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語学留学 (アメリカ)その3

今回はインディアナ大学ブルーミントン校付属の語学学校での体験その3「週末ホストファミリー制度」についてです。まずはエピソード1。
「週末ホストファミリー制度」といえば、名前だけでどんなプログラムか想像できますよね。
かなりの語学留学生は大学の寮に住んでいて、一般の家族と交流する機会がほぼありません。せっかくアメリカにいるんだからアメリカ人家族と交流する機会も持てるように、という事務局がマッチングしてくれるありがたいプログラムです。せめて週末にアメリカ人家族と一緒に食事をするとか、レジャーを一緒にするとか、できる範囲で交流をしましょうという趣旨で、ホストファミリーにしても無理のない形で参加できます。これも興味のある人だけの自由参加で、私はもちろん申し込みました。
 アメリカ人家族はどのようにリクルートしているのか詳細は知りませんが、あきらかに交流する相手(語学留学生)の出身地や話す言語についてアンケートは取っているようです。というのも、このプログラムで私にマッチングされたホストファミリー、アダムス一家(仮名)は「近い将来仕事の関係で東京に行くので、日本人と、できれば東京出身の日本人と交流したい」という希望の持ち主で、私はまさにその条件にかなう語学生だったからです。なので、私が自己紹介するとアダムス父は目を輝かせて自分たちの日本滞在計画について語り、東京についてアレコレと質問したり、最初から大盛り上がりでした。
 初回は交流を希望するホストファミリーと語学留学生は指定された日に大きいホールに集まり、受付で知らされた番号のテーブルに行きます。そこに同じように受付で番号を知らされたホストファミリーも現れて、お互いに自己紹介をするという流れでした。そして、ある程度話をしたところで、司会に促されてそれぞれのテーブルからホストファミリーが「自分が交流する語学留学生はこんな人です」と会場全体に紹介していました。他のホストファミリーはこんな出身地の語学留学生と交流を持つんですよと知らせる意味もあったのでしょう。自分の興味のある地域や国だけでなく、いろいろなホストファミリーが様々な交流を持とうとしているんですよ、と。
 アダムスお父さんは、まず週末に私を自宅に招待してくれて、奥さんと三人の子供(8歳、6歳、4歳)たちに紹介してくれました。そして一緒に家庭料理を食べ、暖炉のある半地下のファミリールームでゆっくりと楽しい時間を過ごしました。インディアナにある日本関連企業に勤めているアダムスさんの家は「アメリカ人の家」として想像するよりやや小ぶりな感じで、実際子どもたちの部屋はかなり狭い(だぶん3帖ぐらい?)印象でした。机とベッドでほぼ一杯みたいな。長女はそれでも独立した部屋でしたが、次女と末っ子は一つの部屋で二段ベッドを与えられていました。「寝るだけ」と考えれば、それでもいいのかもしれません。遊んだり勉強したりするのはファミリールームらしく、そこは5人家族が揃っていても広々とした感じで、壁際の棚のカーテンからはおもちゃやぬいぐるみが垣間見えていました。
 食事の内容は忘れてしまいましたが、案外と野菜が多かったのを覚えています。アメリカ料理というとステーキなどの「肉」のイメージが強いですが、奥さんが看護師さんをしているからなのか、全体に健康的な印象でした。独立したダイニングルームにある縦長のテーブルは、クリスマスの名残なのかキャンドルなどでとてもきれいに飾られていて、特別なおもてなしを受けているような気分を味わいました。「ここは普段はあまり使わなくて、お客さんが来た時や家族の誕生日など特別な時にもっぱら使うんだよ」とのことでした。朝ごはんや日々の晩ご飯はキッチン脇にある小さいテーブルで食べるそうです。そのほうが後片付けとか楽そうです。テーブルがある分、日本のキッチンよりは広めでしたが、台所の様子は日本と大きい違いはなかったと思います。

食後の団欒はダイニングルームの隣にある1階のリビングルームではなく、半地下にあるファミリールームでしました。そこで私は本物の薪を炎にくべる暖炉というものを生まれてはじめて見ました。もちろん個人の家(別荘や)ホテルなどではなく、普通に暮らす家)でという意味ですが。そこでゆったりとしたソファーに身をゆだね、正面の大型テレビを見るともなく見ならが、いろいろな話をしました。といってもこちらの英語力が限られているので、もっぱらアダムス・ファミリーが家族の話やインディアナ周辺の話などをしてくれたのですが。暖炉の炎が弱くなってくるとちょっと肌寒くなって、奥さんが「薪をくべたほうがいい」とアダムスお父さんを促します。もしかしたら暖炉の火加減は男性の役割(?)なのかな。そういえば日本でもアウトドアのBBQだと男性がやけに張り切りますよね。このリアルな薪暖炉、アダムスファミリーの周辺の家にも同じようにあるのでしょうね、きっと。

談笑して1時間ぐらいした頃に「もうこんな時間ですね。そろそろ失礼します」と言いたかったのですが、それを英語で何と表現するのか分からず頭の中でアレコレ考えていました。表現そのものと言い出すタイミングをどうしたらいいものか、ウームと頭の中でグルグル。考えてばかりで何も言い出せず10分ぐらい経った頃でしょうか、しびれを切らしたのかアダムスさんの方から「do you think it’s about time you should go back?」みたいなことを聞いてきました。普通はこんなこと招待した側はゲストに言わないのでしょうが、私の英語力をおもんばかってくれたのでしょう。先方にしても子供たちがお休みのキスをしにきていましたし、まさにそろそろ帰るべきタイミングでした。この助け舟に”Yes, I should”
と答えたことは言うまでもありません。そして帰る時、向こうは「今日は来てくれてありがとう。とても楽しい時間でした。また是非お会いしましょう」みたいなことをサラサラ言うのに、こちらはthank youぐらいしか言えなくて情けない。頭の中で何度ため息をついたことか。こういう経験を通じて英語力、英会話力は身についていくのでしょう。

次回はアダムスファミリーとの別のエピソード(イースターのホームパーティー)について書きたいと思います。

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