”はじまりの女性たち”

昨日までは気まぐれ的にクリスマスのことを書いたが、

今日からイナンナ、イシュタルの話に戻そうと思う。

本格的にその話をする前に、最近、とても興味深い一人の女性の存在を知った。

「あの人」の真の姿を知る、もう一つのカギとなるかもしれない。

古代メソポタミアの地にもともと存在したシュメール人たちを支配したアッカド人たちの王、サルゴンの王女。

その名は、エンヘドゥアンナ。

彼女は月の神に仕えた女性神官で、世界最古の女性著述家であると同時に、作者が分かっている文章を書いた世界最古の人物であるらしい。また彼女は、「わたくし」を語り手とする一人称の視点で文を書いた最古の人物であるらしい。

そんな色々なことにおいて「最初の人」である彼女は、シュメール神話の神々の中でも金星の女神イナンナをもっとも讃えていた。

また、同じ金星の女神であるイナンナとイシュタルは後世、同一視されることになるのだが、この二神が一体化することに彼女が大きな役割を果たしたというのだ。

この記述を読んで、僕はほとんど直観的に、このエンヘドゥアンナという人も「あの人」なんじゃないかと感じた。

もしこの女性神官が実際に存在したのであれば、イナンナ（イシュタル）が自らの野望を成就させるため、分霊して人間として生まれ出たか、あるいは人間に憑依して使役させたかしたのではないか、というかすかな疑念が浮かび上がった。

それにしても、知れば知るほど、
「下の世界」は「あの人」の思い通りに動かされて来たのではないか、と思わずにはいられない。

僕は、自分の中の知覚の世界がどんどん広がって壮大になっていくのを感じた。

本の蔵の薄暗い部屋で、ひざまずきながら自分の肌が粟立つのを感じた。