デバフとカースド
はじめに
ただのカラオケ好きが打ち込みに至るまでを自己紹介代わりに提示させて頂く。最後にまとめを書くし、読み手にとってはどうでもいい部分なので、読み飛ばしてくれて構わない。
1987年春、中二の春、クローン病という終身デバフを得る。
趣味は絵を描く事だった。
デザイン方面に進んだ。
しかし絵は大して上手くなく毎度四苦八苦、夜通しも多かった。
当然、身体にはしこたま悪かった。
1999、同人誌なんかを作ったり描いたりしていたが、自分に課した締切を守れなかった事を機に絵を描く事を辞めた。
2002年以降、XBOXにハマった。
FPSというジャンルが 和ゲー、RPG全盛の中で輝いて見えた。
ただ、やればやったで馬鹿みたいにのめり込んで身体を持ち崩すし、3ヶ月くらい外界と音信不通になってしまったり。
今にして、絵を描くにしてもゲームにしても自分の身体にあった『出力』が分かんなかったんだなと振り返る。
2007年、何度も入退院を繰り返しではあったが、前向きではあった。
アニメ見て、その時々のアニソン歌う事が好きだった。
なので、アニソングランプリなんてものに軽はずみに応募したり、カラオケのコミュニティを拡大させる事に血道を上げてみたり。
対人関係では最も充実して時期を過ごせた。
徹夜でカラオケするようなバカを相変わらずやらかすのだが。
孤独に朝を迎える原稿描きやゲームとは違って満足感は確かにあった。
私の趣味はカラオケと表記するようになった。
どうやら私はカラオケなどの形のないものを『出力』するのが身体に良さそうだ、という自己認識がなされていった時期でもあった。
2017年までに、やはり入退院もあったが程よい出力を得て徐々に安定し、歳を経て症状も落ち着いたため、割と貯金が溜まった。
入退院で疎かになった歯の手入れで、欠けた前歯と抜けた上顎二歯を復旧しようと思い立った。インプラントが妥当とされた。
予定では1年以上かかると言われた。
対面で喋る仕事は継続が難しいかったのと、拾ってくれた義理を返す相手が既に店舗からいなくなってたので併せて会社も辞めた。
2018、3月
ようやく上顎ニ歯の基礎を埋め終えた頃
上咽頭がんを宣告され、歌という唯一出力が絶たれた。
これでカースド追加、なろう系の主人公っぽい突飛な設定になってタイトル回収。
2019、治療中も治療後もただただ苦しかった。痛覚と味覚が出鱈目。思い出したくもない。
2020、少しずつ唾液腺やその他の部位も回復を見せるが、声帯付近の筋肉が癒着したようなひきつれがあって、以前のように持ち上げられない。ゲーム、お絵描き、声出しなどやれる範囲で試すがしっくりこない。
というか『出力している気がしない』。
ポリゴンの隙間から永遠に落ちていくような気分で、生きていける気がしなかった。
20年春先、discordのグループに誘われて、配信のためのアプリケーションやその他ツールの習熟に追われつつ、そういう事に没頭でもしていないと平静が保てないとも思っていた。
彼らに誘われなかったら今頃もまだバグにハマっていただろう。
20年夏ごろ、nanaというアプリで遊んでいた。細い声の限りを編集でモリモリに盛ってなんとかしようみたいな産廃製造マンだった。
そんなある日
電話で友人がふと
『──さんは、打ち込みしないんですか?』
みたいな話になった。
私はできない理由をあげつらい目一杯言い訳した。
その友人はここ最近、貧弱な環境ながら nanaに打ち込みのカラオケ音源をあげていた。
私は、19年までにはiPhone・iPadを持ち、音源アプリも入手しており、環境的には彼より何倍も恵まれているはずだった。
そんな彼は情熱オンリーで音源仕上げている。
これがなんとも喉に刺さった小骨のようで。
悔しいとも情けないとも言い表しがたい苛立たしさをどう呼べばいいだろうか。
いずれにせよその一言をきっかけに
「お前が努力をしないのはおかしい!」
っていう気分が醸成されるにはそう時間は掛からなかった。
やってみると、意外とサクサク進行できた。
道具は揃ってるんだからむしろ出来なきゃおかしい。
2曲分ほど作った頃合い、時間にして3、4週使ってnanaにアップする頃。
何故か、すごく体調が良くなっていた。
そりゃそうだ。
ゲームもしない、アニメも見ないから夜更かししない。
作り始めると、気になってついつい作業をしてしまう。
そうして、22時ごろには睡魔にキャッチされ、起きて朝飯食べる時間までまた打ち込み聴き込み──
というようなサイクルが出来上がっているのだった。
なんだろうか、この充実感。
スキルとジョブが合致してボーナス付いてんのかな?
自分のハモを聴く能であるとか、機材やアプリの知識、そういったものへの興味であるとか。その他色んなものが噛み合って循環してる気がした。
始めたばかりでなにもかも分からないし足りてないことばかりだけど、今は歌えなくても大丈夫なんじゃないかな?と錯覚できるくらいに「出力感」を得られた。
そんな経緯で打ち込みを始めた次第です。
コロナも落ち着いてきて、これは脱☆無職の契機では!?
そんな再出発の機運高まるが
2020年10月2日
クローン狭窄部の亜イレウスで入院となり、再入院中(1年ぶり)
2021年4月1日-6日
狭窄部の拡張施術の為入院、今後また施術の可能性大。
コロナの第四波という中、まともな社会復帰の道はまだ遠い模様。
そんな流れで今に至る私です。
-まとめ-
特定疾患とがんのコラボレーション。
無職。
産廃製造マン。
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