M1グランプリ2024 1 〜巻頭カラーの令和ロマン〜

もはや、年末の風物詩となったM1グランプリ。
今年も競馬の有馬記念と同日に開催され、なんともワクワクする一日になったのだが、そのワクワクを超える程のワクワクを開幕して、すぐ今回のM-1グランプリ2024は突き付けてきた。

トップバッター、令和ロマン。

まさかの前年度、優勝者の令和ロマンが
2年連続のトップバッター。

昨年、トップバッターの不利をもろともせず、幾つかあるM-1決勝の為のネタから、とにかくインパクトを与えられるネタを選別し、トップバッターになった時の対策が完全にハマり、優勝までかっさらった令和ロマン。

その、令和ロマンが今年もトップバッターは演者、会場からお茶の間まで、皆が驚いたはずだ。

昨年と同じに、令和ロマンがトップバッター。
勿論、そうではあるが、実はそれだけでは無い。
昨年、優勝した令和ロマンが今年もトップバッター
それは、昨年優勝してない人達が
今年トップバッターなのとは全く訳が違うのだ。

本来は出なくていい立場、言わばM-1を上がってよい令和ロマンがまた出てきたというのは、過去にも前例はあるが、いわば間違いなくサプライズだ。
そんなサプライズで、一番期待されている令和ロマンがいきなり出てくる、漫才の大会においてトップバッターは不利と言われるが、ここまで異例のサプライズが重なる令和ロマンはトップバッターは不利になるか?

答えは否だ。

何故、否かといえば、明らかに今回、何をするのだろうと期待値が上がっている、令和ロマンのトップバッターは、もしジャンプやマガジンなどの漫画雑誌で考えたら、巻頭カラーのようなトップバッターだ。

漫画雑誌を買ったら、週によって勿論違うが
基本的に一番最初に人気のある、注目を集めている漫画が巻頭カラーで出てくる。

むしろ、漫画雑誌において超人気漫画が最後に出てくる事などは逆に少ないのだ。

とすれば、この漫才の大会を漫画雑誌化させれば
問題なく主役の役割は果たせる事になる、では漫才の大会を漫画雑誌化させるというのはどういう事か?

それが、令和ロマンの漫才から分かる気がするので、解説をしたい。
という事は、令和ロマンは自分達のトップバッターを巻頭カラー化させる事に成功したという事でもある。

令和ロマンの巻頭カラー漫才の特徴として
まず一つ目に、躍動したという点を上げれる。

非常に身振りを手振りを激しく、漫才をしたのは、昨年のトップバッターで披露したネタとも被る。
令和ロマンは、昨年のトップバッターのファーストラウンドでも、身振り手振りの特に大きなネタをやっていて、恐らくそれは令和ロマンの頭脳である、高比良くるまの中で身振り手振りの大きい漫才でインパクトを与えるという事は、トップバッターとして効果的だという計算が既に昨年からあったのだろう。
だからこそ、お茶の間的には無名だった昨年もトップバッターで最終決戦に残ることが出来た。

しかし、今回はそれだけではなく、前年優勝者として一般的に周知された。令和ロマンの身振り手振りの大きい漫才は期待もされているのだ。

その日初めて見る漫才で、しかも身振り手振りが大きくインパクトのデカい漫才をやる、前年優勝者の令和ロマン。

一番注目を集めているものが、その注目に応えて躍動しているのは、先程述べた巻頭カラーを務める人気マンガと同じで、真っ先に視聴者、読者の期待に応えて躍動するという事は、それだけでも他とは比べられないくらい満足感を与えるものなのだ。

そして、令和ロマンの巻頭カラー漫才の特徴として2つ目にあげられるのは、アップデートしたという事だ。

誤解を恐れずはっきり言うと、昨年のトップバッターでやった令和ロマンの漫才と、今回トップバッターでやった、苗字をテーマにした漫才、盛り上げ方が酷似している。
高比良くるまが自分の決めつけのような、思いつきを高らかに語るという形は、昨年と同じフォーマットだ。

YouTubeでひろゆき氏と対談した、高比良くるまは自身の漫才について、自分のビジュアルを漫才のボケに近付けたという話をしている。

自分のボケ方、ボケの発想に合わせて、見た目を胡散臭くする為に、眉毛を太くし、髪を伸ばし、眼鏡さえも丸眼鏡にしている。

という事は、胡散臭く話をするというのが高比良くるまの芸人用語で言う所のにんであり、それを軸に高比良くるまというキャラクターを創り上げてきた。

それは無名だった、去年でも1発でキャラクターを観客、審査員、お茶の間に分からせるほどの仕上がり具合だったし、もはや今となれば令和ロマンといえば、この高比良くるまの胡散臭さだったりもする。

要は、高比良くるまがスイッチが入ったように胡散臭く決めつけのような話を身振り手振り大きく語る事は、もはや観客も求めている事であり、本人の18番でもあるのだ。

そして、その得意とする、胡散臭く決めつけのような思い付きを身振り手振り大きく高らかに語るという漫才に、さらに昨年よりもアップデートをし、誰もが分かるテーマ、苗字を使ってきた。

そして、細部にわたり昨年よりもテクニック、表現力を底上げした令和ロマンの漫才が、昨年より歓迎される状況でトップバッターとして迎えられた、この時点でもう令和ロマンの最終決戦進出は、決まったものになったと言っても過言では無いと思う。



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