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P&Gマフィアを超えた!立上げ1年4ヶ月で70億を売り上げた、バズりヘアケア「YOLU」の元ブランドマネージャーが語る、ベンチャー企業の下克上マーケティングの鉄則
■イントロダクション
こんにちは、株式会社Venture Ocean CEOの佐々木理人と言います。
私は先月まで株式会社I-neというベンチャー企業で、
YOLUというヘアケアブランドのブランドマネージャーを務めていました。
前職で発売前から担当したYOLUは
■1年で70億を売上げ
■バズりヘアケアと呼ばれ
■日系トレンディのヒット商品2022に選出され
■会社全体のドラッグストア市場でのメーカーシェアを2位まで伸長させ
ました。
今回は
名だたる大企業・外資系企業の熟練マーケターと闘い、
ドラッグストアのシリーズ別で市場1位になった
ベンチャー企業の20代のマーケター(だった)
私が考える、
ベンチャー企業の下克上マーケティングの法則を
皆さんにご紹介したいと思います。
(※シリーズ別シェア1位を達成した時には30歳と1か月でしたが、聞こえがいい&素地を作ったのは20代なので、上記のような表記とさせてください 笑)
■担当していたブランドの実績
私が担当していたYOLUというブランドは「夜間美容」をコンセプトに、
2021年9月に誕生したブランドです。
YOLUの実績は下記です。
①発売して1年4ヶ月で、売上70億。
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2021年9月に発売したブランドなので、1年4か月で売上70億を超えたということになります。
このスピード感はベンチャーならではですし、ベンチャーでも稀かもしれません。
②ドラッグストア市場でシリーズ別シェア1位を達成
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YOLUは2022年10月・11月に、
ドラッグストア市場のシリーズ別売上シェアで国内1位になりました。
ベンチャー企業の新興ブランドで、この実績を残せたのは、
大きな意味のある事ではないかと感じています。
③各媒体でバズりヘアケアと呼ばれる
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SNSを起点にバズを連発させたYOLUは
たくさんの媒体様からも取り上げて頂き、
「バズりヘアケア」と呼ばれるようになりました。
※誌面の関係上1媒体しか載せていませんが、「YOLU」で検索頂くと、バズりヘアケアと呼ばれている記事がたくさん出てくると思います。
④日系トレンディの2022年のHIT商品ベスト30で19位にランクイン
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SNSを中心にヒットしていったYOLUなので、マスとは縁がないと思われがちです。
しかし、2022年には日系トレンディさんに2022年HIT商品の19位に選出頂きました。
※ちなみに去年HITしたSPY×FAMILYよりも順位が上です。
⑤会社全体のメーカーシェアが市場2位まで伸長
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ドラッグストア市場においてはメーカーシェア2位まで伸長することができました。
このようにYOLUは、ベンチャー企業の新ブランドでは類を見ない大きな成長を遂げました。
そんな私が考える、ベンチャー企業のマーケティングの鉄則について今日はお話したいと思います。
その前に少し宣伝させてください!
絶賛YouTubeを更新しています!
こちらではnoteで話している内容はもちろん、noteには出していないディープな内容も話したりしているので、ぜひご視聴、チャンネル登録をお願いします!
①トリプルメディアをうまく使う
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皆さんは新規ブランドを立ち上げる時に、どうやってプロモーションをしますか?
CM? SNS? インフルエンサー? WEBニュース?
メディアの投資順はプロモーションの成否を分けます。
うまくいけばいわゆる『バズ』を起こせます。
トリプルメディアとは、
■オウンドメディア
(自社サイト、公式SNSアカウント、パンフレットなど)
■アーンドメディア
(口コミ、雑誌や新聞、WEB記事、テレビの放送で紹介されるなど)
■ペイドメディア
(テレビCM、インフルエンサー、SNSやWEB広告、交通広告など)
です。
これら3つをバランスよく使うのと、何より、使う順番が大事です。
よくあるのが、ペイドメディアから入ってしまうマーケターが非常に多いです。
ペイドメディアはリーチ数・リーチ効率は最も良い一方で、コンバージョンの観点では非常に効率の悪いメディアです。
なので、何も準備せずにペイドメディアから入ると、広告効率が非常に悪くなります。
例えば、「佐々木の水」という水が1000円で売っているというCMがあるとしましょう。
「え、水で1000円、ほんとに?」って皆さん思いますよね?
こういう時にWEBやSNSで調べると思うのですが、
ペイドメディアからのスタートだと、
WEBやSNSで検索しても出てこなかったり、検索結果があっても弱かったりします。
オウンドメディア
なので、まず固めるべきは、オウンドメディアです。
オウンドメディアはWEB検索で指名検索(例えばさっきの例だと「佐々木の水」で検索してきた人)の顧客を逃がさない必殺のツールになります。
例えば企業ホームページなどが良い例です。
コンセプトを明示していますか?
処方やこだわりの解説をしていますか?
ペイドが得意な大手企業さんほど、このオウンドメディアが手抜きだなと正直思います。
(著名芸能人を出したビジュアルだけがあって、世界観やコンセプトが全く伝わらないものが多いです。)
アーンドメディア
そして次にアーンドメディアです。
先ほどの「佐々木の水」の例に戻りましょう。
佐々木の水をCMで見て、公式サイトで調べると、
「飲むとマーケテイングが上手くなる」と謳っています。
皆さん「ほんと?」って思いますよね?
こうなるとSNSやポータルサイトで口コミや評判を調べませんか?
この受け皿がアーンドメディアです。
商品を体験した方々の口コミや、レビュー記事などに、「佐々木の水でマーケティングうまくなりました!」って書かれてたら、「ちょっと買ってみるか・・・」ってなりませんか?
アーンドメディアは購買の後押しに非常に有効です。
このアーンドメディアは特にブランドローンチ初期は獲得に非常に苦戦します。
これはやり方にコツがあって、うまくやれば、ブランドローンチからアーンドメディアを獲得できるようになります。
アーンドメディアの獲得はバランスも重要なのですが、
メディアの偏りが多い企業さんが非常に多いです。
ポータルサイトばかりに投資している企業さん、
マスメディアばかりに注力している企業さん、
自社の口コミばかりに注力している企業さん
など、
バランスよくアーンドメディアを獲得できている会社さんは少ない印象です。
アーンドメディアはバランスよく獲得してこそ、真の価値を発揮します。
ご自身の担当されているブランドが、バランスよくアーンドメディアを獲得できているか、ぜひ確認してみてください。
ペイドメディア
最後はペイドメディアです。
そもそも、CMやSNS広告などが当たって「何となく知って」ないと、
「佐々木の水」の公式サイトや口コミを見に行かないですよね?
この「何となく知っている」状況を作るのが、ペイドメディアの役割です。
ペイドメディアは広告予算の多い大手さん程、得意な印象です。
一方D2C系の企業さんはペイドの中でもいわゆる「獲得広告」ばかりを回して、CPAをいかに削るか、ばかりを考えていて、
全体的に売上がじわじわシュリンクすることが非常に多い気がします。
ここで大事なのは、ブランドは新規顧客を獲得しないと必ず衰退するということです。
皆さんは10年使い続けている商品やサービスってありますか?
ほとんどないか、あっても1つ2つだと思います。
このように人間には必ず「飽き」が来ます。
なので、同じお客様にCRMを続けていては、短期的には買い上げ点数UPし、収益改善するかもですが、
ずっと続けていると、中長期的にはブランドは必ず衰退します。
なので、ある一定程度の規模まで来ると、ペイドの中でも獲得広告ばかりではなく、認知広告への投資をすることをオススメします。
「いや、でも認知広告を前にやったけど、効果なかったよ」
と獲得広告の担当の方は思っていらっしゃると思います。
これは予算の量と広告のかけ方に課題がある場合が多いです。
量に関していうと、
認知広告はある一定のラインを超えるまでは非常に効率が悪いですが、
ある分岐点を超えると、効果が一気に伸びます。
この分岐点を超えるまで投資ができているか、はまず確認すべき大事な点です。
また、広告のかけ方に関していうと、ターゲティングの設定が上手くない場合が多いです。
大体はターゲットが広すぎる、またはターゲットとずれた層に当てている、ことが多いです。
②利益を出し続ける
ブランドの成長にはその源泉となる投資が欠かせません。
ただ、一方で収益性を考えられていない、マーケターは意外と多いです。
「大きな投資を行い、始めは赤字だが、後々回収します!」というのはよく聞くマーケティングプランです。
ただ、ベンチャー企業や中小企業においては、そもそもそんな財務的な余裕はないですし、
あったとしても、負けると一撃で会社に大ダメージを与えてしまいます。
なので、新ブランドにあっても、利益を出す、出し続けるのは非常に重要なことです。
なので、そもそも収益が出やすい構造を考える必要があります。
そのステップは下記です。
①事業のPLを理解する
②無駄な支出を抑える
③勝てる領域一点突破
順を追って説明しましょう。
①事業のPLを理解する
事業の利益は売上から原価、マーケティングコスト、雑費を引いたものです。
まずこれをキレイに可視化できているかの確認が必要です。
大手やメガベンチャークラスだとこういったものは整備されていますが、
アーリーベンチャーや、老舗中小企業などではこのあたりがキレイに整備されていないことが多いです。
なので、
まずは事業の利益構造を把握するのと、
それを常にモニタリングすることをオススメします。
②無駄な支出を抑える
上記でPLを可視化すると、思わぬところで利益を棄損していることが多いです。
なのでまずはこの費用を削るところから始めましょう。
ここは歴史がが長い事業程、無駄が多くなりがちです。
「前年の実績があるから~」、「取引先との関係があるから~」などで、
ずるずると無駄な費用をかけてしまっていることが多いです。
無駄な支出を抑えるだけで、だいぶ事業の収益は安定しますし、広告を打つ余力が出ます。
③勝てる領域一点突破
ここができていない事業は非常に多いです。
新規事業は基本的に不利な状況からの戦いです。
相手の方がヒト・モノ・カネのすべてで上回っているのは確実です。
そんな相手に勝つには、一点突破はマストだと思っています。
具体的には、
■施策・プロダクトを増やしすぎない
■マーケティング費用の投下も一点突破
はマストだと思っています。
そして一点突破のタイミングはなるべく早い方がいいです。
なぜなら勝った分の利益で、また再投資ができるからです。
例えばあなたが1月始まりの会社で1億の広告予算を貰ったら、いつ、いくら掛けますか?
大抵の人は上期・下期に半々などの投資の仕方を選ぶのではないでしょうか?
これが新規事業が勝ちきれない原因です。
ベストな投資プランは年間で最低限見込める売上から逆算して、投資できる最大限を1月に投資します。(もちろん事業によります)
これは先ほどからお話ししているように、負けても赤字にならない、勝つためには1点突破を意識した投資配分です。
ただ、ここにいくらまでなら投資しても大丈夫か、は多角的な分析と経営センスが必要なので、お悩みの場合はぜひ弊社にご相談ください。
③自分と仲間を信じる
最後が最も大事ですが、まずは自分を信じてください。
自分が下した大きな決断は「勝つまでやる」のがビジネスにおいて最も大事です。
※もちろん決断するのには入念なリサーチをしている前提です
ビジネスでよくあるのが「火力不足」です。
掛ける資金が中途半端なために、勝てないことってたくさんあると思います。
ビジネスは2次関数的に伸びる
これは商売の鉄則です。
SNSなどを思い浮かべて頂ければわかると思うのですが、
フォロワー数などもある局面から一気に伸びていきます。
なので2次関数の上昇局面が来るまで、「勝つまでやる」のが正解です。
大手企業であれば結果が出なかったり、担当者が変われば途中で投資を辞めることがあると思います。
一方ベンチャーでは意思決定に関わる人数が少ないので、「やり切る」という判断ができると思います。
■最後に
いかがでしたでしょうか?
少しは皆さまのマーケティングに生かせるところがあれば幸いです。
今回私がこの記事を書いたのは、下記の3つの理由からです。
①ベンチャー企業や若手のマーケターでも勝てる
ベンチャー企業は大企業や外資系企業と比較すると、
リソースの質でも量でも圧倒的に負けていることが大半です。
しかし、そこで戦いをあきらめてはいけないと思います。
やり方を工夫し、強い胆力をもって大きな意思決定をすれば、
ベンチャーだって大手や外資系企業を超えて、市場1位を掴むことができます。
また、「自分はまだ若いから・・・」みたいに考える必要もないと思います。
若くても工夫をすれば、ベテランにも勝てます。
会社からお金をもらっている以上は、何歳だろうとプロフェショナルです。
年齢が若いからと言って自分を卑下する必要も、
ベテランだからと言って威張って良いわけでもないのです。
②マーケ業界に多様性を
今のマーケ業界では何かと「P&Gマフィア」の方が注目されています。
P&Gマフィアの方々のおかげで、マーケティングという職種が一般的になってきましたし、マーケティング職がカッコいいという世間の認知も獲れたのではないでしょうか?
自分もその一人で、大学~新卒時代に森岡毅さんの本を読みマーケに憧れていました。
なので僕もP&Gマフィアの方を最高にリスペクトしています。
P&Gのメソッドをかなり勉強させてもらいました。
そしてP&Gマフィアの方は、マーケティングという職のパイオニアとしてめちゃくちゃかっこいいと思っています。
ただ、マーケ業界が
「P&G出身の人のいうことがすべて正しい」
という風にはなって欲しくないなと思っているのも事実です。
やっぱり何事にも多様性というのは大事だと思っていて、
マーケティングがより高度になっていくためにも、
様々な考え方を取り入れる必要があると思っています。
③自分の新しい挑戦の宣伝
こちらも正直に書きます(笑)
私は3月末でI-neを退職し、4月から株式会社Venture Oceanという会社を立ち上げました。↓
株式会社Venture Oceanはベンチャーのマーケティング支援をミッションとした会社です。
ベンチャー企業には海のように無限の可能性がある
と、私は信じています。
その可能性を広げられるのは間違いなくマーケティングの力だ。
とも、私は信じています。
昨年、映画ONE PIECEの主題歌で『新時代』という曲が流行りましたが、
マーケティングも、『新時代』が来ています。
リソースがたくさんある巨人が勝つ時代は終わりました。
リソースが少なくとも、マーケティングと熱意があれば、
下克上を起こすことは可能だと私は考えています。
ぜひ、新時代を切り開きたいという企業様のお手伝いをさせて頂けると幸いです。
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●自分たちのブランドや事業に当てはめてアドバイスが欲しい!
●自分たちのブランドが上手くいってないので、実際に担当者としてマーケティングを指揮して欲しい
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