【#6】就農のための7ステップ(研修編)
いつもご覧いただきありがとうございます、ベンチャー農家のなかたくです。
”食の当事者を増やす。”をミッションに長野県須坂市で「りんご」と「ぶどう」を作っています。プロフィールはこちら↓をご覧ください。
今回は、私が地方で農業をはじめるために行った第6のステップ「農業研修編」を紹介します。理想のライフスタイルをイメージし、農業の経営計画を練ったら、実際に就農するフェーズです。
いきなり就農するのは一つの選択肢ですが、経験面や財政面を考えたときに不安要素がある人は、研修に参加することをおすすめします。
研修にもいくつかの選択肢があり、メリット・デメリットがあるので、詳しく解説していきます。
その他のステップについて解説した記事は、以下のマガジンをご覧ください。
知っておきたい補助金制度
いざ農業を始めようと考えると「莫大なコストがかかる」という大きな壁に直面することが少なくありません。
農業を始める際に費用なコストは、事業規模によって大きく左右されますが大きく分けて3つです。
①土地代:初期投資の大半とも言えます。園芸施設を設置する場合にはさらにコストがかかります。
②農機具:トラクターや軽トラックなど。
③苗や肥料、農薬、資材など。
そのため、1年間は運営できるような資金があることが望ましいですが、農業は天候によって売り上げが左右されやすいため、なかなか資金計画が難しくなります。この問題のせいで農業を始めることをためらってしまう人もいるのではないでしょうか。
しかしながら、そのような人のために農業を始める人向けの補助金制度があるのです。今回はおさえておきたいそんな補助金の知識についてご紹介します。
補助金の種類とは?
実は補助金と一言で言っても、2種類あります。
1つは「就農準備」を支援する補助金で、農業に従事するため研修を受けるときの補助などがあります。
もう1つは「就農時」に支援する補助金です。就農することが認定されれば給付金が支払われたり、初期投資に対して無利子でお金を借りられたりします。
いずれにしても、莫大なお金がかかる農業に対して、参入の壁を低くしてくれるものです。これから始めようとする人にはメリットばかりなので、各自治体やJAなどで確認しましょう。
農業次世代人材投資資金
最もメジャーな補助金は、行政が提供している農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)になります。
この制度は「次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(準備型(2年以内))及び就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型(5年以内))を交付」するものです。
農林水産省の公式HPによると、実施体制・補助金交付の流れは以下になります。かなり複雑なのでご注意ください。
引用:農林水産省HP
( https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html )
準備型について
農業次世代人材投資資金の準備型とは「都道府県が認める道府県の農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者に、最長2年間、年間最大150万円を交付」するものです。
選択肢としては「農業大学校」もしくは「里親」の元での研修が該当します。私自身も「里親研修」を利用して受給予定です。
農業の経験が全くない人は「農業大学校」で普遍的に学び、私のように親族が農家の場合は「里親研修」で問題ないと思います。
交付対象者は以下の要件をすべて満たす必要があります。
・就農予定時の年齢が、原則49歳以下であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
・独立・自営就農または雇用就農を目指すこと
・親元就農を目指す者については、研修終了後5年以内に経営を継承するか又は農業法人の共同経営者になること
・都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
・常勤の雇用契約を締結していないこと
・生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
・原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
・研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること
さらに以下の場合は返還の対象となります。
・適切な研修を行っていない場合
・交付主体が、研修計画に則して必要な技能を習得することができないと判断した場合
・研修終了後 1年以内に原則49歳以下で独立・自営就農又は雇用就農しなかった場合
・準備型の交付を受けた研修の終了後、更に研修を続ける場合(原則2年以内で準備型の対象となる研修に準ずるもの)は、その研修終了後交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、独立・自営就農又は雇用就農を継続しない場合
・親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合又は農業法人の共同経営者にならなかった場合
・独立・自営就農者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合
主に年齢と収入の制約が大きいです。国の制度なので、それなりの覚悟が必要になりますが、要件に合致している場合はぜひ利用しましょう。
経営開始型について
農業次世代人材投資資金の経営開始型とは「新規就農される方に、農業経営を始めてから経営が安定するまで最長5年間のうち、経営開始1~3年目は年間150万円、経営開始4~5年目は年間120万円を定額交付」するものです。私は申請しない予定です。
交付対象者は以下の要件をすべて満たす必要があります。
・独立・自営就農時の年齢が、原則49歳以下の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
・独立・自営就農であること
・自ら作成した青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている状態を指し、具体的には、以下の要件を満たすものとする
・農地の所有権又は利用権を交付対象者が有している。
・主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りている。
・生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引する
・交付対象者の農産物等の売上げや経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理する。
また、親元に就農する場合であっても、上記の要件を満たせば、親の経営から独立した部門経営を行う場合や、親の経営に従事してから5年以内に継承する場合は、その時点から対象とする。
(親元に就農する場合は、新規参入者と同等の経営リスク(新規作目の導入や経営の多角化等)を負い経営発展に向けた取組を行うと市町村長に認められること。)
・青年等就農計画等※が以下の基準に適合していること
・独立・自営就農5年後には農業(自らの生産に係る農産物を使った関連事業 <農家民宿、加工品製造、直接販売、農家レストラン等>も含む。)で生計が成り立つ実現可能な計画である。
・市町村が作成する 人・農地プラン (東日本大震災の津波被災市町村が作成する経営再開マスタープランを含む。)に中心となる経営体として位置付けられていること(もしくは位置付けられることが確実であること)。 または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること。
・生活保護等、生活費を支給する国の他の事業と重複受給していないこと。また農の雇用事業による助成金の交付又は経営継承・発展支援事業による補助金の交付を現に受けておらず、かつ過去にうけていないこと。
・原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
こちらも年齢と収入の制約が大きいです。国の制度なので、それなりの覚悟が必要になりますが、要件に合致している場合はぜひ利用しましょう。
まとめ
今回は、私が地方で農業をはじめるために行った第6のステップ「農業研修編」を紹介しました。理想のライフスタイルをイメージし、農業の経営計画を練ったら、実際に就農するフェーズです。
いきなり就農するのは一つの選択肢ですが、経験面や財政面を考えたときに不安要素がある人は、農業次世代人材投資資金の準備型を利用することをおすすめします。
詳細は就農したい都道府県の自治体に確認してみましょう。ネットで得れる情報には限りがあるので、実際に電話をして聞くことで鮮明に理解することができると思います。
サマリはこちらです↓
・農業を始める際は「莫大なコストがかかる」という壁に直面することが多い。
・農業未経験の人は「農業大学校」で普遍的に学び、親族が農家の場合は「里親研修」で実践的に学びましょう。
・補助金は2種類(「就農準備」を支援する、「就農時」を支援する)あるので、自分に合ったものを選択しましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。気になった点や要望・質問は、ぜひコメント欄へ。
今後もこのnoteでは「農業」や「地方」を軸としたコンテンツをお伝えしていくので、ご覧いただければ幸いです。