分くらいです!



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高瀬
お笑い軍資金にさせていただきます。