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vdgg
暴風雨の夜に
雨の中歩き続けたせいで靴の中で足の皮が剥けてしまい、裸足でぺたぺた道路を歩き続けた。隣では妻がとぼとぼ歩いている。
周りにも土砂降りの中歩き続ける集団がいる。みな山の頂上から黙々と麓に向かって歩き続けている。時折、救急車が間を縫うようにして走り抜ける。
頂上では暴風雨が吹き荒れていた。その中で他の集団同様、妻と無言で座り続けていた。幸い事前に着用していた完全防水の雨がっぱをテントのように被り、しばらくはそれほど中へ雨水はしみ込んでこない。遠くからは色んな音声が無秩序に聞こえてくる。耳を傾ける余裕はほとんどなかった。
夕刻頃になると妻の雨がっぱのわずかな隙をついて雨水が侵入したのか、妻がガタガタと震えだしたので、背中から覆って暖を分け与えた。それどころじゃなくびしょぬれになった人たちは次々と倒れ、救急車が連れ去っていった。
夜になり、ようやく全てが終わると麓行きのバスがやってきて、人々を乗せようとするものの、夥しい群衆に囲まれ、とても乗れそうにない。その結果、歩いて麓までおりることにした。
途中のコンビニでカップ麺を買い、歩き続ける。5時間ぐらい経った頃か、ようやく予約していた宿にたどり着く。当然に夕食は終わっていた。宿の方からお湯をいただき、部屋でカップ麺を食べてなんとか人心地つき、泥のように眠った。
翌日は快晴だった。早々に帰宅することになった。当時、MINI MOKEという、小さな幌馬車のような車に乗っていた。高速道路では風圧で幌が吹き飛んだ。それでも晴天が心地よかった。
伝説の第一回FUJI ROCK。第二回以降は行っていない。