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VC Fund Controller Networkで「公正価値評価の概要と導入のポイント」勉強会を開催しました!

こんにちは、VC Fund Controller Network発起人の伊藤です。
2024年10月3日に開催した、公正価値評価についての勉強会の概要をお届けいたします!

VC Fund Controller Networkの入会面談で、多くの方がお悩みとして挙げられる「公正価値評価」。
金融庁・経産省主催の「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議(参照)」から出されたベンチャーキャピタルにおいて 推奨・期待される事項 においても、公正価値評価が推奨されているなど、最近非常に注目度が高いトピックスとなっています。

当Networkはファンドアドミ業務に携わる人たちがナレッジシェアを通じてより高いスキルを身に付ける場になることをミッションとして掲げている中、悩みの種になりがちな「公正価値評価」に関するテーマはどうしても取り扱いたいコンテンツでした。

本イベントはオフレコ開催のため、記事内では概要のみのご紹介となります。


VC Fund Controller Networkとは

VC Fund Controller Networkは、VCやCVCのファンド管理担当者向けのコミュニティです。VC/CVCのファンド管理実務を底上げしていきたいという思いのもと、不定期で勉強会などのコミュニケーションイベントを開催しています。

詳しくはこちらのnoteをご覧ください!

また、過去の勉強会レポートも以下からご確認いただけます。

概要紹介

ファンド管理業務はその専門性の高さや従事する方の少なさから、教科書的なテキストもなく、キャッチアップの手法も業界全体で体系化されないまま今日に至っております。

今回の勉強会は公正価値評価の概要と導入のポイント勉強会と題して、公正価値評価の動向と概要・マルチプル法による公正価値評価・導入のポイントを学びました。

講師として、EY新日本有限責任監査法人の川口氏と内田氏をお呼びし、ファンド管理業務に携わる方に向けた勉強会を行いました。

<講師>
川口 琢磨 氏
EY新日本有限責任監査法人
金融事業部 パートナー

​経歴
・監査法人入所後、メガバンク、大手証券会社等の金融機関を中心とした監査業務、アドバイザリー業務に関与
・FSO FAAS(金融機関向け財務会計アドバイザリーチーム)リーダー
・VCファンド、PEファンド(バイアウトファンドを含む)、メザニンファンド、オルタナティブ投資会社のセットアップ支援(日本基準、IFRS、米国会計基準)等のアドバイザリーの業務に関与
・会計税務、内部統制評価支援業務に数多く従事するほか、業務効率化、システム導入支援などのPI、ITアドバイザリーにも関与

内田 則一 氏
EY新日本有限責任監査法人
金融事業部 マネージャー

経歴
・東証上場会社経理財務部門等を経て、2016年にEY新日本有限責任監査法人に入所。主として、国内外の金融機関、ファンドの会計監査に従事する一方、財務会計、非上場株式公正価値評価等のアドバイザリー業務にも従事。
・2018年から2021年まで政府系金融機関に出向し、銀行・ファンド決算業務、会計処理相談等に従事
・「VCファンド・VC投資の会計・評価実務Q&A」(中央経済社)公正価値評価の章及びIPEV翻訳を担当

<ファシリテーター>
ジェネシア・ベンチャーズ 伊藤 実希(VC Fund Controller Network運営メンバー)

アジェンダ紹介

講義は、以下のようなアジェンダで進みました。

  1. 公正価値評価の動向

    1. 公正価値評価導入について行われてきた議論の総括

    2. IPEVガイドラインとは

  2. 公正価値評価の概要

    1. 公正価値評価を行う際のフロー

    2. 投資価格についての考え方

    3. シード~アーリーステージの評価

  3. マルチプル法による公正価値評価

    1. マルチプル法とは

    2. どのようにコンプスを選定するのか

    3. コンプス選定から株式価値計算までのフロー

    4. 計算結果の調整やバックテストについて

    5. アロケーションとは

  4. 公正価値評価導入のポイント

    1. 公正価値評価を導入する際に投資家向けに注意すべきポイント

    2. ガバナンス体制のポイント

    3. 導入に向けて準備が必要な事項

その後、Q&Aとパネルディスカッションを行いました。

勉強会の様子

SOILでの勉強会の様子

渋谷駅から徒歩1分のところにある SOILをお借りしました。今回初めてハイブリッド開催をしたのですが、オフラインで約60名、オンラインで約40名の計100名程度が集まる過去最大の大規模な勉強会となりました!

日本ではまだメジャーとは言えない「公正価値評価」について学びたい!という視座の高いメンバーがこれだけ集まったことに感激するとともに、質疑応答やパネルディスカッションでは熱い議論が繰り広げられ、コミュニティとしても追求し続けるべきテーマであることを強く認識しました。

質疑応答、川口氏・内田氏メッセージ

講義後には質疑応答の時間があり、「小規模ファンドでも公正価値評価を導入すべきか」といったマクロ的な質問から「シード・アーリー期のスタートアップに対する評価軸をどのように考えるのか」「マルチプル評価におけるコンプス企業の選定基準は何か」といった実務に沿った質問まで飛び交い、非常に盛り上がりました。

勉強会に参加いただいたみなさま

パネルディスカッション概要ご紹介

Q&A後にパネルディスカッションを行い、実際に公正価値評価を取り入れる中で感じている難しさや、よく質問として挙がるポイントについてお伺いしました。

(パネルディスカッションより一部抜粋)

  • シードファンドで公正価値評価を導入する際に注意すべきポイント

  • 公正価値評価を導入する場合に要する検討期間

  • アドバイザリー業務のスケジュール感と依頼するタイミング

  • システムやツールを使った運用方法

  • おおよその費用感

  • 監査中によく出てくる論点

懇親会

懇親会では、全体の場では聞きにくかった個別具体的なお悩みを相談される方や、より詳細な議論を交わされる方などもいらっしゃり、参加者同士のつながりや公正価値評価への理解を深める機会となりました。

今回の懇親会に限らず、普段の勉強会の際にもよくいただく意見で、「同じ職種の人ばかりだから安心して話しかけられるし、日常業務で感じる課題についても共感できることが多く嬉しかった」というものがあります。
ミドルバックの横のつながりを作る機会がなかなかない中で、仲間と悩みを共有する場を求めている方が多いのだなと感じます。

SOILで行われた懇親会の様子

参加者の声

当日ご参加いただいたメンバーからいただいたコメントを一部ご紹介します!

全体像をざっと把握するのに適切な内容であった。質疑応答パートも各VCの状況を踏まえながらで非常に参考になった。

講演内容について。公正価値評価の基礎知識から業界の最新状況まで網羅的にまとめられた資料を元に、内容を分かりやすく理解することができた。当社がやらなくてはいけないこと/考えなくてはいけないことが改めて把握できた。

監査法人によって作成された資料があり、評価方法の種類が網羅されており、今後我々のファンドで選択すべき評価方法を議論する材料として有益と感じた。

いわゆる会計的な(教科書的な)部分と、それ以外の実務的な部分の両面がコンテンツとしてあり、よりリアルな意見を聞くことができたため非常に良かったです。

質疑応答では皆さんがどのような悩みを抱えているのか理解することで、当社はどうかを考えるきっかけができた。

他の参加者のファンドでの状況などを聞けて良かったです。

これまでお会いしたことのない様々な方と会えて、たくさんの仲間が出来た気がします。

有志の勉強会にもかかわらず、実務家にとって非常に役立つ内容でした。

コミュニティへのご参加方法ご案内

VC Fund Controller Networkはこれからも今回のようなイベントを定期的に開催していきます!

VCやCVCでファンド管理を行っている新メンバーも鋭意募集中ですので、ぜひこちらのGoogleフォームからご連絡ください。


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