mRNAを標的とした低分子医薬品+核酸医薬品で「あたたかい社会」の実現を目指す
mRNAを標的とする理由
当社は、現在主な事業としているmRNAを標的とした低分子創薬のプラットフォーム事業による低分子医薬品の創出に加え、同じくmRNAを標的とした核酸医薬品の自社パイプラインの創出に取り組み始めています。mRNAを標的とした医薬品が有効であることは、低分子医薬品より先に、核酸医薬品が徐々に市場に現れ、治療効果が得られていることから認知され始めています。
現在の医薬品市場において、低分子医薬品は市場全体の50%以上を占めており、優れた商材であることから、将来的にも最大の市場であり続けると中村は考えています。
現在上市されている低分子医薬品のほとんどがタンパク質を標的としていますが、mRNAを標的とした低分子医薬品が実用化すれば、現在の数十兆円規模に匹敵する市場が、将来新たに創出される可能性すらあると考えています。
低分子医薬品と核酸医薬品の違い
低分子医薬品には、上述のとおり商材として非常に優れた特性があります。服薬時に注射などの痛みを伴わない経口摂取が可能であり、保存が容易で日持ちし、中枢神経系の疾患にも効きやすい点などが挙げられます。また、製造コストが大幅に抑えられます。
しかし、低分子医薬品の創出には、化学合成を通じて地道に試行錯誤することが不可欠であり、「これだ!」という化合物を見つけるまでには長い研究期間が必要です。このため、研究コストが高くなります。さらに、服薬特性などから大きな市場を狙うことになるため、開発が長期化する傾向にあり、開発コストも高くなります。
核酸医薬品は低分子医薬品とは異なり、通常は注射剤として使用され、病院で投与されます。また、当社のコンピュータによるmRNA解析技術により、核酸医薬品の配列そのものがわかるため、研究期間が短縮され、研究コストも削減することができます。こういった核酸医薬品の特性は、早期の治療薬開発が求められている希少疾患(患者数が少なく、治療用医薬品が存在しない疾患)に適しており、結果的に開発規模を小さくし、開発コストを抑えることが期待できます。このように聞くと、核酸医薬品は夢のような医薬品ですが、残念ながら製造コストが非常に高いという課題があります。
希少疾患の革新的な治療を目指して
医薬品の研究・開発コストは、医薬品を創出する際に必ずかかる固定費となり、製造コストは、医薬品を生産する際にかかる変動費となります。大きな市場では、変動費が安く抑えられる製品が適しています。逆に小さな市場では、全体コストに占める固定費の割合が大きくなるため、固定費を抑えられる製品が適しています。
すなわち、低分子医薬品は固定費が高く変動費が抑えられるため、市場の大きな一般の疾患や感染症向けに研究・開発することで、服薬特性の高い医薬品をより多くの患者さまに低価格で届けることが可能になります。一方で、核酸医薬品は変動費が高く固定費が抑えられるため、医療ニーズが高く、市場の小さな希少疾患向けに短期間で研究・開発することで、より早く適切な治療薬を患者さまに提供することが可能になります。
mRNAを標的とした低分子医薬品と核酸医薬品を手掛けるVIS
当社のように、mRNAを標的とした低分子医薬品と核酸医薬品という両方の創薬を手掛ける企業は中村の知る限り存在しないため、mRNA標的低分子医薬品は一般疾患に向いていて、核酸医薬品は希少疾患に向いている、と公言している企業はほとんどないと思います。しかしこの考えこそが、将来の業界の常識になると中村は考えています。そしてVISには、中村が社員とともに作り上げてきた理論と基礎技術があります。
当社はこれら低分子医薬品と核酸医薬品の2つの事業を通じて、当社の経営理念である「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、適切な治療が受けれないと嘆いたりすることのない希望に満ちたあたたかい社会の実現」に向けて邁進してまいります。