エンジンオイルについて~安価な鉱物油vs高価な合成油~

エンジンオイルには大別して「鉱物油」と「化学合成油」、両者を混ぜ合わせた「半合成油」がある。

大まかには鉱物油<半合成油<化学合成油という様に性能の序列がなされている。

では、鉱物油はあらゆる点において合成油に劣る物なのだろうか?

図らずも我が家のキャリイが実験台になったので、検証してみたいと思う。

キャリイを購入した時に売り主さんが、「エンジンオイルは新品を入れておきました」と言ってた。入ってたオイルの銘柄等は不明だった。燃費は17km/L台であった。

その後のオイル交換では「100%化学合成油 5W-40」という物を使用した。

オイル交換をしたお店の方が「軽トラにこれを入れるんですか?」と言う位、高価な物である。詳しい値段は忘れてしまったが、リッター約2,000円位だったと思う。

前のオイルがヘタってたせいか、このオイルに交換すると明らかにメカニカルノイズが減った。

「これはイイんじゃないか?」と思った。そして交換後の初給油、燃費を計算してみると・・・。

16km/L台に下がってる・・・?最初は計測誤差もしくは走行条件の違いだろうと思った。

しかし、その後何回給油しても17km/L台には到達しなかった。

そして最近のオイル交換、思い当たるフシがあったのでワザと安価なオイルを入れてみた。

「鉱物油 10W-30」という物である。近所のGSにて、値段は1台分で1,700円位。リッター約700円位だろうか?


そして初給油、まずは16.9km/Lと、まずまずの燃費であった。そして2回目の給油、17.2km/Lと、久々に17km/Lを超えることが出来た。

この様に、はるかに安いグレードのオイルを使用した方が明らかに好燃費を記録することとなった。

何故か?

先程、「思い当たるフシがあった」と述べたが、私が思い当たってたのは「オイル粘度の違い」である。高い方のオイルは「5W-40」、安い方のオイルは「10W-30」であり、低温粘度・高温粘度ともに異なる。

今回注目したいのは高温粘度である。高温時の動粘度を調べてみると下記の様になっていた。

SAE粘度分類による動粘度(高温粘度・100℃)
高温粘度30 の場合 9.3mm2/s<12.5mm2/s
高温粘度40 の場合 12.5mm2/s<16.3mm2/s

私自身、数字だけを見てもどの程度の違いなのかはよく分からないのだが、高温粘度30の方が「柔らかい」のは確かである。

キャリイの場合、高い方のオイルでは高温粘度が硬すぎたのだろう。それほどパワーのあるエンジンではないので、設計者が想定した以上の硬いオイルを使用してしまうとオイルによる抵抗が増えてしまい、結果として燃費の低下を招いたのである。

高いオイルの方が耐摩耗性やせん断性といった性能は格段に良いのだろうが、なにぶんキャリイにとってはオイルが硬い事がネックになった様である。

今回思い知ったのは高い物があらゆる面で優れている訳ではない、ということである。

オイル一つとっても「マッチング」を無視してはいけないということだ。

最近の低燃費車用オイルには「0W-20」というサラサラのオイルが指定されてる車も多いと聞く。レースの世界でも、少しでもパワーを稼ぐためにやはり「0W-20」という粘度のオイルを使うマシンもあると読んだ。

低燃費車用オイルとレース用オイルは粘度が同じ位と言うだけでその他の性能は全く異なる物であろうが、サラサラのオイルを使う目的は同じで、オイルによる抵抗を減らす事を目的としている。

ただ、こういった低燃費車用オイルやレース用オイルをそうではない車やバイクに使用することは多々問題があろう。多分エンジン壊れます。

とは言え、オイルの抵抗がこんなに違いがあるものだとは初めて身をもって知りました。

〈筆:Mr.V〉

(すべてがmotoになる:2009年10月23日投稿分)

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