#24 なにものかにならなくてもよくなったら、暇になる、そして元気になる
ずっとなにものかにならなければ!と、何十年も、もう軽く二十年は超えているはず。とにかく見えない姿を追っかけ続けてきた。そのピンがようやく外れた感がある。
いままで、あれもしてこれもして。ほんとに忙しくしていた。だって、なにものかになりたかったのだから。暇というのは大敵なのです。
必死で向かっていたピンが外れると、今度は暇になるわけで。一気に常連No.1になったんじゃないかと思うほど、喫茶店に通い始める。そして、自分のエネルギーが漏れていかず、蓄えられていく感覚を味わう。
不思議なもので、今までめんどくさくてそんなことにやってられるかー!って思っていたことを、ちょっとずつやってみようかな、と思うようになってきた。
そのひとつがメルカリ。
写真撮って、商品の説明を書き、売る金額を決める...もし売れたら今度は梱包して、コンビニへ持っていって...匿名発送ってなに、どうやってやるのよ。
めんどくさい。ずっとそう思っていた。
夫にお願いしちゃおう。いいよって言った割には何年も放置されていて、でた、やるって言ってやらないやつだー!とイライラしたりもしていた。
それが、いざはじめてみると。どんなふうに書いたら購入してもらえるんだろう、そう考えながら文章を書くのは思いのほか楽しかった。梱包もやってみると、こういう包む作業好きだったな、と思い出したりもした。めんどくさいと思っていたことは、全部楽しかった。
なにより、自分が手がけたもの(おおげさだけど!)が売れるというのはとても嬉しいことだった。
メルカリは時間がとられるとか、クレームがとか、めんどくさいと思っているときは、やらなくて済むような情報を受け取っているから面白い。
いざ始めてみると、やりとりは短い期間なのにやさしい世界なんじゃないか、とも感じている。家で眠っていたものは、イキイキしながら次の人のもとへ届けられていく。
メルカリをやってみて。
自分がいいなと思ったものをやっぱり発信したい、という想い。そのかけらを掬い上げるために、この流れがあったんじゃないかとも思える。
もっと巻き戻せば、喫茶店に通っていたから。さらに巻き戻せば、暇になったから。さらにさらに巻き戻せば、今の自分ではないなにものかになりたい、という想いで生きてきたから。
じぶんの中に眠っているものを目覚めさせるために、すべての過程というものは存在しているんだろうか。一見無駄のような時間でも、全部がつながっている。