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いよわ『異星にいこうね』を褒めちぎるnote
君を遠くに連れ去って、二人だけの世界を作れたら、君は私のことをずっと見てくれるよね。
君はずるい人で、あの場所なら君を誘惑するものは何もないから。
さあ、UFOに乗って。
「異星にいこう、ね?」
はじめに
こんばんは、ヴェリです。
ちょっと変わった書き出しにしてみました。
書きたいnoteがたくさんありますが、今回は『異星にいこうね』のいいところをたくさん書こうと思います。
『地球の裏』つながりでこっちもまとめておきたかった。
未視聴の方はまずこちらから↓
本文の歌詞はピアプロから引用しています。
『地球の裏』noteでも書きましたが、対を為している『異星にいこうね』は、単なる異星人が人を攫おうとしている歌ではなく、いよわさんの創作に対する気持ちを歌った曲でもあると思っています。
今回の文章は、『地球の裏』noteを土台にして書いているところが多いので、未読の方はこちらのnoteも読んでいただけると嬉しいです↓
今回もnoteのサムネを描きました。(サムネ間に合わなかったので、現在仮サムネになってます。完成でき次第変更します。)←完成しました
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⚠️⚠️このnoteは歌詞の自己解釈を含みます。
解釈のひとつとしてお楽しみください。
曲について
先程も書きましたが、『異星にいこうね』は『地球の裏』と方向性は違うものの、言っていることは結構似ています。
まずは英語の題名、"Take you to an alien"について。
命令文なので、言葉の雰囲気から強い印象を受けます。
alienについては、異星というより異星人というニュアンスなんですかね。(調べても宇宙人とか人の要素しかなかった)
「異星人のもとにいこうね(強い圧力)」という感じに受け取りました。
『地球の裏』でも英訳は連れ去る(命令)になっていました。笑いながら怒ってる人を見ているときのような不気味さを感じますね。
そして、星界という新ボーカルであることと不穏な歌詞から、いよわさん自身の気持ちを描いた曲である可能性が高いと判断しました。
最近の曲の特徴は、ボーカル(合成音声)のいよわガールズ化+いよわさんの気持ちなのかもしれません。
いつかその辺もまとめられたらいいなと思います。
さて、これから歌詞についていろいろ書いていこうと思います。
歌詞① 14
キャトルミューティレーションのように恋した
実地調査14日目の朝よ
みだれの無い計測機器が
奏でるのは知らない音
どくん と
警鐘のよう 響くの
特定の弧をえがいて飛び立つの
頭上には相変わらずの
はりついた気持ち悪い色
「14日目の朝」というフレーズが気になります。
実地調査をいよわさんの創作だと仮定して、14作目を調べてみると、『黄金数』という曲がヒットしました。概要欄に「14曲目」と書いてあります。
『黄金数』といえば、最後の曲だったかもしれない15作目『さよならジャックポット』の1つ前。
『黄金数』では、「真夜中の昼間」という歌詞がありますが、『異星にいこうね』では「朝」になっているのも考えられているなと思いました。『黄金数』の真夜中から目覚めた朝ということでしょうか。
「警鐘のように響く」という歌詞が、自らの危険を知らせているように感じます。
「特定の弧」は黄金比のイラストのことですかね。
そして、『地球の裏』では、「乱れの無い計測機器が捉えるのは気持ち悪い人」という歌詞がありました。気持ち悪いという感情がずっとあるんですね…。
歌詞② 傷と繰り返し
体内 深い傷があって
とうとう 劇物が混ざった
そうして こまぎれの昨日の
くり返しをすることに夢中になったの
「深い傷」は、『地球の裏』の「首輪の内側には棘が刺さっている」とリンクしますね。
もうひとつリンクする箇所があるのですが、この話をすると長くなるので、また今度の機会に。
「こまぎれ」とは、漢字にするとわかりやすいですが、細かく切られたもの。
昨日(過去)の記憶や思い出のこと。実地調査の文脈で考えれば、過去の曲と考えるのがいいかもしれません。
新たな曲(創作)が生み出せなくなり、過去の曲に縋っている。(『地球の裏』での『さよならジャックポット』引用説のように。)
繰り返すということは、先には進めない状況です。行き詰まりを感じます。
歌詞③ どうして君はずるい奴なの?
ゆらり 宙に浮かんで
ままごとをしましょ
UFOにのって異星にいこうね いこうね
きっとね きっと君はズルい奴だよ
UFOにのって異星にいこうね いこうね
まず、大事なのは「ままごと」という単語。
この辺の意味で言ってるんじゃないかなと思っています。「手慰み」は「暇つぶし」的な意味らしいです。
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冒頭の書き出しにもそれっぽいことを書きましたが、UFOに乗って異星に行くのは、「君がずるいから」です。
君とは、誰なのか。
今この文章を読んでいるあなたです。
いよわさんの音楽を聴いている人のことです。
音楽家にとって、リスナーとは生命線。
聴いてくれる人がいないと、音楽家としての生命が途切れます。音楽家だけでは成り立ちません。
一方で、リスナーはどうでしょう。
ボカロPだけでもたくさんの方の名前が思い浮かぶのではないでしょうか。
この世界には音楽が溢れています。
音楽家はリスナーに向けて曲を作っているのに、リスナーにとっての音楽家はいくらでもいる。
自分の音楽だけは聴いてくれない。
だから、ずるいのです。
歌詞④ キュートアグレッション
キャトルミューティレーションのように恋した
実地調査17日目の朝よ
ぶちこわれた 計測機器が
奏でるのは知らない音
どくんどくん と
警鐘のよう 響くの
キュートアグレッションが囁くの
1番の要領で探すと、17曲目は『オーバー!』です。
この『オーバー!』は、月が出てくるのでおそらく夜。歌詞は17日目の朝に感じたことですから、事件が起きたのは、16日目と考えるのがいいでしょう。
16曲目は『1000年生きてる』です。
実はこの曲、再生数が3番目に多い曲です。
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ぶちこわれた計測機器とは動画の再生数のことなのではないでしょうか。
完全に私的な推測ですが、『きゅうくらりん』と『IMAWANOKIWA』は、SNS(TikTok)を中心に流行った曲であり、『1000年生きてる』はボカコレでランクインした曲。これだけ伸び方が特殊です。
かわいい、リズムが良い、病みっぽいという曲の雰囲気ではなく、曲に込められた「1000年残る曲を作りたい」というメッセージ性が評価された。この辺が「知らない音」に由来しているのではないかと考えています。
そして、この17日目の朝に感じた「知らない音」が警鐘のように響いてくる。「警鐘」は1番の歌詞にもありましたね。
しかし、ここの「知らない音」は「知らない跡」と言ってそうです。
「跡」と言えば、『さよならジャックポット』の「冷えてほしい跡 知ってほしい」という歌詞にリンクします。
厳密に言うと、これもちょっと違うのですが、今はそういうことにしましょう。(長くなるので)
次の「キュートアグレッション」は簡単にいうと「可愛いもの見たときに壊したいと感じる衝動」のこと。
人は可愛すぎるものを見ると、噛みつきたくなったりギュッと握ってしまいたくなるような衝動を抱くことがある。これは可愛すぎるものに接したときの脳の防御反応と説明されたり、制御できなくなったものへの反応としている[4]。
再生数は一般的に自分でどうこうできるものではないので、制御できないものですね。
自分の作品(かわいいもの)に対する感情を「キュートアグレッション」と表現しているわけです。こんな語彙が私もほしい。
【重要】歌詞⑤ にせもののなぐさめは
先ほどなぜ、歌詞を中途半端に区切ったのかと言うと、ここがいちばん言いたかったところだからです。
このためにnoteを書いたと言ってもいいくらい。
それでは歌詞を見ていきます。
にせもののなぐさめは
あいにくもう持ち合わせてないよ
この歌詞は本当にこう言っているでしょうか。
気になる方は、MVを貼っておくので、今一度聴いてみてください。
このように聴こえませんか?
にせもののなぐさめは
あいにくもう持ち合わせ 足りないよ
この言葉がきっと、真に伝えたいものです。
「持ち合わせ」の意味を確認しましょう。
ちょうどそのとき持っていること。また、そのもの。特に、金銭。「今はそんなに—がない」
お金のことです。
お金は現実世界でも大変重要なものですが、いよわさんの創作観において、特別な意味を持っています。
思い出すのは いつも
小さく輝く コインの絵柄だけ
いちばん キレイな 記憶だけだから
コインを貸してあげる
コイン(お金)とは、創作のアイデアのことなんです。
詳しくは私の『地球の裏』noteにも書いてあります。
つまり、『オーバー!』の辺りから創作のアイデアが尽きてきたということなんだと思います。
そう仮定すると、『たぶん終わり』から『異星にいこうね』が出るまでは元ネタがあるとされる曲なので、自分から湧き出る創作のアイデアがないということに対して、説得力があるように個人的には思います。(私はどっちもそれぞれの良さがあって、魅力的だと思うよ。)
歌詞⑥ あいさつしましょ
臓器も ぜんぶ捨てて
あいさつしましょ
UFOにのって異星にいこうね いこうね
だから、臓器を全部捨てて、挨拶するしかないんです。
自分を切り取って、自己紹介するしかないんです。コイン(アイデア)がないから。
この部分は『地球の裏』と密接に関わっています。
「あいさつ」は「自己の紹介です」に対応し、「臓器もぜんぶ捨てて」は、「やめることも逃げることも出来ぬままで 心の臓を切り売りして生きてきたでしょう」に対応しています。
何度も出して恐縮ですが、この辺は地球の裏のnoteをセットで読むと深みが段違いに増します。
歌詞⑦ 星はいらない?
なんて大きくておぞましく
美しい星だろう
でも僕たちにはもういらないね ないね
ボカロ界において、星(惑星)の名前のつく有名な曲があります。
『砂の惑星』の解釈を簡単に言うと、「ボカロ界に対するハチの考え方」であり、「ボカロ界は廃れつつあり、自分は去るけれどもみんなは好きにやってくれ」という感じの歌です。
この曲への言及は、他のいよわさんの曲でもされていますが、それはまたの話。
とにかく、「大きくておぞましく美しい星」とは、ボカロ界のことを指します。
そのボカロ界に対して、
他の曲はもういらないね。
でも、そんなこと叶うわけがないね。
と言っているのだと私は考えました。
『異星にいこうね』は、「自分の曲だけを聴いてほしい」という叶わない願い、可愛いわがままの歌だから。
歌詞⑧ もろい体機能
体内 ひどい熱があって
朦朧 浮かされては膿んだ
そうして もろい体機能の
営みに触れることに夢中になったの
「熱」「朦朧」は後の曲に出てきますね。
「熱」は『熱異常』、「朦朧」は『地球の裏』です。次の褒めちぎるnoteは『熱異常』にしようかな…。
「熱に浮かされる」の意味を調べてみると、
1 病気で高熱のためにうわごとを言う。
2 前後を忘れて夢中になる。のぼせ上がる。「―・れていて忠告など耳に入らない」
これ熱で朦朧としている姿と熱中してる姿両方かけてるんじゃないか?
苦しさと楽しさが一緒くたになりながら曲を生んでいる姿が思い浮かびました。
いよわさんの脳には辞書が完璧に入っているのか?
次の「もろい体機能」ですが、これもまた違うふうに聴こえました。
「のろい体機能」または「呪いたい昨日」
後者の方が筋が通りますね。
というのも、『さよならジャックポット』では「呪いを抱えて」、『地球の裏』には「呪いの音」という歌詞があり、私はそれを呪い=音楽であると解釈しました。(『地球の裏』note参照)
つまり、「呪いたい昨日」とは過去の音楽のこと。
1番の「こまぎれの昨日の くり返しをすることに夢中になったの」と内容的には同じですね。過去の音楽に縋っている状態です。
歌詞⑨ なんにも忘れぬよう
なんにも忘れぬよう
連れていきましょ
UFOにのって異星にいこうね いこうね
どうして なんでそんな怖い目でみるの
分かってくれなくて悲しいな
もう知らないわ
「なんにも忘れぬよう」=「永遠に残したい」=『1000年生きてる』
自分の音楽が1000年生きられるように、自分の音楽だけを聴いてほしいと伝えているわけです。(歌詞④⑦辺りの結論とも言えるかもしれない。歌詞④で出てきた『1000年生きてる』に繋がるのすごすぎ。)
しかし、その状態を人攫いをしようとする異星人に例えている訳ですから、歓迎はされません。
誰だっていきなり異星人に襲われて、連れ去ろうとされたら怖いですよね。
だから、異星人サイドも
「どうして なんでそんな怖い目でみるの」
「分かってくれなくて悲しいな」
とわかりきった感情を再確認しています。(叶わない願いだとわかっているから)
「もう知らないわ」からも、本当はわかってほしいけれど、私たちは分かり合えないという苦衷が読み取れます。
そういう諦めにも似た気持ちがあるから、MVの女の子は手を掴んで引っ張って、無理やり異星へ連れ去ることは、できなかったのではないでしょうか。
おわりに
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
突然ですが最後に、歌詞の冒頭に出てきた「キャトルミューティレーション」の意味を確認して終わろうと思います。
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――臓器も ぜんぶ捨てて あいさつしましょ
――UFOにのって異星にいこうね いこうね
――自己の紹介です 唇のすき間から酒をこぼしたり 味のしない肉をただ噛んでいる 遠慮がちな墓に成りさがってゆく屍
天才すぎんか????????
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