語学留学(アメリカ)その1

英語の勉強のためだけに留学したことはありませんが、国際交流プログラムでアメリカに行った時に英語プログラムに参加したことがあります。今回はその話をしたいと思います。

アメリカには英語の学校なんて山ほどあるでしょうが、将来的に大学や大学院の留学を考えているなら、大学付属の語学学校をおすすめします。大学の雰囲気や施設(図書館や寮)などを見たり体験できるし、場合によっては語学研修の一部として大学のクラスまで受講できることがあります。一般の大学生に混ざってクラスが取れるんですから、いい経験と準備になりますよね。

今日お話しするのはインディアナ大学ブルーミントン校付属の語学学校についてです。レベル分けのテストで私は上から2番目のクラスになりました。そのクラスはそれなりにおもしろかったのですが、もしも一番上のクラスに入れればインディアナ大学のクラスが「語学クラスの一環として」取れることを知り、とても残念に思った記憶があります。レベルは確か6-7段階ぐらいに分かれていたかとおもいます。

その学校では一般的な「聞く・話す・読む・書く」をカバーする総合クラスの他に選択クラスがあって、私は映画鑑賞のクラスを取りました。確か「発音練習コース、文法強化コース、読書コース」などいくつかのクラスが選択クラスとして用意されていて、各自自分の好きなコースに申し込む仕組みでした。各クラスとも定員があって、早く登録した人から席が埋まっていく「早い者勝ち」のシステムだったと思います(もしかしたら選択コースがあったのは上の二つのレベルだけだったかもしれません)。

私は最初は発音のクラスに登録したのですが、1回きりで映画鑑賞クラスに変更しました。発音練習コースの最初のクラスに出たところ、あまりにもつまらなくて「無理」と思ったからです。クラスでは発音記号を見ながら、ひたすら各音を発音していきます。これを1時間ずつ、数週間続ける(後になれば文単位での抑揚練習などもあったと思いますが)のは時間の無駄のように思われました。

オフィスに問い合わせたところ映画のクラスには少し「空き」があると分かり、さっそくそちらに変更しました。リスニングの役にたちそうだし、何より映画を見て時間が過ぎていくなんて「楽チンで楽しい」と考えました。クラスの時間だけを考えれば、それはその通りだったのですが…。

2回目からは、見た映画についての感想文を(もちろん英語で)書くという宿題が出て、ちっとも楽チンなクラスではないことが判明。しかも映画を見た後で時間がある場合には英語でその映画についてディスカッションもするクラスだったのです。そんなことがあると映画鑑賞中に居眠りもできないし、しっかり見て映画の流れやエピソードや登場人物について覚えておかないといけません。

メインの総合コースのクラスメートに発音コースの様子を聞くと「退屈だけど楽でいい。だってその場で発音練習するだけで宿題もないしね」という返事です。間違いを犯したことを悟った私はオフィスに行って発音コースに戻れないか聞いてみました。もちろん「楽だから」という本音は一切言わずに。でも発音コースはすでに定員に達していて、再度入ることは認められませんでした。

総合コースの宿題に加え、映画の感想文という「余計な」宿題が加わった私は週末にため息交じりに映画の感想を書きつつ、自分の選択を悔やみました。発音コース取ってれば今頃リラックスできていたのに…。映画について書くのはかなり難しいと思います。「好き」とか「驚いた」という感想を書くにしても、誰のどういう行動が好きなのか、どの場面のどんなところで驚いたのかを書かなければいけない。もう辞書をひきひき表現を探し、文法に気を付けながら書き上げるのは時間もかかりました。

でも、一ついいことがありました。その映画鑑賞のコースには最上級のクラスに入っている日本人の学生がいたのです。クラスが違いますから普段は会うことのない人です。「この人は大学生にまじって大学のクラスを取っているんだ、すごい」と思ったし、英語が下手で定評のある日本人の中にあって一番上のクラスに入ったその人を「日本人の誇り」みたいに思っていました。ちょっと大げさですけどね。その人がどんなふうに英語を話すのか、どの程度流暢なのか、発音はどうなのか、彼がクラスで発言する時は一言も聞き漏らすまいと耳をそばだてていたのを覚えています。(これ、逆の立場になるとけっこう辛いですよね。)いわゆるベラベラというタイプではなく、発音もそこそこ日本人っぽいのですが、話し方に破綻がなく分かりやすいESLの英語でした。

映画のクラスの何度目かの授業で「2001年宇宙の旅」という作品を鑑賞しました。その時のディスカッションで、最上級クラス君が何やら意見を述べました。具体的に何を言ったかは覚えていないのですが、映画に「胎児」がアップになる場面があって、その辺りのシーンについて彼は話していました。で、「胎児」という言葉がそのシーンを描写するためには外せない。でも普段jの英会話で「胎児」なんて言葉はまず使わないし、私はそんな語彙は知りませんでした。一体「胎児」をどう表現するんだろうと固唾をのんでいると、彼は少しだけ首をかしげていたものの「that unborn baby..., unborn baby, right?」と半疑問形を使い、確認するように先生の方を見て話しを進めました。先生が頷いたのは言うまでもありません。それ以来「胎児」という言葉は私の語彙リストに加わりました。でも、使う機会は今まで1回ぐらいだったかなあ。

インディアナ大学付属語学学校がいいと思ったのは、レベルによっては大学の授業が取れて、その単位も認められるというシステムの他に、週末ホストファミリー制度、カンバセーションパートナー制度などのアメリカ人と直接触れ合うプログラムを用意していること、そして語学留学している学生同士(とアメリカ人)が触れ合う国際交流の機会もあることです。

次回はこれらのプラスアルファのプログラムについて書こうと思います。





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