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超私的CMパンク記 2005年~2010年

CMパンクを初めて見たのは2005年、HEATでのバル・ビーナス戦だった。バル・ビーナスやロドニー・マックが地元レスラーとスカッシュマッチを見せる定番の内容で(面白くないのに癖になる)何気なく観ていたら、堂々と生意気そうな表情をカメラに向けたり、といつもの名もなきジョバーとは違う存在感を醸し出していたのと、変な名前なので記憶に残ったのを覚えている。この時、僕は高校2年生だった。

同年、斉藤文彦さんが季刊誌として作っていたアメリカーナ内に見開きでROHの紹介記事があった。「間もなくWWEと契約するCMパンク」と書かれているのを見て、妙な期待を感じた。この頃、WWEを見始めてからずっと1番好きだったクリス・ジェリコがその夏、退団の噂があったことで新たな“お気に入り”を探したい。青田買いをしたい。という気持ちもあった。

早速CMパンクの名前をネットで検索した。2005年とはいえ、今程米インディレスラーの情報が出回っていない時代でもあったがbigblueさんかフリーバーズさんのホームページにROHの DVDの通販を見つけた。

各大会のDVDには見出しや説明が付けられており、その文章が大変に魅力的だった。

CMパンクの特集DVDのページには確か「アナーキー・イン・ザ・USA」というキャッチコピーがあり、何がしっくり来たのかよくわからないが成る程。と腑に落ちた気がする。

更に検索してCMパンクのホームページも見つけることが出来た。そしてそこで見た1本のCMパンクのトリビュート動画がとてもとてもカッコ良かった...!youtubeに残っていた…涙

※今は素晴らしい出来のファントリビュート映像はyoutubeでも見れるけどこの頃はレスラー自身、もしくはスタッフで作っていたのだと思う。

HEATで観た1試合と1本のトリビュート映像で完全にCMパンクの虜になってしまった。もっとCMパンクを知りたい。観たい。という気持ちから2005年から2006年にかけてROHのDVDを何本か買って鑑賞した。

cmcm のコピー

正直、ROHが何たるかを知らない状態だったので1枚買って観てみてCMパンク以外でも気になるレスラーを見つけて、何となく対戦カードやジャケットで判断して買うというアバウトな方法ではあったけれどCMパンクと同時にROHという団体に衝撃を受けた。CMパンクはWWEで観るスーパースタータイプとは違ったストレートエッジというリアルなカルチャーに根差したキャラクターだったし、観客に対して「煙草が好きか?ビールが好きか?吸い続けろ、飲み続けろ。俺はお前らに早く死んでほしいんだ。」とか滅茶苦茶なマイクパフォーマンスをする姿にはとにかく痺れた。

※DVDを買う最大の動機としてはあくまでCMパンクがWWEでデビューする前に予習をしておきたい。という下心先行ではあった。

またこの時期、mixiでもまだCMパンクのコミュニティがなかったので自ら開設。勝手に「俺がCMパンクをWWE世界王者になるまでを見守る数少ない日本人ファンだ。」みたいな思春期らしい痛い気持ちでとにかくWWEでのデビューを期待していた気がする。

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そして、2006年初夏。WWEが買収したECWのリブート番組でCMパンクはデビューする。デビュー2週くらい前からバックステージでプロモをして期待感を煽ってからの旧ECWアリーナ収録回でデビュー。観客も恐らくROHからCMパンクを追ってきた層も沢山いて「CMパンクを観にチケットを買ったぞ!」みたいなサインボードも掲げられたりと今までのWWEデビューとはちょっと違う期待の外来種がとうとう来た!みたいな雰囲気をテレビで観て1人で「どんなもんだい!」みたいな心境になった。

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同年の秋頃にはWWEの4大大会サバイバーシリーズでDX率いるベビーフェイス混合チームにも参加。ショーンマイケルズやHHHよりも瞬間最大風速的な声援を貰い、期待の若手というポジションが盤石になった時には同級生のWWE好きに「だから言ったでしょ。」を連発していた。

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しかし、その後のCMパンクは圧倒的に退屈だった。ECW王座を奪取したり、RAWに移籍してIC王座を獲ったりと活躍はしていくものの、若手ベビーフェイスというポジションから刺々しいマイクもなく、TVの尺感に対応しにくいのか試合も精彩を欠いている印象で魅力が全く出ていなかったのだと思う。正直ROHのDVDで観たCMパンクとは別人だった。

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そんな印象とは裏腹にCMパンク自身はRAWで着実に勝ち星を重ねて2008年にはマネーインザバンクを行使して世界ヘビー級王座奪取まで漕ぎ着ける。が、強引な怪我設定で世界王座を返上。。コレは「器じゃない。」というWWE内での明らかな再配置だった。

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その後、2009年初夏2度目の世界ヘビー級王座を奪取に成功。この辺りからCMパンクは覚醒モードに突入する。毎週、ベビーフェイス風のプロモをしながらも少しずつイヤミっぽく観客に苦言を呈したり、約1か月半くらいの時間を使ってゆっくりとヒールになっていく自己プロデュースは、とても丁寧かつグラデーションとして完璧だった!コレこそWWEで観たかったCMパンクだった!

その勢いのまま人気者のジェフハーディをWWEから追放し、アンダーテイカーと世界王座戦を実現させるもアッサリ王座陥落。 

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しかし、むしろ身軽になったと言わんばかりにインディー時代の禁欲主義キャラクターをアップデートしてセリーナ、ギャローズを従えて禁欲主義社会というユニットを結成。

毎週のように酒、煙草、ドラッグの危険性を訴えながらシンパを増やすカルト教団の尊師のようなキャラクターに変貌。その一皮も二皮も剥けた姿は未だに忘れられない。

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とは言っても群雄割拠のWWE。やはり壁はまだまだ高かった。禁欲主義社会のユニットは仲違いで崩壊。自身も怪我から暫く実況席に座るようになり、再び中堅レスラーとしては盤石くらいの位置に収まってしまう。

試合に復帰したら世界王座をまた目指せるのかな?と不安になった2010年の年末、突如実況席にある自分のコーラを溢されたことに憤慨し試合中のジョンシナを襲撃。その抗争の流れから、その年WWEを席巻した無名の反逆若手集団NEXUSを取り込み、私設軍のようにリーダーに就任してしまう。

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試合復帰後はNEXUSを用いて暴れ回るも相変わらずのエゴイズムを発揮し、ユニットは空中分解。残ったメンバーも抗争したランディオートンによって全員パントキックで欠場に追い込まれる。僅か1年半で2つのユニットを使い捨て、WWE内ではヒールとして完全に確立されたキャラクターになったもののまたしても1人になったCMパンク。

僕自身もこの頃、大学を卒業。いよいよ社会に出る身に。WWEの中で踠いているCMパンクを見続けて気が付いたら約6年も経っていた。


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