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海外ナレーション案件詐欺にあいそうになった

タイトルの通りです。
海外ナレーターからの大型案件の話が来て、おや?と思いつつ、飛びつきそうになりました。
直前で踏みとどまったのですが・・・それは、こんな風に発信してくれていた、他の誰かのおかげ。

私の発信が誰かの助けになるように、私も記しておこうと思います。


始まりはInstagram。
海外からのメッセージやコメントは基本的に全無視しています。(みんなそうだよね?)
でも、このときは。。。いくつかの投稿にいいねを付けてくれたうえで、「あなたは素敵なナレーターさんね!」的なコメントが英文で書かれていたのです。

そのコメントが、翻訳ソフトで変換した日本語だったら、怪しいと思って見向きもしないけど、英文そのままだったから、なんだか自然に見えてしまって。

なにげなくフォローバックしました。


すると、しばらくするとメッセージが。
「私はマネージメント会社で、ナレーターを探しています。私の会社はこちらです。長くお付き合いできるビジネスパートナーになれたら嬉しいです」

その会社のリンクを見ると、多言語で動画や映像、オーディオブック等を手掛けているよう。

念のため、自分のLinkedInに久しぶりにログインすると・・・
そちらでもその会社が自分のフィードに出てきて、
何度かプロジェクトの募集が行われており、つい最近募集が終了したようでした。
(色々情報見たところ、この会社自体は実在するようです。
詐欺グループが勝手にこの会社を名乗っているのだと思いますが、たまたますごいタイミングで、本物も募集を出してた、、、)

人が集まりきらなかったのか、プロジェクトが始まってから急きょ人が必要になったのか・・・
他の仕事でも、司会者が声でなくなった!とか、講師が倒れた!とか
急きょピンチヒッターで声がかかることはあるので、そんな感じかなと思ったのです。


「LinkedInでも御社が募集しているのを確認しました。何かのお役に立てたら嬉しいです。」
と返信すると・・・

じゃぁあなたの経歴やスキルを教えて、ときたので適宜返信。

すると、
「10日以内に100ページの原稿をナレーションしてほしい。1ページあたり○○ドル支払います。」

○○ドルで100ページ・・・円安の今だと、100万近い報酬になります。

さらに、
「原稿はこんな感じです・」

と、サンプル原稿が送られてきました。

日本語はところどころ不自然で、ああ~、翻訳ソフトでそのまま訳した文章だな~というのが一目瞭然。

収録した後、「やっぱりこっちの原稿で読み直して!」となったらたまったもんじゃないので
「この日本語はナチュラルではないので、収録前に修正が必要だと思います。貴社で原稿校正をする予定はありますか?」と確認すると

「あなたはそんな心配しなくて大丈夫。そのへんはうちの会社でやるから。スクリプトをそのまま読んでね。
ノイズのない、クリアな音声で送って下さい」

しかし、この分量・・・3時間超のとんでもない大作・・・
でも、これをやり遂げたら100万近い報酬が入ってくるのか・・・

いやいやいや、でもでもでも、
そもそも、私みたいな場末のナレーターに、いきなりこんな大型案件任せて大丈夫なの?この会社?

「残念ながら、今は忙しいから、短い案件なら引き受けられます。」

いやだって、これまでお付き合いないんだもの。
小さな仕事を積み重ねて、信頼関係ができてから、大型案件をやりましょうよ・・・と思って、そう返信すると

「この仕事ができる人を探しているの。10日以内に仕上げてくれたら、○千ドル支払います」

うーーーん・・・・


「わかった、じゃぁ、私の方からこの原稿の一部を読んで、ノイズカットなどの編集をして、デモサンプルを送ります。クオリティがOKだと貴社で判断したら、この話を進めましょう」


と言って、デモ音源を作成。
この時に・・・少しだけブレスノイズを残した状態で送りました。

とにかく長尺なので、いつも通り完璧にノイズを取っていたら、編集作業が膨大になりすぎる。
どうせBGM乗せるから、少しくらいノイズあってもいいよ、という案件もあるので、そうならいいな~・・・という願いと、

プロだったら、このブレスノイズ気づくよね?で、指摘してくるか・・・
あるいは、こんなクオリティなら任せられない!となったら、それでいいや~と思っていました。

「ありがとう。社内で検討します」という返信から半日ほど経って・・・

「OKよ!ありがとう!契約書と原稿をメールで送るわ!」という返信。


そして、契約書と、100ページの原稿が送られてきました。


英文契約書のPDFが添付されていて、署名欄に名前を書いて返信してね、というもの。

ああ、ちゃんとしてる会社なんだな、という印象を一瞬受けるのですが・・・

ポンコツでも、こっちだって経営者の端くれ・・・
このやり方は、何の法的拘束力もないことを、私は知っています・・・


そして、送られてきた原稿。



・・・いや、さっきのおかしい日本語原稿そのまんまやないかーーーい!


おかしな日本語なんだけど、絶妙におかしすぎなくて・・・
瞑想に関する内容なので、読み方によってはそれっぽく聞こえるし、なんとなく意味はつかめてしまうという原稿。

これは、何の原稿なんだろう?アウトプットは何になるんだろう?

頭に浮かんだのが、その昔、酒井法子さんが覚せい剤で逮捕された後の、
謝罪会見の映像(わ、わかる人いる?)

マスコミが編集しづらいように、一部だけ切り抜きしづらいように、一文を長くし、語尾をあいまいにし、つながっているようでつながっていない文章・・・わかるかな・・・

うーん・・・もしかして、宗教団体の教本かな?と思いながら見ていました。


しかし・・・雑。


雑なプロジェクトだなぁ・・・


これまで信頼関係のないナレーターに、いきなり100ページの原稿を送り、
これだけの長尺なのに、途中のマイルストーンもなく、
「完成したら連絡ちょうだい!」だけ

さらに、納品形態はMP3を指定。

なんでMP3?そのあと編集とかしないの?


100ページの原稿の中で、こんな風にファイルを分けてね、とか、
ナンバリングしてね、とかも無し。

いや、チェックする人たぶん日本語わからないでしょ?
どこからどこまでがこのファイル、っていうナンバリングがないと、
その後作業困るでしょ?
まさか3時間を1ファイルに?ウソでしょ?


とは言え、これまでもこんな感じの依頼はあったのです。
いきなり海外からメールがきて、半信半疑ながら収録した・・・という経験。

日本語がナチュラルじゃないから、修正したほうが良いと思うとこちらが伝えても、
いいからそのまま収録して、と言われること。

PDFの契約書に手書きでサインして送り返したこと。

でも、これまではそんな半信半疑の案件も、全て何事もなく振り込まれてきていたのです。

海外案件は「まぁ万が一逃げられてもいいや~。振り込まれたらラッキー♪」と半分くらい思いながらやってきたけど、
それは、数分以内の短い尺の案件ばかりだったから。


今回は、3時間。

3時間のナレーションを収録する・・・1発どりでいく!と決めても、下読みを考えたら丸1日かかる。

さらにその後の編集作業・・・絶対丸2日かかる。

その時間を捻出する余裕は、普通に考えたら、私にはない。
(オットは、えー!そんなにもらえるなら、家のことぜんぶ任せて~~!という反応)


このプロジェクトはなんだ?
何人のスタッフが関わっているんだ?
この作品は、どこへどうアウトプットされて、どこで利益回収されるんだ?
ナレーターに百万近くも払う予算があるのに、翻訳・校正代に回さないのは何故だ?

まぁでも、そこまでナレーターが考えることはない!
このまま読めば良くて、納品はMP3で良くて、チェックも甘そうだし、美味しい案件なのかもしれない・・・と思い


「この案件、やってみるわ!もし詐欺だったら笑って(笑)」と友人にLINEしかけ・・・


送信する前にふと指が止まりました。


自分で何気なく打った、「詐欺」というワード




そういえば、ずいぶん前に
「宅禄ナレーターをターゲットにした、海外案件の詐欺が頻発しています」
という投稿を見たことがあったようなないような・・・

そこからXやらFacebookやらいろいろ検索して、

出会ったのがこの記事

こいつやーーーーーー!!!!!

まんまこれやーーーーーん!!!


「ごめんなさい、検討した結果、あなたは信用できないという結論に達しました。さようなら」
とメッセージし、即ブロック!
メールも即ブロックしました。


本当にこの記事がなければ、録り始めていたと思います。
勇気をもって発信してくださったことに、感謝してもしきれません!


私は、ナレーターとしてはほぼ稼働していなくて、
ナレーターサイトの案件にエントリーとか、全くしてないです。
たまーーにこれまでのつながりからご依頼があれば、やるという感じの稼働です。

そんな私なので、この詐欺情報をつかむのが遅くなってしまいました。

バリバリやっているナレーターさんにとっては、「今更?」な詐欺案件だと思います。


海外案件は、けっこう雑だったり、謎な案件があるのは事実です。
でもこれまでほぼトラブルなく仕事をしてきたので、気が緩んでいました。


改めて、気を引き締めて仕事していこうと思った出来事でした。


どうか、次の被害者を生むことがありませんように・・・


株式会社ベクトルVOICE
加賀さらら








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