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Leave No Traceから環境倫理を学ぶ

12月は環境保全がテーマ。12・13日の2日間みっちりと、半年前から企画・3カ月前から募集したLeave No Traceトレーナーコース(レベル1)を主催しました。パドルスポーツでもお世話になっている一滴パドル&マウンテンガイドの中村昭彦氏を長野から講師に招き、私自身も参加者のひとり。

Leave No Trace(リーブノートレイス)とは、環境に与えるインパクトを最小限にして、アウトドアを楽しむための環境倫理プログラムです。北米由来のこの自然環境に対する考え方や方法が、徐々に日本でも広がりつつあります。


〇「LNTを大台で」の経緯

そもそもLNTコース企画のきっかけは、4年前から大学生を前に山のプログラムをとおしてアウトドアについて伝える機会をもらっていて、私自身の環境への倫理観を固める必要性を感じていたから。振り返ってみると2020年の大学生とのプログラムのブログを振り返ってみると文末にこんな記述があります。

「私たちのリアルな情報と課題を学生さんに与えすぎてしまったな、と少しの後悔があります。このリテラシー学で出会う学生さんはお客様でもなく、コンサルでもなく、この10日間で自然を活用する楽しさや難しさを共にする仲間になってほしいな、と思いつつ、情報を与える以外の方法を私がもう少し学ばなければ、と自戒した回でもありました。」

「森にとまるマナー・大学生に共有した地域の課題」

今回は、LNTの環境倫理は「押し付けでない」「教育」であるということ、伝え方を学ぶことがより深い学びに繋がるということを体感・トレーニングできました。そして、12名の参加の皆さんのポジティブな姿勢は刺激になり、講師のアキさんのプロを育てるプロの手法を目の当たりにでき、贅沢な時間でした。何よりたのしかったです。

〇伝え方を学ぶことがより深い学びに繋がる

LNTは7原則が定められ、全ての人が環境へのインパクトを最小限にするためのわかりやすい基準を表しています。もともとはバックカントリーで生まれたものですが、全ての環境に応用することが奨励されています。

  • 原則1 事前の計画と準備

  • 原則2 影響の少ない場所での活動

  • 原則3 ゴミの適切な処理

  • 原則4 見たものはそのままに

  • 原則5 最小限の焚火の影響

  • 原則6 野生動物の尊重

  • 原則7 他のビジターへの配慮

よくある研修会では、知見ある先生が登場し、原則についての知識インプットの時間が続き、質疑応答と復習で知識が個人の思考の深みや実践に繋がる、という流れだと思います。今回のLNT講習は、徹底的なスチューデントティーチングで学びを深めました。(スチューデントティーチングとは参加者が教師役となり、他の参加者に授業を行う手法)

ちなみに、私は原則2を担当。
初日は、公園でのオーバーツーリズムによる桜の木の立ち枯れを導入で伝え、自然界にとって人の「重さ」も影響あるインパクトであることを意識。スチューデントの参加・協働が少ないというフィードバックをもらった2日目は、参加者の実践を共有する手法をとりました。参加者には、マウンテンバイクツアーの実践者や、トレイルランニングを趣味にしているキャンプ場経営者、木育提供者、カヤックガイド・・・と自然に関わるメンバーが多様に集っています。(このメンバーと学べることも贅沢ですね)

「トレイル インパクト」と検索するとまずマウンテンバイクが、次にトレイルランニングの記事が出てきます。彼らの自然への配慮、関わり方、コースのつくり方を知ることで、新たな知識を得る。そして、自身がマウンテンバイクのツアーガイド/トレイルランニングの大規模大会主催者/公園の施設管理者 である場合のトレイルのコースの使い方を考え共有する。こんなスチューデントティーチングを実践しました。

マウンテンバイクツアーガイドとして
大規模トレイルランニング大会企画・運営者として

他の6原則も、参加メンバーが思案したティーチング・フィードバックから深い学びがあり、環境倫理についてみっちり考える2日間です。

〇これからのアウトドアプログラム

参加者には、これまで環境リテラシー学やヤングサポーター育成事業で関わりをもった20代の若者も参加してくれました。その若い学生が主導する「原則7 他のビジターへの配慮」は、印象深いセッションでした。

初日のワークを通して、LNTのキーワードとして、「押し付けでない」「教育である」「行動規範」などが出てきました。
A.LNTの哲学は他人に押し付けるものではないという暗黙のルール
B.我慢しない
という2つは両立するかどうか、をテーマにしたセッション。私自身の哲学を深く考えさせられる時間でした。「アウトフィッターとしての環境倫理をどう伝えるか。」

彼女たちの発言を聞いて、改めて、意識的でも無意識にでも自然環境倫理をもっていると伝わる地域やビジネスが若者に選ばれるのだろうな。そして若者や女性に選ばれない地域やビジネスは持続的でないのだろうな、と考えたりしていました。

アウトドアで平気で立小便するおじさんを見て、20歳のベルデのスタッフが本気でひいていたことを思い出したり。40代の私は、そのおじさんと同じ世代で、学ばないと今の時代の倫理観を持ち続けることはできないのだろうな、と考えています。


私のリマインドとして五月雨にメモを残しておきます。

・SPECモデル:受講者自ら(Student-Centered)が問題解決の過程(Problem-Based)で体験を分析(Experiential)し、他のメンバーと協働(Collaborative)

・サムズロー(親指で隠れる距離):動物がストレス・警戒のない距離、16m程度
・マウンドファイヤー: 土との距離16㎝
・薪の5D: Dry  Dead  Down  Dinky  Distanse
・インパクト小→大: 雪と水/砂/岩/土/草/湿地
・トイレ: 水場から60mの距離/黒土20㎝掘る

リマインドメモ
杉林でフィールドワーク中

今回のLNTレベル1トレーナーコースを機に、Verde大台ツーリズム(私の会社です)もLNTメンバーとして登録をし、私たちにできる方法でLNTで学んだ環境倫理を伝えていきます。ベルデにとって、安全とともに、環境倫理をもっていることはデフォルトです。

・・・新しい学びがあったことはもちろん、観光業をお仕事にしている立場として、各所アウトドアで活躍するプロのみなさんが、私のフィールド・地域にに集っているということがうれしい2日間でした。

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