死に際に聴く曲
特定の人と話をしてみたいと思う時の声の掛け方なんてものは、人それぞれあると思うのですが、
「死ぬ時に何の曲を聞いていたいか。」
という声掛けをされたのは、
私の長くも短くもない人生で今のところ1度だけです。
一時期私は職人を続けながら生活費を稼ぐために派遣で仕事をしていて、
その派遣で働いていた2年間という短い期間限定の友人がいたのですが、
その友人は通り雨のように突然やってきて私の生活に一気に浸透し、
「連絡なんて取らない。いつか遠いところから聞こえてくるニュースで、あなたの活躍を聞ければ良い。」
と、連絡先を聞きたがる私に何の痕跡も残さないまま、急に去っていったのでした。
今は働いている業界も全く違う上に、私の担う仕事を生業にしている人は職人時代より遥かに多く、
業界に参入したばかりの私では、遠くまで名前が伝わるほどの活躍が出来る見通しは全くないのですが、
それでも唯一未来について約束したものなので、私はそれを目指して日々精進するしかありません。
この時、その友人とは業務以外でほとんど話したことがなく、
たぶん何処かから仕入れてきた「Pitsukoはフジロックに行くくらいには音楽が好き」という情報からの流れだったのでは、と思います。
ところで、その友人と私には「アトピー持ち」という共通点があり、
お互いにそれぞれ試してみて大丈夫だった化粧品や日用品についてもよく話し合いました。
私よりちょっとアトピーが激しめだった友人は、「アトピコ」以外は使えないと言い、
多少高くても「アトピコ」だけを使い続けると宣言していたのをよく覚えています。
それからというもの、ドラッグストアで「アトピコ」を見かけては今はもう連絡の取れない友人を思い出し、
改めて死ぬ時に聴いていたい曲に変更はないか、考えるきっかけとなり、
更に今の自分の価値観を再確認する振り返りの時間となっているのです。
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