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システムコーチング_B社事例
<実施概要>
・1回(1日/3時間)のセッションを実施
・担当コーチ:西中孝幸・岡田 裕介
【企業概要】
事業内容:HR領域
創業:10年以上
組織規模:約20名
【インタビュー対象】
B社代表取締役および取締役、計2名
(文中では2名の発言を統合して表記)
ーシステムコーチングを受けようと思われた理由や経緯について教えて下さい。
HR領域の仕事をしていると、関係性がテーマになることはよくあります。例えば、退職が多いという課題を抱えた企業に対し、個人に目を向けるアプローチを取る場合、退職者の傾向を分析した上で、その条件に当てはまる人の採用を控えるというケースをよく耳にします。しかし、当社ではそういった課題は元々、組織の状態が個人にしわ寄せされた結果だと考えながら、改善に向けたアプローチを提案してきました。
そういった背景から、私たちは以前から仕事における関係性の問題を扱ってきましたし、関心も強く寄せていました。実際に、組織の状況と因果関係を図で書いて分析するという手法を業務で使うこともよくあります。
お話を伺ったときに、「関係性の問題を扱う」という文脈をコーチング領域でもやっておられるのが、システムコーチングなのではないかと感じました。ぜひ体験してみたいと思い、一も二もなく申し込んだ次第です。
ーシステムコーチングを受ける前(2023年)、自社の組織に対してどのような課題感をお持ちだったか教えて下さい。
7年ほど前に社内の採用戦略を見直し、新卒採用を始めました。新卒や第二新卒の若いメンバーを未経験から育てていく方針に変え、時間をかけてチームを強化してきた結果、いい感じに組織が育ってきました。
人材育成についても、組織そのものの受け皿が広くなり、個々が求めるキャリアに合わせた育成プランが確立できている状態です。そういう意味では、システムコーチングで明確に解決したい組織課題は特にありませんでした。
ただ、2020年からコロナ禍に突入し、社内にリモートワークという新しい働き方を導入したことで、全員が顔を合わす機会が減りました。特にこれから入ってくる新たなメンバーに対しては、働き方がリモート主体になったからこそ、従来と同じやり方で人材育成が上手くいくかわからないと感じていました。
あとは、会社として目指す数年先のゴールがあり、そこに向かって皆で進んでいきたいものの、入社して日が浅いメンバーにどう話していけばいいのか、探り探りやっていたところはあります。経営層と若手メンバー達との間に対話が足りなかったというか、未経験で入ってきたばかりの人達に対する遠慮めいたものはあったかもしれません。
せっかく若手が上手く育ってた流れをここで鈍化させたくない。これから採用をもっと増やしていく中で、より良い組織を作っていきたい。システムコーチングを受けた時点では、そんな漠然とした課題感をどう扱っていいか分からないという状態だったように思います。
ー3時間のシステムコーチングを受けてみて、率直なご感想を教えてください。
システムコーチングの場を作ってもらったことで、社内のコミュニケーションが自然発生的に活性化して、相互理解が深まったのは間違いないと思います。今回は全体の約7割の社員が参加してくれたのですが、残りのメンバーも受けてみてもらいたかったと思います。3時間だと味わいきれなかったですし、自分たちでシステムコーチングの技法を取得できたら、新たな武器になるようにも思いました。
セッションを通じて気づいたのが、入社してまだ日が浅いメンバーも皆、会社のこれからに期待感を持ってくれているし、未来志向の話をしたがってるということでした。皆がテーマに対して前向きに向き合ってくれている姿勢が純粋にうれしかったですし、安心しました。
特に社歴が浅いメンバーはどれだけ組織にコミットしてくれているかが読みにくく、会社全体のビジョンや採用といった話にどれだけ関わってもらったらいいのか、これまで判断つきかねていた部分がありました。まずは会社に馴染み、個としてある程度成長してから、そういった職域外の話を持ちかけたほうがよいのではないかという思いがあったからです。しかし、セッションを通じて、一人ひとりのスキルや経験、年次に関係なく、もっと皆を積極的に巻き込んでもいいのかもしれないと考えるようになりました。
社員からも好評で、3時間のセッションが終わった後、残って続きをやりたい、という声も何人かから聞きました。自分との対話にもなったという意見もありましたし、皆にとって、いい意味で刺激になったと思います。
ーシステムコーチングを受けたあと、組織内で「二度の変化」が感じられた場面などがあれば教えて下さい。(セッション受講後1ヶ月経過)
1ヶ月経った変化としては、新しいメンバーが入社してくる時に、自分から話しかけに行くなど、対応の積極性が増したように思います。あとは、組織市民行動(本業ではないけれど会社のためになるボランタリーな活動)を自発的に行う人が増えたように感じています。
たとえば玄関に設置している消毒液が切れた時に交換するとか、チカチカしている電球を取り替えるとか、そういった「誰かがやってくれるだろう」と見過ごしがちなことをそのままにせず、率先して動いてくれる姿を以前より見かけるようになりました。
また、24卒の採用プロジェクトの担当を任命した際にも、ちょっとした違いを感じられました。プロジェクトメンバー5名中、4名がシステムコーチングを受けた人だったのですが、全員がプロジェクトへの参画を二つ返事で快諾してくれたのです。
セッション中に「自分にできることはやりたい」と言っていたメンバーばかりだったので、彼らを上手く巻き込めてよかったと思いました。あとは、新しいメンバーが入ってくるときに、自分から話しかけにいくなど、積極的に動いてくれる人が増えたように感じます。
ーシステムコーチングをオススメするとしたら、どんな企業に向いていると思いますか。
基本的には、どんな会社でもシステムコーチングを試してみるといいのではないかと思います。たとえば中途採用の人が多い会社であれば、お互いがプロとして自立しつつも、どこか遠慮があって、互いに距離感を探りながら組織を運営しているということもあるでしょう。そういった課題感のある会社であれば、特におすすめできると感じました。
後は、社内の対話が「できている」と思っている企業ほど、システムコーチングをやってみると気づきが多く得られるかも知れません。たとえば、横同士は対話できていても、上下のコミュニケーションが不足しているというケースはよくあります。そもそもリモートワークで、対話自体が不足している場合は言うまでもありません。
完全に対話ができている組織なんて基本ありませんから、一度体験してみて損はないと思います。
ー今回、受講されたご感想やその後の経過を伺えてとても嬉しく思います。またいつでもお声がけください。
【岡田コーチプロフィール】
株式会社パーソルキャリアに入社後、転職支援・採用コンサルティングに従事。独立後は、認定プロフェッショナルコーチとして、スタートアップ企業の経営者・CxO・マネジメントクラスを中心にエグゼクティブコーチングを提供。その他、自治体と提携したローカルベンチャー支援事業に従事。THE COACH創業期に参画し、主にコーチング理論の確立やカリキュラムの研究開発を管掌、THE COACH ICP™︎の開発、代表取締役を歴任。現在は、コーチングやセルフリーダーシップの支援に従事。一般社団法人文化資本研究所 理事、国際コーチング連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)。
【西中コーチプロフィール】
新卒でジャフコグループに入社。VC投資、ファンドレイズ、M&A、投資先支援といった幅広い業務を経験。シード・アーリーステージの投資先を中心に、30社以上の投資先支援に関与。主に営業、事業開発、業務提携支援、採用支援を通じて投資先に貢献。2008年からスタートアップと大企業とのビジネスマッチングに従事し、日本におけるオープンイノベーションの創出に携わる。投資先の採用支援においては、これまでにエグゼクティブクラスを中心に500名以上と面談を実施。投資先のコアメンバー採用において多数の採用支援実績あり。
2023年からシステムコーチングの手法を用いて、成長フェーズのスタートアップを中心に組織創りの支援に従事。CRR Global認定 Organization & Relationship System Certified Coach。