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ベンチャーキャピタリストとしての資金提供(5)(レベル2)

ベンチャーキャピタリストとしての資金提供の(レベル2)は、以下の業務を、遅延すること無く実施することである。

(レベル2)起業家に投資を前向きに検討すると返答した際には、社内の投資決定機関の決裁を取り、資金提供する。

起業家との初回面談において、「投資を前向きに検討する」と返事した場合には、以下のことを起業家にお伝えしよう。

1)正式な投資決定の回答は、いつできるか。
2)投資金額の概算。

そこから、機密保持契約書の締結、資料の提出をお願いし、投資デューデリジェンス(DD)を開始する。

 ベンチャーキャピタリストが、(レベル2)において一番注意すべきことは、「締め切りに間に合わせる」と同時に、「できるだけ作業を前倒しにし、不慮の事態に備えること」の2点である。起業家の資金調達計画に迷惑をかけないためにも、回答の締切を守る必要がある。

 投資DDを進めていく中で、ベンチャーキャピタルの社内では、以下のような不測の事態が発生することがある。
(1)投資委員会で、想定外に投資を否決される。
(2)投資委員会で、投資は可決されるが、投資金額を減額される。
(3)投資委員会で、再調査を求められ、再度投資委員会にかけるよう要請  
   される。
 不測の事態が生じた場合には、起業家と迅速に連絡を取って、対処策を起業家に共有する。

 また、投資DDを進めていく中で、起業家の側に不測の事態が発生することもある。
(1)調達予定金額を上回る投資オファーを受けたため、投資金額を減額さ
   れる。
(2)調達予定金額を上回る投資オファーを受けたため、投資自体を断ら
   れる。

 起業家は、調達予定金額を上回る投資オファーを受けた際に、オファーをくれたVCの中から、どこを選ぶか、どこの投資金額を減額するか、どこを断るかを検討する(リードVCの意見が重用される場合もある)。その際に、「投資の返事が早いVCを優先する。」という判断基準もあるので、投資DDは、不測の事態が出来るだけ発生しないように、起業家に前倒しで返事ができるように、社内手続き(根回し)を進めた方がよい。

 初回面談時に、起業家に対し「投資を前向きに検討する」と回答した場合には、起業家の期待を損ねず、起業家の資金調達計画を狂わせることがないように、投資決定の返事が遅れることなく、投資をお断りすることなく、投資金額を減額されることなく、社内の決裁を取れるように最善を尽くすことが、ベンチャーキャピタリストとしての誠実さだと考えている、


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