【話し方とボイトレ】声優志望の方の発声分析をしたときに感じたこと。
僕の口癖の一つに「発声は全員のもの」というのがありますが、単純に声を使わないで生活している人がいないからです。
となると歌手と対等以上に声のプロフェッショナルである声優という職業にとって発声の管理は非常に重要なことと考えて間違いないでしょう。
なんなら、歌手(ボーカリスト)というものは音楽家と俳優の共有項にあると考えていますので、レッスンの内容で通ずる部分があるのもうなづけます。
声優志望の女性の発声分析をした際に思ったことはまさにその共有項の部分でした。
興味深かったのは、発音の注意箇所や呼吸のリズム感、抑揚の付け方の理屈がまるで同じだったんですよね。
(というか、僕も台本を読んでみたのですが、むしろ文章を読むほうが歌より不親切なところが多く感じました笑)
今日はその辺りのことをつらつらと書いてみようかなと。
歌手と声優の類似点
発音の注意箇所というのは言葉のまま、難しくて発音する時に意識するべき場所、見せ場などのことで、例えばタ行の連続やラ行の連続、有声音の直後にくる「ツ」なんかは歌と同様注意しないと発音できませんね。
逆にサ行は歌ではボーカルチャンスとされるくらいですから、表現に奥行きを持たせるのにうまく役立ちます。
いい声優は呼吸まで演じると言いますが、歌手とも同じで、本当にいい歌手は呼吸まで使って歌います。文章を読むときの言葉の粒だたせ方やアクセントの意識も音楽的な意識なしには成立しないと感じます。
抑揚というのは、アクセントやクレッシェンドデクレッシェンドを取り入れることではなく、文章の中で作る起承転結や変化に声を合わせていくことなんですが、これも歌と同じでした。
ここまで似ていると「音読って歌じゃん!」とも思ったんですが、そもそもよく考えたら僕は「歌うときは語るように」って普段から言っていました(笑)
人類史では「歌が先か、言葉が先か問題」なんかもありますが、これも同じような話かもしれないです。
歌手と声優の相違点
相違点があるとしたら音楽的要素の割合と、「文章の読みやすさ」かもしれないです。
歌詞は普通、歌うことを前提に描かれているために響きの良さ、発音のしやすさがあるように組み立てられていますが、
台本というものはその限りではありません。
歌に比べて説明的要素が大きいために、読みやすさが度外視されている場面があるためです。
(どんな文章でも読みこなす声優、アナウンサーなどの職業の方はすごいなと改めてリスペクトの意識が強まりました笑)
いい声優といい歌手、意識するべきことは同じ。
現代の声優は現代の歌手と同じく、演技以外の付加価値を多く求められるがために、実力に重きが置かれていないような気もします。
プロが上手いのは当たり前のことですが、10年、20年、それ以上業界で生き残り続けていく上で必要になるのは確実に実力です。ライバルと一番差をつけるべく箇所も実力でしょう。それが足りなくて許されるのは新人くらいでしょう。
今だけやれればいい、一度だけ当たればいいなんていう意識では間違いなく当たりませんし、実力不足になります。
この辺りの話については僕もいい書籍を読んだので紹介しておこうと思います。
https://www.amazon.co.jp/声優道-死ぬまで「声」で食う極意-中公新書ラクレ-岩田-光央/dp/412150576X
有名声優たちの貴重な話が聞けるなんて…声優を志す方は必読、歌手志望のか方にもぜひ読んでいただきたい本でした。
何かを伝えるというのは非常に難しいことですが、こんな時代だからこそそれについて考えなければなりません。
僕らは伝えるのも受け取るのも下手すぎます。
いい演技とは何か。問いかけ続けていたいですね。
「演じるとは何か」について書けることが多くあるのでそれはまた別の記事に。
よかったらぜひ。
ではまた。