2024JFL 第16節 高知ユナイテッドSC戦マッチレポート
16試合目にして今季三度目の黒星。85分に自陣でのミスがきっかけになり一瞬のチャンスを決められた。相手は首位を独走する高知ユナイテッドSC。今季の開幕戦では0-3の大敗、ホームに迎えて何としても勝ちたい相手だった。
互いに攻守の切り替えが早く、引き締まったゲーム展開。前半から堅い守備で何度も高知の攻撃を跳ね返してきた。後半に入ってからは前線からのプレッシャーを強めいくらか相手のリズムを崩させる。そして相手ゴールに迫る場面を何度か作った。先制点を奪いたい、少なくとも0-0のドローに持ち込みたい試合の流れだった。85分までは。
失点し残り時間はあと5分、アディショナルタイムは3分。今季の前半戦15試合を終えて高知の失点はわずか8点とリーグトップ。残されたわずか10分足らずの時間で高知の固い守りを崩すことはできなかった。振り返ればチャンスこそ多くはなかったが、相手に圧倒されたわけではなかった。しかし結果的に首位を独走するチームの自信と強さを見せつけられる結末となった。
第16節 スターティングメンバー
GK:21 松本
DF:2 谷奥・4 饗庭・24 池田・30 篠原
MF:13 安西・18 大橋・19 児玉・20 金
FW:5 菅野・10 田村
SUB:1 森・3 伊従・17 野垣内・7 森主・28 野口・35 寺尾・29 加倉
スコア
ヴィアティン三重 0-1 高知ユナイテッドSC
(前半:0-0 / 後半:0-1)
ハイライト
前半、固く渋い展開でお互いにチャンスは少ない。
ずっと雨予報だった天気はかろうじて曇り空、先週の暑さに比べて気温・湿度ともにやや低く幾分過ごしやすい土曜日の夕方。照明に照らされる中、18時にヴィアティン三重ボールでキックオフ。首位の高知ユナイテッドSCを迎えた重要な一戦が幕を開けた。
前半はお互いに手堅い試合運びを見せる。コンパクトな陣形を保ちつつ後ろから丁寧に繋いでボールを運ぶ高知。時には長いボールも織り交ぜてチャンスを伺う。ヴィアティン三重はあまり前からのプレスには行かず奪いどころを見定めながらボール奪取の機会を探る。全体的には高知が保持する時間が長く、一瞬のチャンスを狙って奪うヴィアティン三重が速い攻撃を繰り出す、それを何度か繰り返す。
前半に高知は5本のシュートを放ち、ヴィアティン三重は2本、いずれも決定的な場面を作ることはできなかったが唯一危なかったのは20分、カウンターを仕掛けたヴィアティン三重のボールを奪い中央から運ばれボックスに入られた場面。ギリギリのところで谷奥と饗庭が潰して事なきを得た。互いに無得点で前半を終える。
85分、首位独走チームの一撃
高知ボールで後半開始。開始早々から高知が裏を狙ったロングボールを入れてくる。前線には身長186cmの東家がおり、その対応にあたるヴィアティン三重のDF陣。48分には左サイドから高知のサイドバック吉田が強烈なミドルシュート。あわやゴールかと思われたがポストに救われる。そのあとも立て続けにシュートを放ち、入りから強烈な推進力を持ってヴィアティン三重ゴールに襲いかかる。そこでヴィアティン三重は2枚替え、菅野に代えて加倉、安西に代えて寺尾が入る。そして63分には疲れが見えていた児玉に代わって野口が入る。
3人入れ替えたことで前からの守備、推進力を取り戻し相手陣地でのプレーが増え少しずつ相手ゴールへの距離が近づく。65分には左サイドのライン際で粘った野口がファールを受けフリーキック獲得。キッカーは寺尾、インスイングでゴールに近づく高いボールを蹴り入れる。相手GKとDFの間に落ちていくボールに対し走り込んだ饗庭が合わせようとしたが相手DFが身体をぶつけボールを捉えることはできなかった。当然ながら相手の守備も固い。
膠着状態が続く試合展開ながらも見ていて飽きることはなく、あっという間に時間が過ぎていく。しかし72分、高知の最終ラインから前線にロングボールが入る。それを拾った内田が強烈なシュート。これはワンタッチあって枠を逸れコーナーキック。そのあとのスローインからゴール前の密集をすり抜けて運ばれ至近距離からのシュート。ここは松本がナイスセーブ。後半最初のピンチを切り抜けた。
その後も加倉・寺尾・野口を中心に持ち前のクイックネスを活かしたプレーでボールホルダーにプレッシャーを掛け続ける。そして奪ったところで左サイドの野口に預けてアーリークロスを入れまくる。77分、野口が左脚でクロスを入れる。中央の田村は届かずファーサイドに流れたボールを右サイドから走り込んだ池田に収まり決定的なチャンス!ゴールに迫る池田に対し相手GKが間合いを詰めコースを消す。右脚を振った池田だったがシュートは惜しくも左に逸れてしまう。
この試合最大にして唯一のチャンスを決められなかったヴィアティン三重。このシュートさえ決めていれば、恐らく…試合の流れは変わっていただろう。何度見ても悔やまれるシーンになった。
82分にも左サイドライン際で粘った田村が前に運びポケットを取る、そして中に折り返し寺尾がシュート。しかし相手DFがそうはさせない。そのこぼれ球が加倉に転がりシュート。ここも相手DF陣の身体を張った守備でブロック、シュートを前に飛ばすこともできなかった。
再び左サイドから攻め込む。野口から寺尾にはたき中へ入れる。中央には相手の守備4人に対しヴィアティン三重は田村、加倉の2人。相手が落ち着いて回収し攻撃に転じる。ゆっくりとヴィアティン三重陣内に運ばれるが奪って再び高知ゴールを目指す。そしてまた奪われて攻められる。目まぐるしく入れ替わる状況の中、前掛かりになるヴィアティン三重の選手たち。
そして85分、自陣でボールを回収し攻め上がろうとする高知のボールがこぼれ、高い位置を取る篠原が拾って前方へ大きく蹴り出す。しかしこれが低いボールになり目の前の相手選手にひっかかる。引っ掛けた高知・上月は篠原の後ろのスペースめがけて蹴り出す。その瞬間に篠原の位置を見て裏のスペースへ走り出す高知・小林心。ゴールに向かって走る小林、ゴールに背を向けていた篠原は振り返って走り出す。一瞬で2m以上引き離されもう追いつけない。前に出るGK松本、それを見て冷静に転がす小林。失点。一撃でとどめを差し切る首位チームの強さを見せつけられた。
87分に野垣内、伊従を入れてパワープレー。身長188cmの伊従を前線に置き何度も何度もクロスを放り込みゴールへの執念を見せたがタイムアップ、静まり返るスタジアムに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
失点はある、それを超える得点が求められる。
試合を終え、膝をつく篠原、肩を落とす松本。試合終盤の失点に直接関与した二人は落胆の色を隠せない。ロッカーに戻ったあとの松本は敗戦の悔しさに震えていた。試合後にSNSで自ら発信していたが、それはやはり自分に対する苛立ちと悔しさからくるものだった。
しかし試合を通して振り返ると松本は決定的なシュートを2本阻止している。篠原ももちろん、守備の要として、ゲームキャプテンとしてこの試合を締まった内容にした中心人物だと言える。彼らの活躍は誰もが認めるところだ。
また、ここまでの前半戦15試合での失点はちょうど15点。1試合に1失点する計算になる。守備陣は当然クリーンシートを目指してはいるが、1失点はあるものとして考えれば勝利のためには2点取る必要がある。試合後にキャプテン野垣内が語ったように、こういう拮抗した試合に勝つには複数得点がもとめられる。それには積極的な攻撃でもっとチャンスを増やすことが不可欠だと言える。
首位・高知との手に汗握る一戦、引き締まったゲーム展開で見応えのあるフットボールではあった。しかし90分を通して相手ゴール前、流れの中からボックス内に運んだのはわずかに2回。枠内シュートは1本。今やるべきことは明確だ。エキサイティングなフットボールで、何度も何度も相手ゴールを脅かす場面が見たい。手堅い守備でガッチリ固めるにしても、アグレッシブに攻め込む姿をもう少し見たい。
それをまず次のクリアソン新宿戦でトライ、チャレンジして勝点3を掴み取ろう。そして僕たちはがむしゃらにゴールを目指す選手たちを後押しする強烈な風を吹かせよう。
公式記録
試合後コメント・フォトギャラリー
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