
ベンチャーキャピタリストとしての資金提供(4)(レベル1-3)
起業家から投資相談に係る面談を要請された時ですが、面談の約束をした後に、面談日までに、以下の事前準備を行います。そして、面談日程を決める際に、差し支えなければ、事前にピッチ資料を送付していただくようお願いしています。
(1)起業家名でGoogle検索
次に、起業家名でGoogle検索します。Googleの記事は、以下の表現が出るページまで全てチェックします。
最も的確な検索結果を表示するために、上の ● 件と似たページは除外されています。検索結果をすべて表示するには、ここから再検索してください。
ある程度有名なスタートアップであれば、「起業家名 インタビュー」で検索をかけて、起業家のインタビュー記事を優先的に見ます。
(2)会社名でGoogle検索
まずは、会社名でGoogle検索をします。会社のHPを見て事業内容の概要を理解します。他に会社の取材をした記事があれば、それを閲覧します。(1)と同じ表現が出るまで全部の記事をチェックします。
(3)「バフェット・コード」で検索
つぎに、「バフェット・コード」のTopページにアクセスし、「気になる銘柄を調べてみよう!」に企業名を入力します。
バフェット・コードにその会社が掲載されていれば、そのページを閲覧します。「会員」になれば「売上・利益 (百万円) & 利益率 (%)」と「比例縮尺B/S」が閲覧できます。「プレミアム・プラン」に入会すれば「社員数」、「評価額の推移」及び「ファイナンス履歴」が閲覧できます。私は無料会員なのでログインして閲覧していますが、ログインをしなくても、以下の重要な情報は掲載されています。
私がバフェット・コードに記載されている情報で、重視しているのは、以下の項目です。
1)事業内容
2)株主
3)評価額
4)累計調達額
5)同じ業種の会社
特に「5)同じ業種の会社」の情報が、助かります。競合、類似会社を探し出す取っかかりとしては最適だからです。
(4)ビジネスモデル
会社の事業内容の記事を見ながら、大まかに、以下のような観点で、ビジネスモデルを理解します。
1)有形物(製品) or 無形物(サービス)
2)B2C or B2B(SMB or エンプラ) or B2B2C
3)受注 or 見込生産
4)汎用品 or オーダーメイド
5)競合より低価格 or 競合より高付加価値
6)直販 or 代理店 or ネット
7)製品売上 or 保守サービス料 or その他収入(年会費等)
(5)競合・類似上場会社
バフェット・コードの「同じ業種の会社」を中心に、競合会社、類似上場会社を調べます。そして類似上場会社の規模、時価総額、PERも場合によっては調べます。
(6)起業家の経歴
この起業家の経歴を、一番重視しています。様々な資料から、以下の情報を収集します。
1)出身高校
2)出身大学
3)新卒で入社した会社
4)その後の職歴(MBA)等
5)マネジメント経験(マネジメント人数)、新規事業立ち上げ経験、
撤退経験
私は、結構、経歴書の行間を読みこんで推測していきます。例えば、
1)この出身高校からこの大学へ入学したとは?
2)この大学からこの会社に新卒で入社したとは?
3)新卒で入った会社の社風(カルチャー)は?
4)新卒で最初に配属された仕事内容は?
5)この会社からこの会社へ転職したとは?
起業家がこれまで従事してきた事業と同じ内容で起業されるのなら、分析は簡単なのですが、そうでは無い場合が多いので、過去の経歴から、起業家の志向やスタイルを推測していきます。
特に、新卒で入社した会社がどこかは、結構見ています。社会人としての基本的な性格は、1社目の会社ですり込まれると思っているからです。
あと、リーダーシップ経験、マネジメント経験、新規事業立ち経験があるかどうかを、いろいろな資料から読み取り、あれば、加点評価します。このような経験のある起業家には、再現性が高いように思われるからです。
新卒の就職活動において、「ガクチカ」の質問からその学生の将来性を推測するように、起業家の経歴書から、その戦闘能力を推測しています。
なので、経歴書には、以下の経験を記載していただけると嬉しいです。
1)リーダーシップを取った経験(生徒会、部活でも可)
2)マネジメント経験・マネジメント人数
3)新規事業立ち上げ経験
4)事業撤退経験
(7)マネジメントチームの経歴
起業家と同様に、マネジメントチームの経歴書も読み込みます。読み込む内容は、(6)で記載した起業家と同じです。
あとは、マネジメントチームとしての、相互の補完性を推測します。
このように資料を読み込んで、起業家と企業のビジネスモデルの仮説を一度組み立てておいて、初回面談時に、それを確認しつつ、修正していきます。