ベガルタ仙台監督交代について(※個人の推測です)
初のnote投稿にもかかわらず、いきなり推測での文章でお恥ずかしい限りですが、お付き合い頂けると幸いです。それくらい今回の監督交代に対しては言わずにおれない、整理しないとやってられない気持ちが積もっています。
といっても決まったことは決まったこととして(書いてる時点で就任のリリースはないけども)、我々サポーターが前を向いてベガルタ仙台を応援していく助けになればいいと思って書きます。
この記事で書きたいことは次の3つ。くどいですが個人の推測と希望です。
①何故監督が変わるのか
②何故こんな形になったのか
③感謝を伝える場を設けて欲しい
①何故監督が変わるのか
これはフロント、特に丹治祥庸強化育成本部長と渡辺晋前監督の描く「ベガルタ仙台の目指す姿」が完全に一致せず、その誤差がフロントの許容範囲を越えてしまったから、ではないでしょうか。
ベガルタ仙台の基本理念「地域のシンボルたるプロサッカーチームとして、豊かなスポーツ文化の振興や青少年の健全育成、地域の活性化に寄与する」の実現に向けて、渡辺晋前監督が今シーズン掲げたスローガンが「ReVolution」でした。
「既成概念を越えて変革を追求するシーズン。積み上げたものを根源とし、勝利をつかみ取るために心技体のすべてを進化させ、恐れず前進する。」
ここ数シーズンの渡辺晋前監督のベガルタ仙台に対する哲学が詰まっていると感じます。「時計の針〜」発言もこのスローガン、目指すチームへの彼の思いから出たのでしょう。
一方で、フロントが優先することは「J1にいること」「勝ち点を積むこと」であり、かつ「経営規模を急拡大することは難しい」という現実もあったのではないでしょうか。渡辺晋前監督の理想とこれらの現実が両立できているうち、またはそのギャップが小さいうちは、渡辺晋前監督以外の選択肢はなかったでしょう。
移籍やレンタルバックなどで昨季の主力を引っこ抜かれてもシマオ・マテやクバを連れてこれたのは、ベガルタ仙台の経営規模からするとファインプレイであり、これが今年の残留に大きく貢献したのは間違いありません。
ところがそれでも、2019シーズン当初は結果が、勝ち点がうまく付いてきませんでした。
そんな中で、システムを4バックに「戻し」、その時々で渡辺晋前監督のとりうるベストを尽くし、残留まで導いてくれました。最終順位も11位であり、それだけでクビになるような順位ではないでしょう。
監督退任時に報道があったように1桁順位がなかった、というのは方便であると思います。
では何故監督交代なのか。
やはりフロントにおいては、前半戦の結果が伴わなかったことが大きかったのだと思います。J1に居続けることが、営業面でいかに大きな影響を与えるかを考えると、先々の理想よりも、より現実的な方向性をとった、と。それと、後述する山形の昇格失敗。
「J1昇格」発言がクローズアップされるホーム最終節の社長挨拶でも、序盤の戦いと6月の躍進について触れられているとおり、「このままではいけない」「より守備的に、勝ち点を獲れるチーム作りを」との思考がフロントにおいて働いたのではないでしょうか。
本来であれば上位進出できなかった反省と、来期の展望について語るべきあの場で、安心のあまり「残留」と「昇格」がごっちゃになってしまってのあの失言でしょう。
監督とフロント両者がどちらもチームのことを思って、それぞれの哲学で話していたホーム最終節の挨拶は今振り返ってもあまりにも切ないですね。
監督という常に他人の目を意識する職業で、場慣れした渡辺晋前監督と、なかなかあの人数の前で話す機会はないであろう社長のスピーチの差に隠れてしまうけど、考え方と理想の追い方がちがうだけで「社長=諸悪の根源」では決してないことは頭に入れておかなければな、と自戒を込めて書いておきます。
そして、次期監督は木山隆之氏。勉強不足のため、彼の実際の采配を現時点でどうこう論じることはできませんが、各種報道によると「守備構築」に定評のある監督であり、かつてボールを握るサッカーもしていたとのこと。予算的にも手堅くバランスの良い人選なのではないかと思います。きっと前々から水面下で動いていたのでしょう。
②何故こんな形になったのか
上記を踏まえると、山形の昇格プレーオフ敗退を待っていた、が現実的な回答でしょうか。
ホーム最終節時点ではフロントでは殆ど方向性は決まっていたでしょう。でもまだ山形のJ1昇格の可能性があったので、白紙、としか言いようがなかった。スポーツ紙の「続投」報道も、あの時点ではその可能性もあったので、あながち間違いとは言い切れなかったでしょう。その後、広島戦後というか山形のJ1昇格が消えた後に話し合いがもたれ、ほとんど解任のような退任となりました。
そこでフロントと渡辺晋前監督の間で実際にどんなやりとりがあったのかは推測するしかありませんが、退任、という形から、渡辺晋前監督のプライドやチーム、選手、サポーターへの思いが伺えます。
一方でフロントはフロントで、したたかに物事を決断し舵を切ったのであり、我々サポーターとしてはその決断に従って、後押しをしていくのみです。サポーターを引退するとかでなければですが。
このフロントのやり方が悪いといってるのではありません。この世界ではよくあること、実際、この決断が早々に出来ているのならば、来期の選手編成について安心できる材料になると思います。
では、何故両手を挙げて心からこの監督交代を受け入れられないのか。
それは、19年という年月をチームに捧げてくれた渡辺晋さんに対しての扱いが酷すぎるだろう、という感情です。
③感謝を伝える場を設けて欲しい
選手・コーチを経て火中の栗を拾う形でアーノルド氏から引き継ぎ、残留させ続けてくれたこと。サッカーを戦術から語る楽しさを教えてくれたこと。選手のこと、チームのこと、サポーターのことを思い、責任を負う姿勢。ベガルタ仙台というチームをより高みへ導こうとしてくれたこと。ルックス。そして2018年12月9日。渡辺晋前監督がサポーターにくれたものは書き切れないほどあるし、それぞれが大切に持っているでしょう。
それが、こんな終わり方。
フロントとしても言えること、言えないこと、たくさんあると思うのでそこは尊重しなくてはいけないでしょう。
サッカーの世界ではよくある別れ、かもしれません。
でも、このチームにとってこんな形で彼との19年が終わるのはあんまりですし、マイナスでしかないでしょう。せめて、感謝を伝える場を設けてほしい。
ホーム最終節挨拶を聞いて「コイツに喋らせたらまずい」とでも思ったのでしょうか。
来期から東京ヤクルトスワローズの一員として活躍してくれるであろう嶋選手に対する前球団の扱いを笑えません。楽天は来期の開幕戦でゲストに呼んだら良いんじゃないか、なんて皮肉も浮かぶほどです。
・・・つらつらと思いを書き殴ってきただけの駄文にお付き合い頂きありがとうございました。この辺でやめておきます。
渡辺晋さん、ありがとうございました。いつか相手チームの監督として対峙するとき、笑い泣きしながらブーイングするのが今から楽しみです。
願わくばJ1の舞台で再会しましょう。
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