見出し画像

両親と別れ際にやっていること

先日、歩くのがやっとになってきた義母は、帰り際、息子に向かって両手を広げた。その姿が羨ましかった。とはいっても、大人のわたしたちに同じようなポーズをとるわけではない。おばあちゃんという存在と、無邪気なこどもだから成り立つのだろうか。


2020年頃、人に会ったり触れるなんて、なかなかできることではなかった。

そんな中、ひさしぶりに両親と会うことができた。いままでの別れ際といえば、じゃあねー!なんて気軽に手を振っていた。けれど、簡単に会えなくなっていた時期ということもあり、今、両親に触れておいたほうがいい気がする、そう思った。

こどもの頃は、手を繋ぐとか、ぎゅーっと抱きしめられることもあったと思う。大人になってから、親と触れ合う機会は我が家にはなかった。握手をする、ということでも、それはそれは勇気が必要だった。


「握手したら?」と、こどもを先に促す。孫との触れ合いが目の前で起きている間に、自分の気持ちをととのえる。そして思いきって、握手をしようという気持ちで、じぶんの右手を差し出した。

握手をしたときの気持ち。万が一これで会えなくなっても、という気持ちはあったと思う。そのくらいあの頃って、先が見えない緊張感と恐さがあった。

骨っぽさを感じる大きな父の手、華奢さをまったく感じない厚みのある母の手。


その後、我が家では、両親と別れ際の握手は恒例となった。それでも右手を差し出すことはいまだに照れくさい。

やりたいと思っていること、親に触れたいのならそれをただすればいい。とても勇気はいるけれど。

ほんとはやりたかったこと。後押ししてくれた2020年。

いいなと思ったら応援しよう!