1-化学系エンジニアのための半導体入門〜市販の書籍での学習の難しさ
前の記事でも書きましたが、化学系メーカーの人間(半導体を専門に扱っている人以外)が市販されている半導体関連の書籍で学び知識を増やして業務に活かしていくということは非常に時間がかかる作業だと感じています。
僕は大学で化学を専攻していましたが、半導体について全く講義できいたことがなかったわけではありません。
ほとんど覚えていませんが、p型半導体・n型半導体がありpn接合やフェルミ準位といった用語があったことはかろうじて記憶にあります。
ではなぜ多少なりとも半導体について学んだことがある僕がこれまで苦労することになったのでしょうか?
それは一般的にニュースや新聞、化学メーカーで使われる「半導体」という用語が大学などで学んだ半導体とは別のものを指しているからだと僕は思っています。
市販の書籍や大学の化学系の講義で使われる半導体とは、導体と不導体の中間の性質をもった物質のことを指していることが多いかと思います。
実際に書籍などを見ても、冒頭の部分で「半導体とは何か?」「どんな物性があるのか」について詳しく書かれているものも多いと思います。
この冒頭の部分が難しく、本を読み進めることが憂鬱に感じてしまう人も多いのではないでしょうか?
僕自身もそうです。
しかしあえて言わせてもらうならば、その冒頭の部分は半導体を専門に扱う人以外は知る必要がない部分だと思っています。
(これは半導体について学ぶ初歩の段階においての話です。)
前述した一般的なニュースなどで使用される「半導体」とは物質としての半導体ではなく、その半導体をもとにして作られた「半導体チップ・ICチップ」のことを指していると考えてよいでしょう。
つまりニュースで半導体不足が伝えられたときに不足しているものは物質としての半導体ではなく、加工後の機能・構造を付与された半導体チップということになります。
半導体チップについて理解するためには、材料としての半導体を知っていても不十分です。また、化学メーカーの人間に求められるのは加工プロセスについての知識がほとんどだと思います。
デジタル回路などの情報処理についての知識がないことが化学系エンジニアが躓く1番の原因だと僕は思います。
書籍に書かれている順番で学ぶのではなく、学ぶべきことは①論理演算などの初歩の情報処理、②エッチング・成膜などの加工プロセスの2つだと僕は思います。
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