アメリカで出会った100の光景 No.18<大自然の絶景>巨大すぎる人造湖レイクパウエルでのクルーズ
明日はクルージングだよ、と夫から聞いて胸が躍った。
旅行中は主に赤土にまみれながらトレイルを歩く日々。それはそれで面白かったりはするのだけれど、やはりメリハリも欲しい。
わたしは持ってきたサマードレスを夫に見せながら、明日はこれでいいかなと言ったところ、帰ってきた言葉は
「なんで?」だった。
「なんで?」逆に聞き返す。「クルージングなんでしょ?」
船には乗るけど、その後歩くんだよ。
美しいカーブを描く赤い岩の芸術、アンテロープキャニオンから、ほど近いところにある大きな湖。それがレイクパウエルという人造湖。
水と電気のために、グランドキャニオンにも匹敵するくらい美しい峡谷をダムを造って水に沈めてできた湖。アメリカの環境史上最悪の汚点、などとも言われているとか。
遠くには火力発電所の高い煙突から煙がもくもく上がっているのが見える。
きれいな自然の景色ばかりを追ってきた旅で、あまり知りたくはないことではあるが、そういう現実もあるのだから仕方がない。
マリーナはボートでいっぱい。キャンピングカーのボート版、みたいなボートハウスもみっちり並んでいて水上の団地のよう。
わたしたちの船は中型船。屋根のない2階のデッキのシートをキープした。
レインボーブリッジという、船でしかアクセスできないナチュラルブリッジを見に行くツアーだ。そこまで片道2時間半。
ゆっくり船が出発する。
水上バイクの青年(遊び人)が楽しげに手を振ってくれた。
船が進むにつれ、景色が変わっていく。
岩の見せる表情の豊かなこと。
確かに、グランドキャニオンみたい。
それにしても、静かで穏やかな湖。とても人の手で造られたとは信じられない。
船は岩がそびえるエリアに接近していく。
色が変わっているところは、水が以前この高さまであったということを示している。お風呂の湯垢と一緒だ。
っていう説明があったような気がするけど、英語だったのであくまでわたしの超訳です。違ってたらあしからず。でも水量は確実に減っているらしい。
船は、岩の狭い間にも果敢に突っ込んでいく。本当に手を伸ばしたら届きそうなくらいの距離。
ああ、そして、そんなときに向かいからも小さなボートが!
息をのんで見守る。スピードを目一杯落として無事にすれ違った。
操縦士さんすごい!
日が射さない岩の陰では、水の色がまったく変わって見える。青かった水が茶色くなった。温度もぐっと下がってひんやり感じられる。
船が船着き場に着いた。ここから2kmほど歩くと、このツアーの目的地であるレインボーブリッジというナバホ族の聖地である巨大なナチュラルブリッジを見ることができるのだ。
とっても印象的な場所だったので、それはまた別の項でご紹介したい。
船に戻って、楽しみにしていたランチは、ボックスに入っていた。
ブリトーにリンゴ、キャンディーと、とってもアメリカらしいランチ。
うん、これはサマードレスは必要ないな。
帰り道は、興奮でいっぱいの往きとは違ってデッキで受ける風が寒く感じられた。中には寝ちゃってる人もいたけれど(←夫)、往きには見れなかった面白い景色もたくさんあった。
クルーズに参加する人は、トレイルを歩ける格好と羽織るものを準備しておくのがお勧め。サマードレスは必要なし。
レイクパウエル(ユタ州/アリゾナ州)全長300km
Lake Powell