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ボストンマラソンとプロトレーナーと【後編】

昨日の『ボストンマラソンとプロトレーナーと【前編】』をご覧いただきありがとうございます。

今日の【後編】では、海外マラソンでのプロアスリートのコンディショニングの話や、ボストンマラソンで経験した事などを書きたいと思います。
この記事を読んで、
『海外マラソンに向けてトレーナーにサポートして欲しい!』
というランナーさんや、旅行代理店さんがおられましたら、気軽に相談ください。プロアマ問いません。
海外マラソン帯同の仕事を探しています。

感謝

まず初めに、サポートアスリートのプロランナー永尾薫氏、ボストンマラソンに選手派遣頂いた青梅マラソン関係者の皆様、アスリートサポート頂いた
(三田飲料)サンフィールド様
スタディス株式会社様2019年大会の関係者の皆様に感謝申し上げます。

海外レースに向けたコンディショニングについては、触りを前編で書きましたが、ここでは少しだけ深堀をしていこうと思います。

海外レースの体調管理について

移動による体調変化をコントロール
体調管理の重要ポイントは、むくみ対策と時差ボケ対策です。
長距離移動で、下肢や手先のむくみを経験されたことありますか?

『「むくみ」なんか数時間もすれば消えるでしょ』

なんて言う方もいると思いますが、実はこの「むくみ」はパフォーマンスを低下させる可能性があります。

「むくみ」の多くは、静脈やリンパ管の流れが停滞することで、水分や老廃物が体外へ排出ができず、皮下に滞留した状態です。
機内で身体を動かす機会が減って循環力が低下したり身体が冷えたり気圧が下がることで消化器系に負担がかかってむくみます。
女子アスリートの場合、月経(生理前はプロゲステロンの関係でむくみやすい)によってむくみも出るので、広い視野で体調管理をしていきます。
このむくみが早期に対処できないと、筋収縮に影響が及びます。
特に下肢のむくみには、ヒラメ筋という遅筋繊維の割合が多い筋肉が関与します。
マラソンランナーにとって重要な遅筋繊維。
しっかり活性化させる事がパフォーマンス向上には不可欠なのです。
まずはむくまないように予防しましょう。

具体的にどんな対策をしているかというと、
搭乗前は、
①(足関節・股関節・肩関節・体側を中心に)ストレッチで身体をほぐす。

②ウォーターローディング
適度に水分摂取し、排泄を滞らないように注意します。
ウォーターローディングは、日頃の生活から取り組みます。

③着圧ソックスまたはカーフスリーブを着用
ふくらはぎのむくみ対策と、機内が冷えることを想定して着圧ソックスはおススメです。

機内では、
①定期的に身体を動かす
ふくらはぎの運動(カーフレイズ)や股関節・肩関節・腹部の運動ができたら良いですね。

②トイレに行く
トイレは我慢しない。水分を摂取し、体内循環を上げます。

③食事はよく噛んで消化しやすく
消化器系への負担を考え、食事時の姿勢や咀嚼を気を付けます。

④身体を冷やさない
機内を冷やして睡眠を誘発する時間があります。
ブランケットだけでなく、身体を冷やさないようにソックスやウェアを活用しましょう。
特に女性は、腹巻の活用もおススメ。

到着後は、
①できるだけ身体を動かす
こわばった身体を早期に開放しましょう。

②深呼吸とリフレッシュする
自律神経の働きを整えることで、時差疲労対策にもつながります。

③体内時計を合わせる
時差ボケを軽減させることは、レースコンディショニングで最重要ポイントの1つです。
現地時間に合わせて生活リズムを同調させる工夫も有効と考えています。
ただ、あまり考えすぎると時差ぼけを誘発するので、難しく考えずに、現地に着いたら現地時間に合わせて生活することがおススメです。
日中に到着した場合は、軽めのジョグで身体を起こしましょう。

トレーナーがサポートする場合は、到着後に軽めのジョグをし、夕飯前に血行やリンパ循環を促進させるケアを行います。
2019年大会に帯同したときは、夜の到着だったので、夕飯後にコンディショニングを行いました。

現地でのコンディショニングは

プロアスリートの海外レース帯同の場合は、レース数日前から現地入りします。調整練習とコンディショニングを重ねていきます。
コンディショニングも、筋肉を緩めるだけではなく、筋出力を確保できるよう、トレーニングも行うのが【レースコンディショニング】です。
緩め過ぎると筋肉の出力が落ちて、パフォーマンスが下がります。
この微妙な調整が私の最大の仕事です。

レース当日のトレーナーは何する

レース当日の朝は、選手を元気に送り出します。
そして、ベストパフォーマンスを願う!
(交通事情含め)トレーナーがスタートエリアに同行できる大会と、できない大会があります。
ボストンマラソンは、同行できる人数が決まっていたので、トレーナーは応援ポイントに移動し、選手の通過を待ちます。
精一杯応援します。
ゴール後は、リカバリーを主としたコンディショニングを行います。
プロアスリートの場合、メンタルリカバリーがメインと言っても過言ではありません。
戦うアスリートはメンタルを消耗します。
緊張、不安、興奮、、、様々な心的負荷がかかります。
レース中の駆け引きはじめ、肉体だけでなく脳の疲労も。
肉体も含め、ダメージを早期に回復し、次のレースに向けて体調を整えていきます。
市民ランナーのリカバリーは、筋肉痛軽減がメインになりますね。
翌日、筋肉痛で観光できないということがないように。
これがレース当日のトレーナーの活動です。

AbbottWMMシリーズは大会前も楽しい

ボストンマラソンは、大会2日前に5kmのショートレースが開催されます。
たくさんのランナーが参加する5kmレース。
これもボストンマラソンの楽しみの1つだと思います。

2019年大会2日前に開催されたB.A.A.5kmレース

街も『ボストンマラソンはじまるぞーーー!』という雰囲気に包まれていきます。日を追うごとに熱量が増していく感覚。街中で大会を盛り上げます。
レースに参加するランナーにとっては、日に日に気分が上がっていくので、最高に楽しいと思います。
あそこにいると、私も『レースに出たい!』と強く思いますもんね。
こういう雰囲気の国内レースはあまりないですね。
国内最大の東京マラソンでも、ここまでの雰囲気はまだ作れていないと思います。言わばお祭り騒ぎです。レースは育てるものだと実感します。
これも海外マラソンの醍醐味です。
マラソンを楽しんでいる方で、海外レースをお考えの方は、AbbottWMMシリーズはおススメです。

ボストンの街(2019年ボストンマラソン帯同)
建物に映る建物(2019年ボストンマラソン帯同)

今日もご清聴ありがとうございました。

#私の遠征話

コンディショニングトレーナー
前波卓也

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