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上場延期で話題のアントグループについて紹介

皆さん、こんにちは!

KVPでインターンの中国留学生わい(@shiowai1217)です。

中国の芸大卒業後、日本で慶應大学院のメディアデザインの研究科を入って、スタートアップやベンチャー企業を手伝ったり、いろんな会社の中国事業展開をサポートしています。今は中国ビジネス情報を発信する!というビジョンを持ってKVPに入りました。

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今回は世界最大のユニコーンで、中国最大規模の上場となるはずだったアントグループについてご紹介したいと思います。


アントグループは元々11月6日に上海A株と香港H株で同時上場する予定で、資金調達が350億ドルに達する見込みでした。しかし、中国の管制当局はアリババとアントのCEOなどを呼び出し、上場の延期を決定しました。

アントグループが上場すれば、中国市場にJPMorgan(時価総額3088億ドル)と匹敵する金融会社が現れます。


アントに対して、投資家が一番興味を向けているのはビジネスの多様性です。アリペイでユーザーは「お金を払う」だけではなく、6000種類の投資信託や2000種類の保険といった金融商品を買うことができます。

なお、アリペイは7.11億人のMAUを抱えており、中国最大マイクロファイナンスサービスになっています。

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(Pic From Strainer)

1.アントグループについて

アントグループは2014年に成立され、最初はアリババ傘下の金融子会社にとして業務提供していました。

・電子決済サービス

Alipay(アリペイ/支付宝)は、中国最大級のオンラインモール「タオバオ」の他、屋台やチェーン店など中国全土の店舗でも利用されている第三者決済です。中国モバイルペイメント業界では約54%のシェア(2017年第一四半期・Ant Financial発表)を占めています。また、中国だけでなくアジア各国に2019年6月時点で10億人以上の本人認証済みアクティブユーザーを抱え、世界中に450以上の金融機関パートナーがいます。

中国の消費者に最も親しまれているモバイルペイメントアプリのひとつであり、中国からのインバウンド客の獲得はもちろん、中国向けの越境ECに欠かせない決済手段です。

日本では2015年以来、インバウンド施策として多くの店舗に導入されており、その数は2019年6月時点で30万店に達しています。

アリペイ決済による取扱高は着実に伸びており、2020年6月までの1年間に約118兆元(約1,830兆円)に達しています。
それとともに、アリペイの収益は、同期間に約549億元(約8,210億円)にのぼっています。

・金融サービス

アントグループの金融サービスは3つの分野をメインにして展開しています。

1. 融資:リボ払いの(Huabei)、短期無担保融資の借呗(Jiebei)
2.資産運用:約170社の金融機関の運用商品販売のAnt Fortune、世界最大マネー・マーケット・ファンドの余额宝(Yu’ebao)
3.保険:P2P医療互助サービスの相互宝、保険販売のAnt Insurance

アント・グループの全体収益から見ると、金融サービスの割合は2017年の45%から2019年の56%に11%増加しました。
そのうち、融資サービスが10%増、資産運用が2%減、保険が3%増となりました。まさに急成長です。

・ITサービス

近年、アントグループはITサービスを展開しています。主にブロックチェーン、データサービス管理システムです。

自社データ管理システムがあるので、アントグループはユーザーデータ追跡、取引情報等のデータをデジタル化が可能になり、ユーザー体験を向上すうることを実現できます。

ITサービス2019年の収益は、約9億元(約140億円)であり、電子決済サービスと金融サービスより少ないけれども、アントグループの新しい業務にとして金融会社からIT会社になる重要なサービスです。

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2. 投資家にアピールするのは超短期成長ではなく、新しい成長モデル

年商から見ると、今のアントは成立以来一番売上が高い時期です。2017年の年商はまだ1兆円でした。しかし、2019年には、この数字は倍になりました。2020年前半だけで、アントは2017年時の売上を超え、40%の成長を実現しています。


アントグループの年商が増えたことは、会社の方向転換と関係があります。

元々アントのプロジェクトは全て自社で開発していました。しかし、2017年後半、アントは他の会社のプロジェクトの導入を行い、オープンプラットフォームになりました。


2017年、アントの収益の柱はアリペイ(導入したお店から支払い手数料を取る)、マイクロファイナンスtoBの金融サービス3つをメインにしていました。


この中で、マイクロファイナンス(カードローンみたい感じ)が最も収益が高いサービスとなっていました。2017年から2019年で、利息回収を通して収益が2569億円から6649億元になりました。2019年、マイクロファイナンスをメインにしたローン業務の売上は全体の56.2%を占め、アントのメイン収益になりました。


しかし、今の実績の反面、アントのマイクロファイナンスの成長空間は段々狭くなっています。公開データによると、アントのマイクロファイナンスの売上高成長率は2017年の176%から2019年の33.98%になっています。


また、短期間でアリペイの手数料とtoB金融サービスから来る売上がアップする可能性は低いです。理由としては、アリペイ手数料の業務は変わってなく、売上高成長率は13%くらいをずっとキープしています。toB金融サービス(アリクラウド、ブロックチェーンなど)も2017年からずっと全体売上の0.8%しかありません。

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(Pic From Strainer)

3. アントとFintech、銀行に比べる

1 アント vs テンセント金融

アントと最も似ているサービスはテンセント金融です。支払い、マイクロファイナンス、toB金融サービスなど機能はほぼ同じとなっています。

また、2019年のデータを見ると、この2つの会社は売上高も似ています。アントが2兆円なのに対し、テンセント金融は2.5兆円です。


・支払い:アリペイ vs WeChat pay

YiGuanデータによると、アリペイとWeChat payの市場占有率はそれぞれ54.61%と38.98%です。市場占有率からはアリペイの勝ちに見えるけれども、WeChat payとアリペイのMAUはそれぞれ8億人と7.11億人です。ユーザーの使う頻度から考えると、大した差になりません。


・マイクロファイナンス:花呗(HuaBei)&借呗(JieBei) vs 微粒贷(WeiLiDai)

2019年11月の中国国内メディアのニュースによると、マイクロファイナンスの市場は3.14万億円くらいがあります。その中で、アントの市場占有率は半分以上にものぼり、15兆円以上あります。もう一つ「平安普惠」というサービスは4.7万億円〜6.3万億円くらい、テンセントは4兆円くらいを占めています。この3つのサービスで市場の90%を占有しています。

元々マイクロファイナンス市場では、アントとテンセントのサービスは占有率は低かったのです。なぜ高くなったかというと、アントの施策が関係しています。それは、「独身の日」で支払いをスムーズにできるように、全ての消費者に強制的に花呗を使わせることです。

一方、テンセントは「Didi」、デリバリ、オフライン支払など消費者データを取って、自社サービスをおすすめしました。


・保険 蚂蚁胜信(アント保険) vs 腾讯微保(テンセント保険)

2010年、アントは「返品配送料保険」(タオバオで商品購入、返品する場合は配送料をアントが払う)という商品でオンライン保険市場に参入しました。2015年4月、保険サービスが正式的にリリースしました。

2018年、健康保険や生命保険商品を出しました。2020年、アントは保険会社のものを導入、2000種類の保険商品を売っています。これでアントは中国最大オンライン保険会社になりました。

テンセント保険は外部の保険会社と連携し、21種類の「コスパいい」保険商品を販売しています。公開データはないけれども、保険の値段と購入人数から推測すると、売上高はアントの10%くらいになります。

2 花呗 vs クレジットカード

アントの花呗はクレジットカードと同じ機能で、タオバオやオフライン支払いで使えます。しかし、クレジットカードの審査より簡単のため、カード発行審査を落ちた人にとってはすごく便利なサービスとなっています。

さらに、花呗はアントの信用システム「芝麻信用」と連携しており、クレジットカードを持ってなくても自分の信用システムを作れます。

アントは自分と銀行は競争する関係ではなくて共存する関係だと主張しています。2019年のデータによると、70%の花呗ユーザーはクレジットカードを持っていません。

全体的に考ると、アントの信用システムは銀行のものより優位性と信用性が高いです。銀行はたいていクレジットカードの使用状況で信用性を判断します。一方、花呗は使う場所がクレジットカードより多く、ユーザーデータを取ることで、ユーザー自身の行動から総合的に判断できます。

2017年1月、アリババ元CEOジャック・マーが「Techfin理念」を提出しました。このFintechの逆単語の意味はアントの未来は金融会社からIT金融になるというビジョンが表されています。

しかし、中国管制当局はIT金融に関してまだいろんな制限があり、監視されています。今後、アントはどうやってIT金融の市場で進めるのは期待されています。

アントグループの話もっと知りたいの方がこちらの本をおすすめします!

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