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【2024-25長崎ヴェルカ】契約継続選手

各クラブの契約継続リリースが続々と決まっていくなか、長崎ヴェルカも日本人選手の契約が決まっている。昨シーズンの内容も含め、来期の展望を少し早いが記事にしていきましょう。


松本健児リオン

Mr.ヴェルカこと松本健児リオン。
彼の最大の特徴はなんといってもディフェンス。特に1対1のディフェンスは一級品。昨シーズンは相手のエースに仕事をさせないことが彼に課せられたミッションだった。彼のディフェンスの魅力はフィジカルとスピードを活かしたハードなディフェンス。
あそこまでプライドを持ってディフェンスできる選手はリーグ全体でもなかなかいない。 
オフェンスはスピードを活かしたペイントアタックが特徴だろう。
しかしながら、オフェンス、特にショット精度には改善が求められる。オフェンスの際にはスリーポイントラインの外(コーナー)にセットしていることが多いが、なかなかオフェンスに絡むシーンが少ない。コーナースリーの精度を上げることができれば、相手としては簡単に離すことができなくなり、スペーシングを広げることができればチームとしても大きい。来シーズン彼のコーナースリーがオフェンスのオプションになることを期待している。

小針幸也

今シーズンの急成長プレイヤーは小針幸也だろう。シーズン途中からプレータイムを伸ばし、終盤はスタメンの座を手にした。小針といえば、スピード。コートを真っ二つに割るかのようなカットインは来シーズンも期待だ。今オフはそのスピードをさらに活かすスキルを身につけられるかが課題。小針のように170cm台の身長でも、千葉ジェッツの富樫勇樹や横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実のように試合を支配する選手がいる。この3人に共通するのは圧倒的なオフェンススキルと強心臓なメンタルである。ゲームをコントロールしながらも、チャンスがあれば果敢に攻める姿を期待している。具体的には1on1からのプルアップスリーやカットインからのフローターなど、特にスリーに関しては大きな変化を期待したい。

昨シーズン3ptに関するスタッツ
3FG %(3pt成功率)28.7%
3FGAPG(一試合あたり平均試投数)2.0
3FGMPG(一試合あたり平均成功数)0.6

ちなみに
富樫勇樹(千葉ジェッツ)
3FG %(3pt成功率)31.2%
3FGAPG(一試合あたり平均試投数)9.8
3FGMPG(一試合あたり平均成功数)3.1

河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)
3FG %(3pt成功率)31.8%
3FGAPG(一試合あたり平均試投数)7.5
3FGMPG(一試合あたり平均成功数)2.4

齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
3FG %(3pt成功率)39.8%
3FGAPG(一試合あたり平均試投数)4.8
3FGMPG(一試合あたり平均成功数)1.9

スタッツにばらつきはあるものの、アンダーサイズのPGが活躍する武器として、スリーポイントシュートがマストであることはわかる。小針選手の持ち前のスピードをさらに活かすために、今シーズンオフでスリーの精度が上がり、3FGAPGが5以上になることを期待したい。

狩俣昌也

ヴェルカのクラッチスナイパー
特徴といえば、バランス感覚に優れ、ディフェンスのスキを見逃さず狙うスリー。しかし、今シーズンの3ptスタッツは
3FG %(3pt成功率)34.2%
3FGAPG(一試合あたり平均試投数)4.3
3FGMPG(一試合あたり平均成功数)1.5
※ちなみにチームトップは
3FG %      37.1%マット・ボンズ
3FGAPG   5.6ジャレル・ブラントリー
3FGMPG  1.9ジャレル・ブラントリー

狩俣のスリーポイントシュートはゲームの大事な局面で決めてくることが多く、インパクトは強いのだが、スタッツでみると小針同様にシーズン通してゲームを支配するようなスタッツではなかった。しかし、狩俣の良さはスリーの精度以上にゲームコントロール、バランサーとしての役割の方が重要だったのかもしれない。昨シーズンのヴェルカは狩俣、小針、そして荒谷の3人でPGをローテーションしていた。その中でも狩俣がプレーする時間はゲームを落ち着かせ、他の選手にリズムを掴ませ、全体的にリズムを持ってくることに注力していた。その役割は今シーズンも変わらない。チーム最年長として、今までの経験、そして長崎ヴェルカの築き上げてきた大切なカルチャーの理解者、後継者としてチームをまとめ、背中と言葉、スリーポイントシュートでチームを押し上げる存在であることを期待する。

木林優

昨シーズン途中、筑波大学から特別指定で加入した木林。私個人としても加入前から期待していた選手。高校は福岡県にある大濠高校出身、身長200cmと恵まれた体格とバスケットIQで各世代の代表として選ばれてきた。しかし、ヴェルカ加入してからの出場試合は11試合。出場時間も11試合合計59:20(1試合平均5:25)
同じく筑波大学から特別指定で広島ドラゴンフライズに加入した三谷柱司朗が26試合出場、試合合計289:26(1試合平均14:53)
この比較には意味がないと個人的に思っているのだが、シーズン後の木林のコメントで悔しさがあったとのコメントを目にしたので一応の比較として記載する。
しかし、これからこの比較が何の意味もないことも書いていく。
先にも述べたが、木林は200cmと日本人選手のなかでは恵まれた体格である。大学までは5番選手として、他大学の留学生とやり合ってきた。だか、プロの世界では同じようには戦えない。これは今までも歴代日本人ビッグマンたちかぶつかってきた大きな壁である。現在のA代表でもある川真田絋也(滋賀レイクス)井上宗一郎(越谷アルファーズ)吉井裕鷹(アルバルク東京)も同じ壁にぶつかっている。やはり外国籍選手と5番ポジションを争うのは並大抵のことではない。だが、外国籍選手とゴール下でフィジカル勝負を挑むのは難しいが、日本人ビッグマンには日本人ビッグマンなりの戦い方がある。それがA代表でも採用している5アウトのスタイルである。木林も4番ないし3番へコンバートすることになるだろう。木林自身もこのことは常に理解していたはずで、高校の時からそのための準備はしていたはずだ。200cmの身長ながらスリーが打て、ピックアンドロールからのあわせ、ドライブからのスピンムーブ、当然ながらサイズのミスマッチが生じた時は果敢に攻めていける。オフェンスに関してはできることの多いマルチプレイヤーである。今後の課題としてはフィジカルとスピードのある選手へのディフェンスである。ヴェルカに所属する限りフィジカルに関しては恐らく問題ない。現在のヴェルカの選手たちをみるとわかるようにフィジカルの強い選手ばかりだ。これは中山コーチの指導の賜物である。今オフ、中山コーチの地獄のようなフィジカルトレーニングの成果は見ものだ。今シーズンの木林の最大の課題はスピードのある相手へのディフェンスである。ディフェンスのスキルは一朝一夕に身につくものではない。日々のチーム練習やゲーム経験での場数がものをいう。特別指定選手としての期間、なかなか試合ではプレーする機会は少なかったが、このフィジカルとディフェンスへのアジャストに関してしっかり時間をかけ、チームにアジャストする準備ための期間であったと思う。今シーズン、ルーキーとしてプロの世界に臨む木林。河村世代を代表する日本人ビッグマンがプロの世界でどのようなプレーを魅せてくれるのかリーグを背負う3&D選手になることを今から楽しみにしている。

森川正明

昨シーズン、横浜ビー・コルセアーズから加入した3番ポジションの選手。彼の武器はなんといっても外からのシュート、特にスリーポイントシュートは彼の代名詞でもある。彼は生粋のシューターであり、リズムにのったら止まらないスコアラーである。しかし、昨シーズンの彼の出場は16試合に止まった。左手を負傷し、IL(負傷者リスト)入り、シーズン途中の復帰は叶わずシーズンアウトで終わった。なので、2023‐24シーズンの彼を評価するのは難しいのだが、怪我なくシーズンを戦えていたならばと考えてしまうくらい、前チームでの活躍は素晴らしかった。前述のとおり、彼の最大の特徴はそのオフェンス力である。外から射抜けるのは勿論、ペイントアタック、速攻からのアタックとオフェンスなら何でもハイレベルでこなせる選手である。あと、彼の特徴としてパスの上手さもその一つだ。相手は彼のシュートを警戒し、スイッチやダブルチームを仕掛けてくる。しかし、彼はそれを冷静に見抜き、空いたスペースや選手にドンピシャでパスを出す。そのパス精度も高く、相手としてはディフェンスし難い選手だ。オフェンスに関しては課題は見当たらないが、ディフェンスについては若干の課題がある。特にスピードのある相手を苦手にしているように感じる。しかし、アイソレーションの標的になるほではない。チームディフェンスへの理解が上がれば問題ないだろう。オフのフィジカルアップにも期待したい。森川選手に関しては、怪我なくシーズンを戦い、本来のオフェンス力が戻ってくれば戦力アップ間違いない。なにより、彼がシュートを決めれば、チーム、ファン・ブースター、会場全体がお祭り騒ぎ。昨シーズン中止になった、森川シュート打上げ祭りの開催を今シーズンは期待している。

荒谷裕秀

森川選手同様、昨シーズン加入。宇都宮ブレックスから移籍してきた。宇都宮所属の時から出場時間、得点が倍増した。ポテンシャルとしては申し分ない。宇都宮というビッグクラブでは、なかなかプレータイムを得ることができなかったが、長崎にきてプレータイムを伸ばした。しかし、彼の本来の実力からしたら、昨シーズンも満足できる結果ではなかったはずだ。彼はチームで最も負けず嫌いだ。勝っても負けても満足していなかった。昨シーズン、1番でハンドラーとしてプレーする時間が多かった。本来は2番ないし3番のプレイヤーだが、宇都宮で1番コンバートもあり、長崎ではさらに1番としてプレーが増えた。1番コンバートは彼の視野の広さ、パスセンス、ハンドリングスキルをみると納得はできる。しかし、彼の本来の魅力はオフェンス力、フィニッシュスキルの高さだ。

MINPG(1試合平均出場時間)19:56
PPG(1試合平均得点)6.2点
FGAPG(1試合平均試投数)5.3
FGMPG(1試合平均成功数)2.4
FG %(1試合平均成功率)44.5%
3FG %(3pt成功率)36.5%
3FGAPG(一試合あたり平均試投数)3.1
3FGMPG(一試合あたり平均成功数)1.1
2FG %(2pt成功率)55.6%
2FGAPG(一試合あたり平均試投数)2.3
2FGMPG(一試合あたり平均成功数)1.3

やはり少し物足りなさを感じる。
今シーズンは
PPG 10
3FGAPG 4.5
2FGAPG 6.0
以上のスタッツを期待したい。

1on1から仕掛けるところもみたいところだが、今シーズンはハンドラーとしてのPnR(ピック&ロール)、 PnP(ピック&ポップ)のオフェンスオプションもありなのではと思う。特にダブルガードでの荒谷ハンドラーのPnR、PnPはかなり有効なのではと感じている。ディフェンスのズレからの外へのキックアウト、ダイブへのパス、そして荒谷自身のショットは良い想像ができる。今シーズンは彼の覚醒にかかっていると言っても過言ではない。

高比良寛治

クラブ創設から所属する選手の1人。
昨シーズンは
PPG 2.1
MINPG 10:02
シーズン通してインパクトを残せたかと考えるとなかなか難しい結果だったかもしれない。
しかし、ヴェルカのファン・ブースターならスタッツ以上に彼がチームに及ぼした影響がどれだけ大きかったか知らない人は少ないと思う。
チームキャプテンの1人として、オンコートではコートでもベンチからでもチームを鼓舞し、オフコートではファン・ブースターのみならず、チームメイト、スタッフ、スポンサー、長崎ヴェルカに関わる全ての人へ『感謝』を忘れない。当然ながら、彼だけではなく全ての選手が同じ気持ちを持っていると思う。しかし、彼の人となりがファン・ブースターをはじめ関わる全ての人の心に届くメッセージを発信してくれた。来シーズンもメンターとして貢献してくれることを願っている。が、しかし、彼はプレイヤーなので、プレーでも貢献してほしい。具体的に期待するところは、キャッチ&スリーとフィジカルと気合いで負けないディフェンス。昨シーズン終盤は外角のシュート精度が上がり、役割としての糸口を見出せたのではないかと思った。ディフェンスに関しては昨シーズン通してハッスルする姿勢は見えていたし、今シーズンは昨シーズンの経験と今オフのトレーニングの成果を開幕から魅せてほしい。彼のコート上でのオラついた雰囲気は個人的に好きで、今にも相手に噛みついちゃうんじゃないかって思うほどのオーラは相手もプレッシャーに感じているに違いない。コート上では与えられた時間でしっかり役割を遂行し、オフコートではその背中でチームを引っ張る姿を楽しみにしている。コートの上では威圧感出しまくりのオラオラ系、コート外では愛されイジられキャプテンのギャップに乞うご期待。


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