デジタルアイテムに資産性を付加するNFT関連の国内法律と注目海外サービス4選
こんにちは!KVPインターンのたかはしゆうじ ( @jyouj__ )です。
さっそくですが、NFTってご存知ですか?
NFTとは「Non-Fungible-Token」の頭文字を取ったものです。「Ethereum (イーサリアム)」の規格「ERC721」をもとに発行される唯一無二の価値を持つ代替不可能なトークンのことです。(参考: Blockchain Biz)
少々難しい言葉が出てきました。
まずは「イーサリアム」について説明します。イーサリアムとは、ブロックチェーンプラットフォームのひとつで、分散型アプリケーションの実行やスマートコントラクタを実現するための汎用プラットフォームです。
スマートコントラクトとは、契約実行のためにコンピュータプロトコルが条件確認から履行まで自動的に執行する仕組みです。そして、「ERC721」はトークン動作を決めるスマートコントラクトの共通仕様を定めた標準の一つとなります。
ブロックチェーンやイーサリアムについて詳しく知りたい方は下の記事を参考にしてください。
それでは話を戻します。そもそも代替可能なトークンとはなんでしょうか?
ビットコインなどの暗号資産は代替可能なトークンです。発行されるビットコインの価値は全て同じでないといけません。そうでないと、支払いができないからです。
NFTはビットコインなどとは違って、そのトークンに情報を付け加えることで価値をそれぞれ固有にしたものです。これによって、インターネット上でも複製不可能で希少性を持った資産を作成・取引できるようになります。
たとえば、デジタルトレーディングカードやアートの所有権、ライセンスの付与などに使われています。これらは複製されたら困りますよね。
そこで今回の記事では、今後身近になってくるかもしれないNFTについての法律的な問題と注目している海外サービスについて触れていきます!
※ ブロックチェーンの専門家ではないため、内容に間違いがあるかもしれません。そのときはTwitterのDMでコソッと教えてください!
NFTに関する国内の法律的問題
実際にNFT関連の事業を行う上で法律的に注意すべきことはあるのでしょうか?
結論から言ってしまえば、現時点ではNFTを取り扱う上で何かライセンスが必要ということはありません。
暗号資産については皆さんも知っての通り、「資金決済法」の規制の対象となっています。つまり、暗号資産の取引所を運営するといった暗号資産交換業を行う場合、金融庁の認可が必要となります。
NFTは暗号資産と違い、代替性を持ちません。ゆえに、決済機能は持っていません。つまり、通貨としての性質はないということです。
なので、ライセンスを持っていなくても、NFTの発行・管理・交換はできるのです。
実際、金融庁もNFTに関しては暗号資産に当たらないという認識を示しています。
ただし、他の面では注意は必要です。
例えば、アイテムやキャラクターをNFT化したブロックチェーンゲームにガチャ機能をいれることは賭博に当たるかもしれません。
通常のソーシャルゲームのガチャは賭博には当たっていませんでした。それは、排出されるアイテムの利用方法がゲーム内に限られ、換金性を持たなかったからです。
NFTの財産権はユーザー自身のもので、暗号資産との交換を通して換金できてしまうので、ランダム性の伴うガチャは賭博に引っかかってしまいます。
日本では賭博は禁止されているので、気をつけましょう。
それでは、実際にNFTを使って何ができるのでしょうか?僕が気になった海外のサービスを4つピックアップしてみました!
NFT関連の注目海外サービス4選
1. Sorare - サッカー選手のデジタルカードを使ったファンタジースポーツ
会社情報
拠点: フランス
設立: 2018年
累計調達額: 410万ユーロ(約5億円)
まず紹介するのはサッカー選手のデジタルカードを用いたファンタジースポーツのプラットフォーム「Sorare」です。
最初に、ファンタジースポーツについて説明します。ファンタジースポーツとは、ユーザーが実際のプレーヤーを使い、架空のチームを作り、他のユーザーとスコアを競い合うゲームです。スコアは現実の試合での選手のパフォーマンスによって算出されます。
また、自分のチームが上位になると報酬を獲得できることから、一種のスポーツべッティングであるとも言えます。
Sorareはファンタジーフットボールのプラットフォームとして、ブロックチェーンを用いて開発されたものです。
Sorareでは、NFT化されたサッカー選手のデジタルカードをユーザーは購入・売買・管理することが可能です。手に入れたカードを用いて、架空のサッカーチームを編成し、ファンタジーフットボールを楽しみます。
カードはNFT化されているので、供給量を制限することができ、複製・変更などがされることはありません。あとで紹介するNFTアートと同じようにユーザー自身の所有権が保証されています。
また、カードの価値は現実のプレーヤーのパフォーマンスに左右されます。つまり、市場の評価によって日々変動していくのです。このため、ユーザー間のカード取引も活発に行われています。
2019年にリリースされたばかりですが、ヨーロッパの多くのクラブとパートナー契約を結んでいます。また。Jリーグともライセンス契約を結んでいるので、Jリーガーのデジタルカードも収集できます。
日本でもこれから盛り上がること間違いなしの領域です。
2. KnownOrigin - デジタルアートのマーケットプレイス
会社情報( 運営会社: BlockRocket )
拠点: イギリス
設立: 2018年
累計調達額: 不明
次にご紹介するのが、アートの流通プラットフォーム「KnownOrigin」です。KnownOriginが取り扱うのはNFTを使ってトークン化されたデジタルアートです。
アートなどデジタルコンテンツはインターネット上で複製することが容易です。そのためアーティストの著作権を侵害する事例が多多ありました。
しかし、NFTを使うことで来歴や誰が保有しているのかがブロックチェーン上に記載されます。これにより、所有権の証明ができるようになります。
また、デジタルアートをNFTマーケットプレイスを通して簡単に売買・譲渡できるようになるため、開かれたアート市場になることも期待されています。
KnownOriginは個人間のNFTアートの取引所です。仲介者や費用はいらず、アーティストは世界中のコレクターに直接販売することができます。
現在(2020.10.15)までに、KnownOriginでは481人ものアーティストの14833作品が取引されています。
国境も空間も超えて、所有することができるようになったアート市場。まさにアート所有の民主化とも言えるでしょう。今後も伸びていくことが予想されています。要注目です!
3. DigiTix - イベントチケットのプラットフォーム
サービス情報
設立: 2018年
3番目に紹介するのはデジタルチケットのプラットフォーム「DigiTix」です。
イベントチケットのデジタル化には転売や詐欺などの問題がずっと指摘されてきました。
DigiTixのプラットフォーム上でイベントを作成すると、NFT化されたチケットが発行されます。これによって、チケットの供給制限を行え、所有者を保証します。イベント運営者は偽物のチケットを見破ることができるようになります。
また、チケットの所有権はイーサリアムのチェーン上に記載されているので、転売を禁止したい場合、すぐに見抜くことができます。
NFTの技術を用いることで安全で透明性を確保したイベント運営が行えるようになるのです。
今後、DigiTixはプラットフォーム上に自前のチケットマーケットプレイスをローンチする予定です。注目のNFTサービスです。
4. Decentraland - NFTアイテムで創られた仮想空間
会社情報
拠点: 中国
設立: 2017年
累計調達額: 2550万ドル(約26.8億円)
最後に紹介するのが、ブロックチェーン技術を使った仮想空間「Decentraland」です。
ユーザー自身が仮想空間で街づくりを行うようなサービスは古くから存在しました。ただし、そこで創られたものは結局サービスを運営する会社や組織が所有することになっていました。
しかし、Decentraland上ではデジタルアイテム(アバターをカスタマイズする服など)や仮想の土地がNFT化されているため、ユーザー自身が所有権を持つことになります。つまり、現実の土地や物品のように自分の財産にすることができるのです。
そして、それらのアイテム・土地は自由に売買、譲渡がマーケットプレイスで行われています。実際に高値で取引されている土地もあるそうです。
また、Decentraland上でイベントを行うことも可能です。例えば、今年5月末にSpaceXの有人宇宙船打ち上げの中継が行われました。企業の仮想空間上でのマーケティング戦略にも利用することができます。
ブロックチェーンの力でより現実のような体験をできるようになった仮想空間。これからの展開に目が離せません。
以上、NFT関連のトピックでした!!!
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