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VC Fund Controller NetworkでLP向けの開示をテーマに勉強会を開催しました!

こんにちは、VC Fund Controller Network運営チームの田中です。
2023年11月2日に開催した、LP(Limited Partner)とベンチャーキャピタル(VC)・CVCファンドの連携の深化をテーマにした勉強会のイベントレポートをお届けいたします!


VC Fund Controller Networkとは

VC Fund Controller Networkとは、VCやCVCのファンド管理担当者向けのコミュニティです。VC/CVCのファンド管理実務を底上げしていきたいという思いのもと、不定期で勉強会などのコミュニケーションイベントを開催しています。
詳しくは運営メンバーのジェネシア・ベンチャーズ吉田実希さんのnoteをご覧ください!

概要紹介

今回のテーマは「LP出資時、そして出資後に評価するポイント」です。
サブテーマが「連携深化につながる開示と対話」ということで、LP出資者の方々もゲストスピーカーとしてお招きし、VCやCVCにてファンド管理実務にあたるネットワークメンバーにとって、気になるポイントなどをお話いただきました。

<ファシリテーター>

ジェネシア・ベンチャーズ 吉田 実希 氏(VC Fund Controller Network運営メンバー)

<ゲストスピーカー>

澤村 浩之 様|三井住友信託銀行 イノベーション企業推進部所属
2010年に政府系金融機関に入社し、2019年からスタートアップ施策に携わる。2023年から三井住友信託銀行のイノベーション企業推進部にて、企画・業務推進・VCへのLP出資等を担当。

鈴木 良枝 様|産業革新投資機構 ファンド管理室所属
ファンド管理室にてミドルバック業務を統括。新卒で東京海上日動に入社し、財務部門などを経験して2008年から東京海上アセットマネジメントにてプライベートエクイティ投資のミドルバック業務を統括。以降、機関投資家のゲートキーパーやアドバイザリー業務におけるミドルバック業務統括に従事。

<会場>

株式会社ヴィス The Place Shibuya
同社は、変わっていく働き方に対し、オフィス起点ではなく、働き方をデザインするというアプローチでワークスペースをアップデートしている企業です。

三井住友信託銀行について

国内唯一の専業信託銀行グループとしてのポジションを生かし、有望なスタートアップ企業との接点拡大やオープンイノベーション推進、スタートアップ企業への支援強化を目的として、国内のVCに対して出資を行っている。

産業革新投資機構(JIC:Japan Investment Corporation) について

オープンイノベーションを通じた産業競争力の強化と、民間投資の拡大という政策目的の実現に寄与するべく発足。傘下のファンドや民間ファンドへの投資を通じて、政策的に意義のある事業分野、民間資金が不足している分野へのリスクマネーを供給している。

デュー・デリジェンスの際に見るポイントについて

(吉田)デュー・デリジェンス(以下、DD)の際、LPとして見ているポイントや、VCの間で大きく差がつくポイントについて教えてください。

(澤村)VCの投資方針、投資先支援方法、各種ノウハウ等がLP側の戦略にマッチしているかどうかを重視しています。また、銀行としては成長した投資先が将来的に顧客になり得るか、という視点も持っています。
更に付け加えると、GPと、円滑にコミュニケーションができるかどうかもポイントですね。

(鈴木)機関投資家と事業提携目的の投資家では、投資の目的が異なります。JICとしては、国内外の機関投資家が国内VC・スタートアップへの投資額を増やし、中長期的な成長のためのリスクマネーを確保するために、将来的に機関投資家の資金が受託できるよう、国内VCの成長を支援しております。

機関投資家の投資目的で、まず大事なのはリターンです。また、ミドルバックの体制やコンプライアンス、内部統制、ITツールなどを含めた業務遂行体制なども重要になってきます。

機関投資家から資金を受託するためには、最終的には、フロントから独立したミドルバック体制が構築され、コンプライアンス体制・内部統制が適切に整備されており、オペレーション業務全般について高いレベルで運営がなされている、という状態を目指していただきたいですね。

出所:産業革新投資機構「2022年度の事業活動と今後の方向性について」

成長途中のファンドが優先的に対応すべきことについて

(吉田)人数が少なく、成長途中のファンドでは、お二人から挙げていただいた基準全てを満たすことは難しい面もある、というのが現実的な状況かとは思いますが、優先度をつけるとするとどうなりそうでしょうか。

(鈴木)ファンドのフェーズや人員の状況に応じて変わるため、一律に言えるものではありませんが、最も重要なことは、経営トップの方がオペレーションの重要度を認識していることだと思います。
例えば、経験者を連れてきて丸投げするのではなく、経営トップの方自ら、積極的にミスの起こらない体制を整備するなど、コミットする姿勢を持っていることですね。

(吉田)なるほど。戦略部分以外ですと、ミドルバック体制はどうブラッシュアップしていくのがよいでしょう。

(澤村)必要最低限の部分の整備、というのは、やはり必要になるかなと思います。弊社のように銀行として守らなければならない特有のルールを求める場合もありますが、どんなパターンであっても、まずは、LPと密にコミュニケーションいただくことが大事かと思います。

銀行としては、弊社も含めスタートアップ・エコシステムに貢献できる施策を打ち出していきたいという狙いもありますので、定期的なレポーティングに留まらず、何がスタートアップのためになるかという相互フィードバックや意見交換が忌憚なく出来る間柄として、出資後の関係構築に取り組んでいただけると嬉しいです。

ミスに対する対応を整備して、ピンチを挽回のチャンスに

(吉田)初号ファンドへの投資経験が豊富な鈴木さんにお伺いしたいのですが、特有のありがちなミスや落とし穴などはあるのでしょうか。

(鈴木)色々びっくりするようなことにも遭遇したことはありますが(笑)、根本的にはミスが起きない体制作り、その上でミスが起きた場合は再発防止策を講じていただく、ということは頭においていただければと。

ありがちな事例で言いますと、初期は人が少ないからか、意外とダブルチェックをしていないことで凡ミスが起こる、ということが散見されるようです。

ミスを最初から完全に回避することは不可能で、精神論や根性論ではなくせませんので、仕組みや環境づくりが大事だと思います。また、ミスに対してマイナス評価をしていくというよりは、ミスが起きた場合に

①すぐに調査して影響を把握
②投資家に報告、場合によっては謝罪
③経緯や要因をまとめて再発防止策を立てる

というプロセスを速やかに実行できることのほうが重要です。ピンチの時は焦ってしまうかもしれませんが、ぜひ挽回のチャンスだと思って対応いただけたらと。

(吉田)どのファンドでも、謝罪せざるを得ない場面は発生することがあるかと思います。この時、時勢的にはアフター・ウィズコロナ時代ということで、オンラインでの謝罪でも問題ないのか、対面でお伺いすべきか、というお作法や温度感で悩むこともありそうですが、いかが思われますか。もちろん、重大なものであれば対面で伺うべきだとは思いますが。

(鈴木)問題の重大さ次第ではありますが、スピード感を重視すべき場面であればオンラインやメールでまず報告して謝罪するなど、状況に応じて手段を使い分けていただけたらと思います。対面以外は一律認めない、というスタンスではありませんので、ご安心ください。

リターンの観点で1点だけ補足を。国内VCは、10‐20%とまとめてキャピタルコールをかけることが多いと思いますが、海外のファンドではIRRを考慮して、かなり刻んでキャピタルコールをかけてきますので、ご参考までに共有させていただきます。

Q&Aセッション〜懇親会

Q&A①GPのレポーティングがLPの出資に与える影響

パネルディスカッション後は、会場参加者の皆様とのQ&Aセッションを行いました。

(会場)LP出資後のGPとLPのリレーションについてお伺いします。半期・四半期で上がってきたデータを、LP側では、どのようにパフォーマンスを分析し、検討されておりますか。そしてそれが後続の出資にどういった影響があるかご教示いただけると助かります。

(澤村)当然、パフォーマンスは見ておりますが、すぐに数字に直結しない世界でもあるということも承知しており、足元のパフォーマンスだけでなく、将来的な着地想定も含めてお聞きするようにしています。それ以外では、自分たちのLP出資当初に思い描いていた戦略に沿う投資ができているかどうか、という観点は重要視しています。当然ファンド運営する中で多少の戦略変更はあり得ると思いますが、投資先や投資方法がイメージと異なってきたと感じた場合は、経緯や方針などを確認するようにしています。

(鈴木)四半期の報告をモニタリングしており、資料に加えていくつかデータをいただいて、パフォーマンスや投資先企業レベルまで確認しております。それらを踏まえて、CIO・フロント・ミドルバックで3時間×2回ほどかけて投資先ファンドの状況を確認し、モニタリングしています。年に一回は、投資先ファンドに評価についてもフィードバックしていますね。

(会場)実際、VCへは、どのようなフィードバックを行っているのでしょうか。

(鈴木)ミドルバックとしては、ミスが多かったファンドに対しては、率直にミスが多い旨をお伝えし、管理体制を見直してもらったことがあります。ミスが多いといっても、財務諸表の内容を間違えていたり、メールの誤送信が続いたりした場合など、あくまで企業レベルで問題があると感じた時にお伝えしています。

Q&A②ファンド監査のベスト・プラクティス

(会場)初号ファンドの管理体制に関して、どこの監査法人が監査していれば安心か、という基準はあるのでしょうか。

(鈴木)国内で言えば、やはりビッグ4ということになるかもしれませんが、正直、国内の監査法人はリソースが逼迫しているというのが実情ですよね。
日本は監査法人だけでなく、海外のベストプラクティスと比較して、エコシステムレベルでの体制をブラッシュアップしていく必要があると感じています。

懇親会

閉会後はその場で懇親会を行い、希望者は近くの会場に移動して飲み会で交流を深めました。オフラインだからこそ聞けるような質問もあり、大変盛り上がりました!

たくさんのメンバーにご参加いただきました!

コミュニティへのご参加方法

VC Fund Controller Networkはこれからも今回のようなイベントを企画予定です!
VCやCVCでファンド管理を行っている新メンバーも鋭意募集中ですので、ぜひこちらのGoogleフォームからご連絡ください。

スタートアップサーベイへのご協力のお願い

三井住友信託銀行では、12月より国内スタートアップ企業を対象とした「スタートアップサーベイ2024」を実施致します(前回実施分はこちらをご参照下さい)。
本サーベイへご関心を持って頂いたスタートアップ支援機関様には、個別に実施詳細や前回集計結果などをご説明させて頂きますので、三井住友信託銀行のスタートアップサーベイ窓口(アドレス:G.HONTEN.HOURUSEIRUKIKAKU.47987@smtb.jp、件名:スタートアップサーベイ照会窓口)までご連絡いただけますと幸いです(※クリックするとメール画面が立ち上がります)。


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