農作物の質もトレーサビリティも、エクソソームで分かる!「良いものは良い」ことが科学的に証明される時代に。【エクソソームが世界にもたらす大革命】#4
「エクソソームが世界にもたらす大革命」をテーマにしたシリーズ、前回は土壌環境と農法がエクソソームに与える影響について解説しました。
第四回では、エクソソームが自然界でどのように循環し、今後の人間の健康や農業にどのような影響を与えるかについて解説します。
※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学の観点からエクソソームについて解説しています。動画はこちら。
エクソソームは自然界を循環している
土壌には多くの菌が存在し、菌が分泌するエクソソームの質が重要な役割を果たしています。植物はこれらの菌からのエクソソームを吸収し、その植物を動物が摂取することで、エクソソームは自然界を循環しています。
「土と水」が、生命体を通じて巡っている
また、エクソソームは、土だけでなく、川の水(天然水)にも含まれています。雨が降ると、川や湖に流れ込み、自然の中でエクソソームは広がっていきます。このように、エクソソームは微生物から植物、動物などの環境の影響を受け、絶え間なく循環しています。
自然環境では、土と水が生命体を通じて循環しています。
栄養学の観点から見た栄養の循環と自然環境については、別の機会に詳しく説明します。
食事性エクソソームとは?
ここでのポインㇳは、エクソソームは細胞から放出された小胞体(細胞外小胞体)ですが、その前段階である「細胞内の小胞体」も重要です。
そもそもエクソソームは、細胞の中で作られています。例えば、植物をそのまま食べることで、エクソソームが含まれる細胞ごと摂取することができます。植物が分泌しているエクソソームだけでなく、分泌前の「細胞の中にある大量のエクソソーム」も摂取でき、マイクロRNAなどのエクソソーム内の分子が体内に取り込まれます。
食事性エクソソームは、細胞外だけでなく細胞内の小胞体も含む
エクソソームという名前は広く知られるようになってきましたが、食事を通じて得られる「食事性エクソソーム」は、まだ十分に理解されていない部分もあります。食事性エクソソームとは、エクソソームになる前の「細胞内で発射準備段階の小胞体」を含めた考え方になります。
エクソソームによるトレーサビリティの向上
研究の中では「エクソソームがどれくらい含まれているか」について、以下のことが分かってきています。
旬の野菜はエクソソームの数や質もいい
エクソソームはその生物の細胞の状態を反映します。弱って死んでいく状態より、生まれて成長していく時の方が、当然数も活性も高くなります。
生命体としての成熟度がピークに達する完熟の状態になると、エクソソームの数や質が極めて高まることも分かっています。逆に、収穫後の植物は時間が経つにつれ弱っていき、エクソソームの質も低下します。
「収穫から消費者が食べるまでの期間」が長いか短いか。この期間が短いほど鮮度が良く、長いほど品質の劣化や腐りかけとなり、最終的に食べることが困難になった状態を生ゴミというわけです。
運送や保管の環境も、エクソソームの質に影響する
植物は収穫後、枝から離れて栄養を受け取っていないので、どんどん劣化・弱って死んていっていますが、逆に言うとまだ生きている状態です。
ということは、悪口を聞きながら運ばれたり、罵倒されながら保管されていたり、劣悪な環境での運送&保管を経ていると、その間も植物は聞いているわけです。
このように、エクソソームは収穫後も環境の影響を受けます。運送や保管の環境が悪ければ、植物のエクソソームにも悪影響を与え、それを摂取する我々の健康にも影響を与える可能性があります。
「植物は収穫後も生きている」という生命に対する敬いが、必要になってくるかもしれないですね。そういったことを含めたエクソソームを活用したトレーサビリティによって、本当に体に良いものが増え、明確に区別される時代がやってくるでしょう。
生命を尊重する文化とエクソソーム
日本では、神道においてその土地の神社に収穫物を祀り、11月23日の新嘗祭で天皇陛下が感謝と供養を行っています。これらの生命や農作物に対する供養や感謝が、植物のエクソソームの最後の状態にも、良い影響を与えているかもしれません。私はそう信じています。
昔の人の教えが化学で裏付けられる時代に
エクソソームが発見される前から、昔の人も「良いものを食べなさい」「残さず食べなさい」という教えがありました。
このような命に対する尊厳の尊重や、今まで感覚的に「良い」と思っていたことが、エクソソームによって科学的に証明できる時代になったんです。
まさに世界が変わりそうな変化ですよね。
農業とエクソソームの未来
僕自身、農家さんとの連携にとても興味を持っています。健康と農業が循環することで人の健康も良くなり、農作物や地球環境も健康的になると思っています。
無農薬・化学肥料不使用の野菜をパウダー化
その取り組みの1つとして、健康と農業を循環させる事業をやっています。
農家さんに農薬を使わない農法で、無農薬・化学肥料不使用で野菜を栽培して頂き、完熟の状態で水だけ抜いてパウダーに加工しています。そして無添加の状態で、野菜の栄養をみなさんの体に届ける取り組みです。
パウダーにすることで保管や流通の間にエクソソームが劣化せず、消費者に良い状態で届けられます。「野菜を食べるのが手間」という時も、いつでも収穫時の状態のまま野菜を食べられるし、生の野菜と違って何年も保つので、災害や有事の備蓄品としても有用です。
完熟野菜の栄養とエクソソームをまるごと摂取可能
この野菜パウダーの中に含まれているエクソソームを、試験的に測定してもらいました。そうすると、およそ一兆個の食事性エクソソームが備わっていたことが分かりました。これはかなりの量です。
みなさん調べて頂いたらいいんですけれど、今、治療や様々な取り組みの中で、エクソソームの点滴や注射などがあり、それらと比較しても劣らないすごい数のエクソソームが含まれています。
これは育て方や収穫時期の影響を受けているほか、パウダーにすることで流通期間中もエクソソームが劣化せず、良い状態で届けられるのです。非常に興味深く、今もデータの測定を続けている所です。
「良いものは良い」ことが証明され、評価される時代が来る
これからは、農家さんが愛情を込めて育てたものが評価される時代が訪れるでしょう。流通環境も整ってきたので、遠くから取り寄せるより、地元の野菜や農家さんから直接家庭に届く野菜にするなど、食品の選び方にも影響していくと思います。
科学的にかつ、今までの想いなども含めて、「良いものは良い」ということがキチッと語れる時代になってくると個人的に非常に楽しみにしています。
このような話はすべて、栄養学の目で見た考察をエビデンスと共にご説明しているんです。面白いですよね。自然環境や命・健康の間をつなぐ「エクソソームという原理原則が、1つの栄養学の可能性としてわかってきた」ことが大注目の理由です。
次回は、「エクソソームが世界にもたらす大革命」シリーズの最終回です。お楽しみに。