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HOLGER CZUKAY : Movies

アナログレコードで良く聴いたアルバム。
CANというバンド名は知っていたけれど、ほとんど聴いたことがなかった。だから、このホルガー・シューカイ(当時はチューカイという表記が使われていた)で初めてCANやジャーマンプログレに触れることとなった。ただ、タンジェリンドリームなどとは全然雰囲気が違っている。また、CANとも趣が違う、かなりポップな聴きやすいアルバムである。
コーランが使われていたりすることもあり、中東の景色あるいは地中海の景色を連想するような音である。ソロとしては2枚目のアルバムになるのかな。前のアルバムFull CircleのHow Much Are Theyという曲がHONDAのスクーターのCMに使われていたということだが、今作に含まれるPersian Loveもサントリー角瓶のCMに使われていたということだ。当時、あまりTVを見ていなかったので全く記憶にない。このPersian Loveは凄くいいのだけれど、他もハズレの曲は無い。

最近ではDJのように、リアルタイムでミックスしたりサンプリングしたりして曲を演奏?作る?アドリブというか、インスタレーション的な感じのアーティストも多いんではないかと思うが、どうもあのラップぽいリズムとかリリックとかは個人的に馴染めない。
サンプリングやミキシングなどサウンドコラージュを多用した作曲も、プリミティブなアフリカ音楽、ガムラン、グレゴリオ聖歌、読経などに触発されたかのような音が80〜90年代にひとつの潮流としてあったような気がする。
それは、プログレッシブロックから進んだものもあれば、パンク、ニューウェーブからその方向に向かったものもあり、多様性を感じる。NINやLINKIN'PARKなどのインダストリアル系のメタリックな音も、これらの延長線上にあるのではないかと思うのである。

このアルバムはそんな中にあっても、極上のポップミュージックに昇華したものだと思えるのだ。そしてこれほどまでにポップに昇華させたために、古いとか新しいとかその時代性をあまり感じられない気がするのである。

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