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2024 第18節 栃木シティ戦マッチレポート

絶対に負けられない一戦と言い始めて何試合目だろうか。もちろん負けていい試合などひとつもない。しかし長いシーズンを闘う上で、何としても勝ちたい、本当に負けてはいけない試合が必ずある。それがこの試合だった。

台風の影響で日程変更になった第18節・今季22試合目となる栃木シティ戦。勝点41で暫定2位につける栃木シティをホーム・ラピスタに迎えて行われた一戦。ヴィアティン三重は勝点34で暫定5位、勝点差は「7」。いわゆるシックスポインター(昇格を争うチーム同士の対戦で、勝ったほうが勝点3を上げ、争っている相手の勝点3を奪い取ることから勝点6に相当する意味を持つとされる)で、勝てば栃木シティに勝点4差に迫る3位に浮上できる大事な闘いだった。

平日開催のナイターにも関わらず、スタジアムには1,202名の観客が集まった。しかし結果は1-2で敗戦。前半に2点先制され後半に1点返したものの追いつくことは出来ずに試合が終わった。しかしまだ8試合ある、順位は5位。可能性がある限り諦めずに前に進むのみ。


第18節 スターティングメンバー

GK:1 森
DF:4 饗庭・19 児玉・30 篠原・66上田
MF:18 大橋・20 金・24 池田・41 梁
FW:10 田村・75 山内
SUB:21 松本・3 伊従・5 菅野・13 安西・28 野口・35 寺尾・22 上野

スコア

ヴィアティン三重 1-2 栃木シティ
(前半:0-2 / 後半:1-0)

・60分 #10 田村翔太(V三重)

ハイライト


前半、相手の得意な形から連続失点

8/31に行われる予定だった第18節のホームゲームが台風の影響で延期になり、22節の次に行われることになった。当初の日程で行われていれば勝点33で2位の栃木シティと勝点30で3位のヴィアティン三重の上位対決という構図だった。そして迎えた10/2、およそ1ヶ月を経て4試合を終えた結果、栃木は勝点8を加算して2位をキープ、一方ヴィアティン三重が積み上げた勝点はわずかに4。3位から4位→7位→5位と順位を下げることになった。その勝点差は7、昇格争いに踏みとどまるにはどうしても勝たなければならないホームゲームだ。誰もがその重要度を理解していた。

前節のマルヤス戦では相手に退場者が出たにも関わらず、圧倒するまでは至らず苦しみながら試合終了間際になんとか勝利をもぎ取った。この状況においては内容云々を語っている場合ではない、勝ったことが何よりも大きい。そしてその勢いを弱めることなく中3日で栃木を迎え打つ準備をして臨んだ。

前半、試合開始と同時にいつものように前線から田村、山内、梁が厳しいプレッシングで相手陣地からボールを出させない。20分ごろまではアグレッシブな前からの守備が上手くハマり何度か相手ゴールに近づく場面を作る。サイド攻撃だけでなく鋭い縦パスを入れて受けた梁が前を向いて右足を振る。しかし相手の守備が固くブロックに跳ね返される。

飲水タイムを終えた直後、ヴィアティン三重陣内で中央からボールを運ばれ中央に人が集まったところでサイドに展開、アーリークロスを放り込まれる。一度は跳ね返したがセカンドボールを拾われてコースを狙った鮮やかなミドルシュートを決められる。その10分後、左サイドから運ばれるが上田がしつこく追いかけてボール奪取、大橋に預けて一気にカウンターと行きたかったがパスカットされ再びアーリークロスをゴール前に放り込まれ失点。二度も相手の得意な形から得点を許してしまう。前半はその後もチャンスを作れないまま2点差で後半へ。

田村のゴールで一矢報いるが届かず。

栃木の攻撃力は想定の範囲だったと思うが、前半に複数失点したことで試合を難しくしてしまった。また、攻撃で相手を脅かすような場面をほとんど作れなかったことから攻撃の活性化を狙ってハーフタイムには今季初めての三枚替え。山内に代えて上野、大橋に代えて安西、児玉に代えて寺尾が入る。しかし後半開始から栃木が怒涛の攻撃を畳み掛ける。

パスを繋いでゴール近くに運び、中が狙えないと見れば外に出して鋭いクロスを放り込む。中と外、守る方は的が絞れず対応に苦しむ。しかし左のワイドに入った寺尾が良い動きを見せ相手陣地にボールを運ぶ。またボランチに入った安西も正確なロングパスでシャドーの田村、右ワイドの池田を走らせる。前半にはなかった展開で少しずつ流れを引き戻す。

栃木はGKからのビルドアップとロングフィードを上手く使い分け、前線にスペースがあると見たら正確なロングフィードを送りDFの裏を狙ってパス1本でヴィアティン三重ゴールに迫る。56分、GKから裏を狙ったロングフィードが篠原の後ろのスペースに蹴られる。相手選手を抑えながら後ろに下がる篠原だったが倒してしまいイエローカード。累積4枚目、次節沖縄戦は出場停止。

栃木は前からの連動した守備でヴィアティン三重に隙を与えない。ボールを奪ってもなかなかパスを繋げないヴィアティン三重、奪ったあとパスを1本繋いでも2本目ですぐに奪われてしまいボールを前に運ぶことが出来ない。60分、相手がボールを下げて後ろからのビルドアップ。上野が追い、パスが出たところに安西がプレッシャーをかける。そして次の瞬間、横パスに狙いを定めていた田村が前向きに足を伸ばしてパスカット、そのままフリーでゴールに突進。高い位置を取っていた相手GK、下がりながら迫りくる田村に対峙する。田村とGKの一対一、突然訪れたチャンスにも落ち着いていた田村、身長193cmのGK・相澤の頭上を越える柔らかなループシュートを決めて1点を返した。田村は今季7ゴール目。

一矢報いたヴィアティン三重の頑張りにスタンドの熱気が増す。1,200人の声援がより一層大きくなる。まずは同点に追いつきたい。そのあとも高い位置でのボール奪取を狙って前から積極的にプレッシャーをかける。そして飲水タイムのタイミングで梁に代えて菅野が入る。81分には池田に代えて野口を投入。

1点返されても栃木の守備の圧力、攻撃の鋭さは衰えない。ボックスに近づけば複数の選手が関わって斜めに入り込んで鋭いクロス。ヴィアティン三重が前掛かりになれば後ろからの正確なロングボールで裏を狙う。ゴール前のセカンドボールを拾えば強烈なミドルシュート。明確な狙いで繰り返し繰り返しヴィアティン三重ゴールを脅かす。そのたびにDF陣は身体を張ってブロック、モリケンは好セーブで跳ね返す。

左の寺尾、右の野口を起点にサイド攻撃でチャンスを伺うヴィアティン三重。前に人数をかけて攻撃を仕掛けたいところだが栃木の分厚い攻撃に押されて後ろに下がらざるを得なくなる。最後まで容赦なく畳み掛ける栃木の攻撃。アディショナルタイムは5分。栃木はヴィアティン三重陣内のコーナーにボールを運んで時間を使う。最後はそのボールを奪って一気にカウンターを仕掛けたが抜け出そうとする田村はしっかりと抑えられて試合終了。

結果は完敗。田村のゴール以外にはゴールを脅かす場面をほとんど作ることができなかった。試合を通して7本のシュートを放ったが、枠に飛んだのは1点を上げた田村のゴールのみ。対する栃木は18本のシュートを打ち、何本も枠に飛ばしてモリケンを苦労させた。後半に入って前半より良くなったものの力の差を見せつけられる内容・結果に終わった。

22試合を終えて勝点34で5位、2位栃木との勝点差は10、首位高知との差は14。これで昇格争いは極めて厳しい状況になった。しかし可能性がゼロになったわけではない。あたりまえだがここからの試合にひとつひとつ向き合って最高の結果を目指すしかない。

試合後インタビューを終えた田村は悔しそうに噛み締めながら言葉を発した。「自分がヴィアティンに来てから(2022シーズンに入団)毎年この時期に同じようなことになって、同じようなことを言っている。これじゃ駄目なんです。でも諦めるつもりないし、今やれる最大限のことをやり続けるしかないと思っています。」オレたちのエースはその責任を受け止めつつ、闘い続ける強い意思を聞かせてくれた。

昨シーズンも22節終了時点での順位は5位、そこから最後の7試合で1勝しか出来なかった結果10位でフィニッシュ。去年とは全く別のチームではあるが、応援している人たちの多くは昨年の記憶がある。夏の時期を過ぎて失速し終盤にズルズルと順位を下げてシーズン終了、それを繰り返してきた記憶がある。今年こそ、最後まで昇格をかけて闘って欲しいし、できることなら昇格の可能性を残したまま最終節を迎えたい。他力本願は承知の上だが、それはここからの闘いにかかっている。

今ある最大限の力を出し切り、今の最高を見せて目の前の相手と闘う。本当にそれしかない。次はアウェイ沖縄の地で、いま持てるヴィアティン三重の最大限の「価値」を示して欲しい

公式記録

試合後コメント・フォトギャラリー


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